ニッポン放送と、「ヨーロッパ企画」上田誠のタッグで贈るエンタメ舞台シリーズ第5弾『リプリー、あいにくの宇宙ね』が、 2025年5月4日に東京・本多劇場にて開幕。公演前に初日前会見と公開ゲネプロ(通し稽古)が行われた。

本作は、上田によるオリジナル脚本で映画『エイリアン』などに代表される「宇宙船」を舞台に、スペースオペラ活劇の古今東西をてんこもりにした集大成を、ポエトリー音楽にくるんでアレンジしたSFコメディだ。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

舞台上には、宇宙船ブリコロモ号のコクピットとブリーフィングルームのセットが。小惑星帯・アステロイドベルトへ資源探査をするために、クルー7名とロボ2体を乗せて地球を離れ、9ヶ月。コールドスリープするクルーたちの前で資源探査の成果についてロボたちが語っていると、突如宇宙船内にアラームが響き渡るところから物語は始まる。

伊藤万理華「上田誠さんのエンタメ宇宙論がすべて詰まった作品」と自信!『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロレポート
『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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無理やりコールドスリープから目覚めたクルーたちの目の前にあるのは、エイリアンが産み落としたと思しき卵。コールドスリープ起き早々の緊急事態に、クルーたちはパニックに。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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火炎放射器や熱線銃を手に取ったり、「脱出艇で逃げたい」と言い張ったり、責任をなすりつけ合ったりと、エイリアンの卵(らしきもの)という緊急事態をきっかけに、クルーそれぞれのキャラクターと人間性があぶり出されていく。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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ゲネプロ前に行なわれた初日前記者会見にて、主人公・ユーリを演じた伊藤万理華が「タイトルに『宇宙』がついていて、壮大に見えるかもしれないけれど、地球上にいても宇宙にいても変わらない人間のちっぽけさや滑稽さ、可笑しさが繰り広げられているので、そういうところから勇気をもらっていただきたい」と話したように、いずれもどこか憎めないクルーばかり。随所に見られる“あるある”も笑いを誘ってくれる。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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同じく初日前記者会見にて上田が、「『やれることは全部やろう』という積載量多めの宇宙船で、絶えずトラブルに見舞われるコメディ」と本作を表現したように、矢継ぎ早に直面するトラブルが息つく暇を与えてくれない。特に、井之脇海演じるキリトがユーリと共に隕石を避けながら宇宙船を操縦するシーンは、ドキドキとした緊迫感もありながらSFならではの爽快感が味わえるはずだ。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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「(本作は)古今東西の宇宙SFをオマージュしている」と上田が明かしたように、自分の記憶の本棚にあるSF作品のワンシーンと重ねられるような場面も。

オリジナル作品にも関わらず、どこかで観たような不思議な感覚になるはずだ。また、時折発せられる小気味いい“コズミックジョーク”も、作品との距離を縮ませ、自分もクルーの一員かのような気分にさせてくれる。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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本作の見どころはSFの演出だけにとどまらない。ユーリが披露するポエトリーラップ、そして本作が舞台初出演で「上田さんの1000本ノックを受けながら、キャストのみなさんの波に乗って今日を迎えられた」というシシド・カフカ演じるニルダの歌唱シーンからは、宇宙空間に想いを馳せながらも、自分の内面と向き合うような今までにない体験ができる作品になっている。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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伊藤は「上田さんの上田さんによるエンタメ宇宙論がすべて詰まったような作品で、個性豊かな皆さんとできるのが楽しかった。舞台上で突破できるかワクワクしている」、上田は「キャスト11人とスタッフが全体重を乗せないと突破できない作品。全乗っかりでやってくれて、弛まず稽古できた。チャレンジブルな作品で、未踏のコメディ。エンタメの重力圏を突破する作品にしたい」と自信と充実感に溢れた表情で“突破”という言葉を口にした二人。

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『リプリー、あいにくの宇宙ね』公開ゲネプロ

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個性豊かすぎるキャストたちがSFコメディの常識を突破する瞬間を、ぜひ劇場で見届けてほしい。そして、大いに笑い、大いに涙していただきたい。

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◆公演概要◆
『リプリー、あいにくの宇宙ね』
脚本・演出:上田 誠(ヨーロッパ企画)

<キャスト>
伊藤万理華
井之脇 海
シシド・カフカ
石田剛太(ヨーロッパ企画)
中川晴樹(ヨーロッパ企画)
金丸慎太郎(ヨーロッパ企画)
野口かおる
浦井のりひろ(男性ブランコ)
平井まさあき(男性ブランコ)
槙尾ユウスケ(かもめんたる)
岩崎う大(かもめんたる)

<公演日程>
■東京公演:2025年5月4日(日・祝)~5月25日(日)
会場:本多劇場(東京都世田谷区北沢2丁目10-15)
■高知公演:2025年6月3日(火)
会場:高知県立県民文化ホール オレンジホール(高知県高知市本町4丁目3ー30)
■大阪公演:2025 年 6 月 6 日(金)~6 月 8 日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール(大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目17-5)

◆イントロダクション◆
宇宙開発ラッシュの時代。


Z社は、火星と木星の間にあるアステロイドベルトへ核融合エンジンを搭載した宇宙船 100 機を派遣、資源探査を行う「プロジェクト・ジャックポット」を発動する。
この計画は、地球に新たな資源と富をもたらすものとして多くの人々から期待を集めていた。
その 100 機のうちの 1 機として地球から旅立った宇宙船ブリコロモ号。
キャプテン(岩崎う大)が指揮を執るこの宇宙船は、航海士・ユーリ(伊藤万理華)と航海士・キリト(井之脇海)のペアに加え、オペレーター(石田剛太)、機関士(中川晴樹)、通信士(野口かおる)が搭乗。
さらに宇宙という未知の空間での事態に対処、採集した資源を分析するため、科学主任(平井まさあき)が乗り組んでいる。そして 2 体の作業用ロイド、ロビィ(浦井のりひろ)とボグ(槙尾ユウスケ)も搭載されていた。
ただし、コスト重視の量産型宇宙船ゆえ非常に狭く、個室もない。基本的には自動操縦で航行されるため、クルーは目的地に到着するまで、船内に備え付けられたコールドスリープ装置に入り、人工冬眠状態で数ヵ月を過ごすことになる。
かくしてブリコロモ号は、アステロイドベルトにある小惑星の一つに到達した。だが、肝心の資源探査は空振り。
レアメタルを始めとする資源はなにもなかった。「ハズレ」を引いた失意とともに、再び人工冬眠に入るクルーたち。
数ヵ月をかけて、地球近傍まで帰還してきたブリコロモ号だったが、船内で緊急事態が発生して、一同騒然!
その上、密航者(金丸慎太郎)が見つかったり、宇宙を漂流する吟遊詩人・ニルダ(シシド・カフカ)が現れたり。絶え間ないトラブル、そして「あいにく」の連続に翻弄される、ユーリたち、クルーの運命は――!?

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