『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』(講談社)著者:笙野 頼子Amazon |honto |その他の書店

◆「いまは戦前」小説家と猫語る
いまは戦前だ、と語り手である小説家は書く。戦争は決して一律にやってくるのではなく、弱い者のうえにまず不幸が落ちる、と。
TPPのような貪り食うものが現れ、戦争へ傾いていく……。

語り手は千葉の一軒家に住む小説家。数年前、長く一緒にいた猫が死に、ずっと不調を感じてきた体調は重篤な病が原因だと知る。荒神様という猫はそんな語り手の傍らにいて、生活を見ている。猫も語る。

愛猫のために戦争を止めなければ。でもどうやって? 小説家は筆を執る。目の前の現実を描くために。

止められるかどうかよりも、止めようともしないほうが嫌。笙野さんの声に耳を傾ける。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。
ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2017年8月31日

【書誌情報】
さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神著者:笙野 頼子
出版社:講談社
装丁:単行本(284ページ)
発売日:2017-08-01
ISBN-10:4062206617
ISBN-13:978-4062206617
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