女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「新卒の初任給」について。


(質問)
「新卒の初任給が自分より高いです。自分の方が会社に貢献をしているのに、と納得がいきません。角を立てずに、給料の交渉をするコツを教えてください」

(回答)
給料の逆転現象は、会社が若手を確保するための「先行投資」が主な原因です。まずは給与の内訳を冷静に確認し、表面的な数字だけで判断しないようにしましょう。納得がいかない場合は、不満をぶつけるのではなく、自分の実績を基に「これからも貢献したいからこその相談」として交渉するのがコツです。

以下で詳しくお話しします。

■なぜ「新卒の給料」がそんなに高いのか?
近年は深刻な人手不足や物価の上昇もあり、企業の間では「優秀な若手をなんとかして採用したい」という動きが強まっています。そのため、初任給を大幅にアップさせる傾向が多くの企業で見られるようになってきました。自分が数年頑張って積み上げてきた給料を、入ったばかりの人がいきなり超えていくのを見れば、モヤモヤしたり理不尽だと感じたりするのは当然のことです。

本来であれば、企業側は今いる社員の給料も同時に上げるのが理想ですが、まずは目先の採用競争に勝つことを優先してしまい、既存社員への対応が後回しになってしまっているケースがよくあります。会社によっては「調整金」のような形でバランスを取ろうとしていますが、まだ制度が追いついていないのが実情です。

■表面的な数字に惑わされず、中身をチェックする
「新卒の方が給料高い」と聞くとショックですが、まずは給料の中身を詳しく見てみましょう。
「初任給が5万円アップした」と書かれていても、実はその中に「残業代(固定残業代)」が含まれていたり、今まで別でもらえていた「手当」が基本給にまとめられただけ、ということもよくあります。

パッと見の基本給は高く見えても、ボーナスや福利厚生、時給換算で考えれば、経験のある既存社員の方がしっかりもらっているという可能性も十分にあります。また、初任給は高いけれど、その後の給料の上がり方がゆっくりで、数年後には今の社員と同じくらいの水準になるような仕組みにしている会社もあります。気になる場合は、面談などの機会に上司や人事担当者に確認してみるのがおすすめです。

■「不満」を「前向きな相談」に変える交渉術
そうして現状を確かめたうえで、やはり自分の実績に対して給料が見合っていないと感じるなら、勇気を出して交渉を考えてみてもいいでしょう。モヤモヤしたまま働くのは、やる気を保つ上でもったいないことです。特に女性の方は「わがままだと思われたくない」「波風を立てたくない」と遠慮してしまうことも多いですが、給料はあなたのこれまでの貢献に対する正当な対価です。自分の成果をもとに誠実に話し合うのは、決して身勝手なことではありません。女の転職typeが行った調査でも、4人に1人が給与交渉をしたことがあり、そのうちの約7割が給与交渉で給与が「上がった」と回答していました。給与交渉をしている人は多くはありませんが、行動した結果、昇給している人は多いということが分かります。納得感のある交渉をするためには、まず「準備」と「伝え方」を整理してみましょう。

■【準備】客観的な材料をそろえる
外の相場を知る:自分と同じ職種・スキルの人が、ほかの会社ではどれくらいもらっているかを調べてみてください。
客観的な基準を知ることで、自信を持って話せます。
自分の成果をまとめる:この1~2年で出した結果を振り返りましょう。数字で分かる成果だけでなく、新しいやり方の導入やチームへのサポートなど、数字に見えにくい貢献も言語化しましょう。

■【伝え方】前向きな姿勢で相談する
現状の立ち位置を確認する:「新しい給与体系の中で、私の役割や評価は今どんな位置付けになっていますか?」と聞き、今の制度での自分にとってのポジティブな面を確認します。
ギャップへの悩みを打ち明ける:「今の仕事を長く続けていきたいからこそ、市場相場とのズレに悩んでいます。今後もさらに貢献していくために、1度見直しをお願いできないでしょうか?」と、未来の話として相談します。

このように伝えれば、わがままではなく「自分のキャリアを真剣に考えている誠実な姿勢」として受け取ってもらえるはずです。

■自分の価値を信じて、納得できる働き方を選ぶために
優秀な新人が入って会社が成長し、活性化することは、長い目で見ればあなたにとってプラスになります。とはいえ、1番大切なのはあなたが納得感を持って働けることです。

まずは今の場所で自分の頑張りを言葉にし、会社と対話をしてみてください。そのプロセス自体が、あなたの交渉力や自信を育ててくれます。もし、会社から納得のいく説明がなく、あまりにも相場とかけ離れた状態が続くのであれば、そのときに初めて転職を考えても遅くはありません。


あなたが自分の価値を正しく認められ、スッキリした気持ちで仕事に向き合えるよう応援しています。1人で抱え込まず、まずは信頼できる人に「相談」という形で1歩を踏み出してみてくださいね。
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