■Q. 「口内炎を放置すると死ぬ」って本当ですか?
「口内炎が1カ月近く治りません。放っておけば自然に治ると思っていたのですが、友人から『口内炎を放置してると死ぬこともあるらしいよ』と言われ、急に不安になりました。
口内炎が命にかかわることは、実際にあるのでしょうか? 病院に行くべきですか?」

■A. 多くの口内炎は心配ありませんが、放置は禁物です。一度受診を
基本的に、口内炎そのものが直接の死因になることはありません。口内炎の多くは、頬や舌をうっかり噛んでしまったり、入れ歯や矯正器具が触れたりすることで起こる「外傷性口内炎」です。こうした一般的な口内炎であれば心配はいらず、特別な治療をしなくても自然に治ります。通常、ほとんどは1週間程度で完治します。

しかし、口内炎の症状の裏に深刻な病気が隠れていた場合、放置は危険です。「ただの口内炎だと思って様子を見ていたら、実は別の病気のサインだった」というケースは実際にあります。

中でも気を付けたいのが口のがんである「口腔がん」です。特に潰瘍のようなタイプは見た目がただの口内炎とよく似ており、肉眼だけで見分けるのは難しいとされています。正確に判断するには、組織を採取して調べる検査が欠かせません。口腔がんは放置すると進行しますし、命にかかわるケースも出てきますので、治らない口内炎を放置し続けるのは禁物です。

口腔がん以外にも、「カンジダ性口内炎」や「ヘルペス性口内炎」、「全身性エリテマトーデス」や「ベーチェット病」といった膠原病が原因で、口内炎のような症状が現れることもあります。
これらもただの口内炎とは異なり、自然に治りにくいという特徴があります。

目安として、2週間以上たっても治る気配がなかったり、大きさや痛みが悪化してきたりする場合は、放置せずに病院を受診しましょう。まずはかかりつけの歯科や、お近くの口腔外科、耳鼻咽喉科などを受診するのがよいでしょう。適切な治療を受けるためにも、早期発見は重要です。

以下のような症状がある場合は、一度早めの受診を検討してください。

・口内炎が2週間以上たっても治らない、または悪化している
・大きさや色、形がいつもと違う、周囲が硬くなっている
・出血しやすい、痛みの感じ方が変わってきた
・同じ場所に繰り返し口内炎ができる(入れ歯や矯正器具に問題があるケースもあり)

口内炎は誰にでも起こりうる身近なトラブルですが、「たかが口内炎」と思い込まず、いつもと違う変化がないか気を付けておくことが大切です。日ごろから鏡で口の中の状態を確認する習慣をつけておけば、思わぬ病気の早期発見につながることもあります。気になる症状があれば、我慢せずに早めに歯科や医療機関へ相談しましょう。

■【統計】口腔・咽頭がんの頻度
■口腔・咽頭がん―ほかのがん種と比べるとどのくらいの頻度か
よくある口内炎、実は「がん」のサインかも……【医師が解説】
出典:がん種別統計情報口腔・咽頭/がん情報サービス


▼井上 義治プロフィール慶應義塾大学医学部を卒業後、20年以上にわたり形成外科医として総合診療に従事。患者の要望を丁寧に聞き、一人ひとりに合わせた医療を提供している。
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