2002年から放送されたスーパー戦隊シリーズ『忍風戦隊ハリケンジャー』の20周年を記念した作品『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary』がついに劇場上映された!
東映京都撮影所で撮影された本格的時代劇でもある本作はいったいどのようにできあがり、キャストたちはどのような想いで挑んだのか。疾風流の忍者・鷹之介&ハリケンレッド/椎名鷹介役の塩谷瞬、疾風流の忍者・なみ&ハリケンブルー/野乃七海役の長澤奈央、疾風流の忍者・吼太郎&ハリケンイエロー/尾藤吼太役の山本康平のお三方に、お話をお伺いした!

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◆型破りなハリケンジャーの20周年!

ーーまず今回の20周年作品の企画は、どのように立ち上がったのでしょう?

塩谷 その話は、(山本)康平から!

山本 『忍風戦隊ハリケンジャー 10YEARS AFTER』(2013)をやらせていただいたんですけれども、その後にみんなで「20周年もやりたい」というような話をしていたんですが、特に長澤さんの激押しがありまして(笑)、3年以上前くらいから動いていたんです。


長澤 『スーパー戦闘 純烈ジャー』(2021)の前から、企画は動いていたんです。

山本 そのきっかけになったのが『仮面ライダーシノビ』(2019)だったんですよ。姜(暢雄)くんが出ているので注目していたんですが、2022年から来た仮面ライダーということは「ハリケンジャーの20周年にかぶせてるじゃん!」「これって20YEARS AFTERやれっていうフリじゃない?」という話を長澤さんにしたら……。

長澤 「そうだよ! もう企画持っていったほうがいいよ! それで忍者ヒーロー集めちゃえばいいじゃん!」って!

山本 それで、まず忍者を集めちゃおう企画を考えたんですが、そこから紆余曲折あり『ハリケンジャー』単体でやってもいいというお話をいただいて、今回の作品になりました。

長澤 山本康平が押して押して、押しまくってくれましたから。スーパー戦隊関係者のみなさん、何かあれば山本康平まで!(一同笑)

山本 いやいや、最終的にプロデューサーを動かしたのは、長澤さんの熱意ですよ。
あとは塩谷さんからもプロデューサーの塚田(英明)さんに連絡してもらって……みなさんのおかげです!

塩谷 さらに「京都撮影所で撮る」という話を塚田さんから聞いて、俄然やる気が出ましたね。

長澤 私たち、TVシリーズの時は京都撮影所で撮影していなかったんだよね。

塩谷 京都撮影所での撮影をするようになったのは、翌年の『(爆竜戦隊)アバレンジャー』からなので。

山本 せっかく忍者だから、当時「やりたい」という話もあったんですけどね。

塩谷 そういうの、多いんですよ! 僕らが「やりたい! やりたい!」と言っていたことが、のちに後輩たちがやるようになるという。『パワーレンジャー』の日本語版声優をやるのも、『デカレンジャー』からだったし(笑)。


山本 パイオニア的な発想があっても、できなかったものが多いんですよね。

長澤 でも『10 YEARS AFTER』は、我々がパイオニアですからね。その後に続くスーパー戦隊やライダーにもいろいろ広がっていて、すごく励みになります。

塩谷 型破りで、爆発力があって、それが『ハリケンジャー』なんだと思っています。20周年作品を京都撮影所で撮れたというのは、いまの時代に非常に意味があることだなと思っています。

最近は時代劇の作品が非常に少なくなってきていて、子供たちも侍とか忍者とかに触れることが少なくなっている。
『ハリケンジャー』という大人はもちろん、子供も触れる可能性のある作品が時代劇として、京都で撮影できたのがすごく嬉しいですね。
若い子たちに「時代劇っておもしろいんだ」と思ってもらえれば、時代劇の復興の可能性につながるかもしれませんし、太秦の東映京都撮影所が賑わうようになるかもしれません。今回の作品には、そういう想いも込めています。

◆20年の凄さをファンのみなさんから知る

ーー今回の作品を発表した時の反応はいかがでしたか?

長澤 ファンのみなさんには驚いていただけたみたいで、嬉しかったですね。去年和歌山でのイベント(2022年9月24日に和歌山マリーナシティで開催された『ハリフェス』)をやったので、あれで20周年は終わりかと思っていたファンが多かったみたいで!

山本 あの時はもう決まっていたんで、言いたくてしかたなかった!

塩谷 そうそう(笑)。

長澤 「これで最後ー!」なんて言いながらね、実はまだあるんだけどなって……(笑)。


山本 なんでファンのみんなの前で言わせてくれないんだ~と思っていました(笑)。

塩谷 和歌山でのファンのみなさんの盛り上がりもすごかったしね。10周年の時に白川(裕二郎)くんとかと「ショーやりたいよなー!」って言ったたんだよね。でもいろいろとハードルが高いなと思っていて……今回ウルトラCで、現役の『(暴太郎戦隊)ドンブラザーズ』と一緒に出来ることになって嬉しかったよね。

山本 号泣していたもんね。

塩谷 お客さんもみんな泣いていたよね。
当時後楽園のショーを3歳くらいで観た子が、大人になって自分でお金を払って観にきてくれていて、すごく嬉しかったです。自分たちの子供を連れてきてくれている子もいたりして。

長澤 10周年の時は、まだ自分たちでお金が払えない年齢の子も多かっただろうし。

山本 本当に、20年ってすごい!

(C)2023東映ビデオ・東映AG・バンダイ・東映
(C)東映

◆キャストのみなさんと久しぶりに会って……。

ーー『ハリケンジャー』のキャストのみなさんとの久しぶりの共演はいかがでしたか。

塩谷 まず思ったのは、20年経ってもみんな変わらないなということですね。
僕も周りからは「若い」って言われるけどさ……。

長澤 あれ? 自分の自慢?

塩谷 いやいや、違うよ! 2人もだし、裕二郎もノブ(姜暢雄)も、ずっと現役でやっているから変わらないんだなって。

長澤 西田(健)さんも高田(聖子)さんも、変わらないよね。

山本 全然変わってない!

塩谷 また今回、西田さんがしきりに言うんですよ。「お前ら、20周年で作品作るなんてよくやったな。俺の10年後はきっとないから、これが見納めだぞ」って。いや館長、まだまだいけますよって!

山本 本当ですよ。すぐ、次を企画しなくちゃ(笑)。

塩谷 そういう冗談も言える、そんな家族みたいな間柄なんですよね。キャストもスタッフも、家族、親戚一同が集まったみたいで、感無量でしたね。10年ぶりなのに、TVシリーズ撮影当時とまったく変わらない暖かい雰囲気で、今回の作品にみんなの想いを重ねていけたのが夢のようでした。
最初の撮影、お堂に集まったシーンで奈央が「何か……夢みたい」って言ったんですよ。

長澤 そんなこと言ってた?(笑)

塩谷 それを聞いて、撮影しながら「これは夢なのかな? 夢じゃないよな」なんて思っていました(笑)。

ーーシュリケンジャーの声を担当されていた松野太紀さんは、今回顔出しで出演されています。

山本 松野さんも、すごく喜んでくださって。当時はアフレコの時に背中ばかり見ていたのに、今回は向かい合って芝居しました!

長澤 顔出しで、あんなに出番があるなんてね!……緊張してたよね、松野さん!

塩谷 不思議な緊張感があったよね。すごく難しい説明ばかりの長ゼリフで、僕たちは下で聞いてるだけだから楽でしたけど、松野さんが緊張されているのが微笑ましかった(笑)。

長澤 館長と松野さんが難しいセリフばかりしゃべってらっしゃったのに、私たちは「はい!」とかしか言ってない(笑)。

山本 「長いよ!」って2人に怒られました。というのも、僕は脚本から関わっていたので。「すいません!」って謝っておきました(笑)。

ーー今回はゲストとして、羽瀬川なぎさんが照姫役、陽月華さんが裏七本槍のオイランダ役で出演されています。

長澤 なぎちゃんは、もう可愛くて、現場の癒しでしたね。みんなポーッとしていました、男性陣だけじゃなく私も。

山本 本当に可愛かったよね。ちょっとツンな姫様にぴったり。

塩谷 20年前の俺たちと同じくらいの年齢でしょ。そう思えないくらいにしっかりしてるし。

長澤 本当に、私たちとは比べ物にならないくらいでした。

塩谷 そして陽月さんは、本当にカッコよかった!

山本 いやぁ、すごかったですね。

塩谷 今回の作品の、大きなカラーになったのは陽月さんのオイランダというキャラクターですね。悪役という以前に、江戸時代、時代劇というものを背負ってくれたと思っています。
僕ら全員と対峙して、その世界観で負けてないっていうのがすごいんですよ。陽月さんの演技力とか人間力で、この作品がちゃんと成立したんじゃないかと思います。

長澤 すごくノリノリで演じてくださって! それにあのコスチュームがあんなに似合ってるって! 

塩谷 違和感なかったよね。すごい迫力で。

山本 妖艶で、怖くて、めちゃくちゃハマってたよね。グッドキャスティングです! でもああ見えて普段は、とっても明るい人なんですよ。

長澤 それですっごく男前!

塩谷 本当にカッコいい女性です。

(C)2023東映ビデオ・東映AG・バンダイ・東映
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◆今回の見せ場は、素面でのアクション!

ーー今回ハリケン・ゴウライの5人は、素面でのアクションもかなり頑張っていますよね。そこに一番驚きました。

長澤 頑張ったんですよ……老体に鞭打って(笑)。もう20年の付き合いのアクション監督・竹田(道弘)さんが、それぞれの個性を活かしたアクションを考えてくださったのが嬉しかったですね。
でも、台本には書いてなかったので何も考えず現場に行ったら、朝からトランポリンで飛ばされたり、もう泣きながら(笑)。

山本 僕はもっとやりたかったけどね! でも時間がなくて、できなかったんですよ。

塩谷 本当に撮影のスケジュールがタイトだったんです。竹田さんも「時間ないけど、頼む!」みたいな感じでしたね。でもそんな中で竹田さんが、少ない時間の中でどうすれば一番よくなるか、台本にもメモがビッシリ書いてあるくらい本気で考えてくださっていて。その中で「お前はこれ、お前はこれ」って、ひとりずつアクションの見せ場を用意してくれたんですよ。
ただ単にアクションをやればいいんじゃなくて、ちゃんとハリケンジャー一人ひとりのキャラクターを活かしたアクションをつけてくださったことがとっても嬉しかったです。

僕も空忍として空中を飛ぶような立ち回りをやったり、康平は木に登ったり。奈央が水面走りを本当にやったり……感動しましたね。今回20年経って、限りある中で最大限のことをやるということをまた教えてくださいました。当時から現場は僕らの学びの場だった、ということを思い出しました。40歳になってそれを感じられるって、幸せです。

長澤 そうだよね。すごく幸せだよね。

塩谷 僕ら以上に、先輩のスタッフさんたちが頑張ってくださっている。それで僕らも、頑張れる。
当時はやりきったと思っていましたけど、その後、20年経ってもまだやれることがあるんだっていうのがすごく素敵な現場だなと感じました。

ーーでは最後に、3人を代表して塩谷さんからファンの皆さんへメッセージを戴けますか。

塩谷 はい! ハリケンジャー20周年記念のこの作品は、本当に愛がいっぱい入っています。当時観ていてくださったみなさんに熱いものを届けられる自信がありますし、ハリケンジャーを初めて観る子供たちにも夢とかヒーローとしての想いとかを届けられるんじゃないかなと思います。

僕たちは1人では何もできないかもしれないですけど、みんなの気持ちが重なることで、大きなことを達成できるんです。今の時代に生きるみなさんに、観て欲しい作品になったので、是非多くの人に観ていただきたいと思います。

そして! われわれハリケンジャー は不滅なので、これからもみなさんの応援があれば、次があるかもしれないので! これからも応援を宜しくお願いいたします!

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