19年前の10月2日に放送が開始された『ウルトラマンネクサス』。主人公・孤門一輝とウルトラマンの変身者=デュナミストが別人という斬新な設定、従来のシリーズ以上にハードかつシリアスな展開が本作の特徴だ。


孤門が出会う人々と絆を紡いで、想像を絶する困難にも諦めず立ち向かい、その成長が最終話に向かって結実していく。ウルトラマンシリーズ中でも連続ドラマ性が非常に高い本作は、完走したファンからは今も熱烈な支持を受けており、2022年のTV特番『全ウルトラマン大投票』では、8位を記録したほど。

そんな『ネクサス』が初回放送日の10月2日(月)から、ツブイマこと『TSUBURAYA IMAGINATION』に登場! ファン待望の配信開始に合わせて、孤門一輝役の川久保拓司さんにインタビューを実施。「今こそ観てほしい」と語る『ネクサス』の魅力、現在の川久保さんが抱く孤門への想いとは?

>>>川久保さん撮りおろし写真や『ウルトラマンネクサス』場面カットを見る(写真14点)

※インタビュー後半に『ウルトラマンネクサス』のネタバレを含む箇所がございます。ご注意ください。

◆『ネクサス』は配信向き?◆

――『TSUBURAYA IMAGINATION』での『ネクサス』配信決定を聞いたときの感想をお聞かせください。


川久保 「ついに来たか!」と思いました。来年で20周年というタイミングで配信が決まったのは、本当に嬉しいですね。『ネクサス』は一話完結ではなく、ストーリーの大きな流れの中で一話ずつ進んでいくので、一気見に向いている作品なんです。当時は「どうなるんだろう」と、毎週モヤっとしたものを抱えていた方も少なくなかったと思うんです(笑)。自分のペースで視聴できて、「何でこうなったんだろう」とすぐ過去の話にさかのぼれる配信は、『ネクサス』を見やすく楽しめる形じゃないかなと。

――ファンも『ネクサス』の配信開始を待ちわびていたかと思います。


川久保 『ネクサス』はいまだにファン投票でも上位に入ることがあって、そのたびにSNSで盛り上がっている様子を見ると嬉しくなります。『ネクサス』はウルトラマンシリーズの中でも異質で、特殊な作品だと思うんですが、根強く愛してくださっている方がたくさんいることが、本当に喜ばしいです。

――プライベートで『ネクサス』を観返すことはありますか?

川久保 自分が新しい作品に入ったとき、何かモチベーションが欲しかったり、乗り越えられない壁にぶち当たっていると感じたりしたら観返しますね。子どもと一緒に観ようとなったとき、夢中になって僕だけ一気に観たこともありました(笑)。

――人生の中で勇気をもらいたいときに観返すことが多いんですね。

川久保 はい。
ストーリーの中で描かれている「諦めるな」というメッセージが持つ力、粗削りながら全力で撮影に向かった当時の自分の姿に勇気をもらいます。姫矢准、千樹憐の二人の戦いにも奮い立たされることがありますし、いろいろな角度から力をもらえるんです。僕が孤門一輝として多くの困難に直面し、挫折しそうになりながらも何とか立ち上がっていく。その姿をコロナなどで大変な中にある自分に置き換えて、パワーをもらえる時代なのかなとも感じています。『ネクサス』はまさに今、観てもらいたいウルトラマンですね。

◆観返して涙したネクサスとの出会い◆

――撮影当時と現在で、孤門の印象や見方に変化はありましたか?

川久保 孤門一輝は、当時の川久保拓司ほぼそのままなんです。
役者としての経験が浅いながらも、正解を見つけようと這いつくばって進んでいく自分の姿と、力強く目の前の困難を乗り越えようとする孤門が、本当にリンクしていて。僕の人生においてあの時期は孤門一輝の時代というか、自分と役の境目が曖昧でした。今は客観的に孤門のことを眺めることができて、彼は普通の青年でありながら、普通じゃない何かを届けられる男なんだと感じています。孤門の境遇はとにかくつらいですよね(笑)。困難に困難が重なっていくというか。

――試練の数々を姫矢准たちの支えもあって乗り越えて、千樹憐に対しては兄貴分っぽい振る舞いを見せていたところは、孤門の成長を実感しました。


川久保 そうですね。姫矢から受け取ったものを、今度は僕が憐に与えるんだ、立場を明確に変えていくんだと、自分も当時は感じていました。孤門の成長物語の要素は、今観ても面白い部分だと思います。後半からOPの曲と映像が変わるんですが、今後のストーリーを暗示するような構成になっていて痺れましたね。前半から雰囲気がライトになった裏側で……と感じさせるところが好きでした。

――最近観返した中で、印象に残っているシーンを教えてください。


川久保 第1話は孤門がとにかくいろいろな出来事に巻き込まれていく印象があったんですが、今観返すとラストで孤門が空を見上げて、ネクサスと目が合うシーンで涙が出てきてしまうんです。今の僕は、出会いこそが人生だと考えていて。ネクサスと出会ったときに孤門の人生も変わったし、僕の人生も変わった。あの瞬間を観るときは、どうしても泣けてきちゃいます。

◆20年後の孤門は……◆

――川久保さんは『ネクサス』関係のイベントにも出演し、直近では『TSUBURAYA CONVENTION 2023』の撮影会・サイン会出演が予定されています。特に思い出深いイベントを挙げるとしたらどれでしょうか?

川久保 15周年の時にサンシャインシティでやったイベント(『ウルトラマンネクサス スペシャルナイト』)は楽しかったです。ちょっとしたお芝居みたいなこともやらせていただいて、久しぶりにエボルトラスターで変身した時は「これだこれだ!」という感動がありました。ファンの皆さんと実際にお会いできることは、僕もすごく嬉しいんですよ。ドラマは僕たちキャストとスタッフで作り上げたものを、メディアを通して観てもらうから、直接顔を見て感想の言葉をもらえるのは貴重で。『TSUBURAYA CONVENTION 2023』の撮影会、サイン会も、直接応援してくださっているファンの方のお話を聞いて御礼を言える、素晴らしい機会だと思っています。参加できることがとても嬉しいし、楽しみですね。

――来年の『ネクサス』20周年で、川久保さんがやりたいことなどありますか?

川久保 またリアルな場で皆さんとお会いしたいですし、今のナイトレイダーなど、アフターエピソードを描いてほしい気持ちがあります。

――20年後の孤門が何をしているのかが気になりますね。

川久保 僕は、ナイトレイダーの隊長になっていてほしいと思っています。立場が変わっても困難に直面して、それを持ち前の諦めない力で乗り越えているんじゃないかなって。もしかしたら頼り甲斐のある隊長じゃないかもしれないけど、隊員に寄り添って、一緒に困難を乗り越えてくれる隊長に成長している、そんな姿を想像しています。

――確かに、孤門はたくさんの試練を乗り越えましたから、今は隊長に相応しい強さや優しさを持つ人になっていそうです。

川久保 そうですよね。傷つくことや打ちひしがれることって、その時は「こんな出来事、人生になければいいのに」と感じますが、乗り越えて前に進むと「あれがあったから今の人生がある」と思うことが多くて。今の孤門もきっとそう感じていると思います。

――今『ネクサス』を観るうえで、注目してほしいポイントはどこですか?

川久保 やっぱり、諦めない人間の強さ。”諦めないこと” が貫けるならば、光はやってくるんだということです。生きることの難しさがあふれていて、それに世界中が直面している今、諦めないことは一番のメッセージだと思っていて。まだ観たことがないお子さんはもちろん、今つらいと感じている過去に触れてくださった方にも観てほしいし、シンプルにネクサスのカッコよさを楽しんでもいいですし。一話ずつでも一気見でもいいのでぜひ最後まで、主人公が変身するまで観てください(笑)。

――ご存知だったんですね、そのフレーズ(笑)。

川久保 はい(笑)。ファンの方って、本当に面白い言い方が上手だなと思いました。知った時は嬉しかったですね。絆という光が届くよう、ラストまで楽しんで観ていただけたら幸いです。

――最後に、川久保さんの人生にとって『ウルトラマンネクサス』という作品や、孤門一輝はどのような存在ですか?

川久保 今でも僕の背中をじんわりと温かく支えてくれて、困難な時にはそっと手を差し伸べてくれる、僕の原動力の一つですね。つらい時はいまだに、「諦めるな」と唱えているんです。そうすると、撮影していたあの頃の温度感、質感、目の前に広がる風景とかが蘇ってきて、一歩前へ踏み出せます。本当に人生の支えであり、思い出でもあり、宝物でもあり、そしてこれからも大切にするべきものだと思っています。

「諦めるな」に支えられて 川久保拓司が語る『ウルトラマンネクサス』を今観てほしい理由