台湾映画界のレジェンド林小樓さんとテンテンちゃんことシャドウ・リュウさんが、台湾でファンミーティング『兒時懷舊特攝電影粉絲同樂會(子どもの頃の懐かしい特撮映画ファンの集い)』が10月7日(台湾は国慶日の四連休初日)に行われた。
今回のファンミーティングは、林小樓さんにとって、なんと1979年のデビュー以来、初めてのサイン会で「サインをすることはあったけど、サイン会というのは初めて」とのこと。

35年前に日本と台湾で取材をしたということもあり、いてもたってもいられず現地に赴いたライター・藤原邦彦氏から届いた潜入レポートを特別にお届けしよう!

>>>現地の様子や特製サインカードなどを見る(写真7点)

1980年代後半、香港映画とともに激しい武侠片(時代劇などの映画)、動作片(アクション映画)、そしてキョンシー映画が大ブームを起こしていた。その多くが香港製作の中で、異色の台湾アクション映画が『新桃太郎』シリーズだった。日本の民話『桃太郎』をベースに独自の解釈で作られた映画の主演女優は、小柄な女の子・林小樓だった。林小樓さんのキュートな笑顔や仕草、戦う時の眉をつりあげた険しい怒りの表情とのギャップ、激しいアクションにやられた人もいるはず。
男装は今はもう珍しくもないが、1980年代当時は斬新であった。林小樓さん演じる桃太郎は、どちらかというと中性的な柔らかい感じだ。

大筋は勧善懲悪のわかりやすいストーリーなのだが、驚きの展開、ドリフターズのような下ネタギャグなど、今観ても面白い。
日本で公開された当時にはアクション映画として宣伝されたのでわからなかったが、公開当時の台湾では子どもたちをターゲットにした正月映画だったのだ。
これは女の子にも人気出るだろう…と思っていたら、当時台湾の女の子に「結婚してほしい」と言われたことも多かったそうだ。そりゃあ、女子は惚れてしまうよね。

そして、キョンシーブームの火付け役となったテンテンちゃんの映画『幽幻道士(キョンシーズ)』がテレビ放送され、主役テンテンちゃん(=シャドウ・リュウさんなのだが、テンテンちゃんと呼んでしまう)が日本で大ブレイク!その大人気から、『来来!キョンシーズ』としてテレビシリーズも日本で製作・放映された。

80年代後半から90年代前半、当時の台湾映画というと文学的抒情的な作品の印象も強かったが、みんなの記憶に残るエンタテインメント作品は子どもに向けられた作品から出てくるもの。
ウルトラマン」や「仮面ライダー」などと同じ、ヒーロー、ヒロインとして記憶に強く刻まれているだろう。

その2人のファンミーティングが、10月7日台湾にて開催されたのだ。

ファンミーティングでは、司会の挨拶とともに、林小樓さんとシャドウ・リュウさんが入場。
その後、当日まで未発表だったシークレットゲストが次々と入場してくる。なんとその数9人!

ひとりひとりが登壇する度にあがる歓声は、レジェンドがこんなに集まるとは思っていないというファンの驚きから。もうこのイベントがレジェンドだ。

『新桃太郎』、『キョンシーズ』、そして『新十二生肖』に出演していたメンバーだ。
『新十二生肖』は日本では一部地域のみで公開されたのみ(邦題『燃えよテンテン 戦え!十二支の大冒険』)という幻の映画だ。

その後、トークは質問形式に。映画のシーンを見ながら12個の質問に答えていく形式。
『新十二生肖』の全裸で泳いでいるシャドウ・リュウさんは本人だったでしょうか? などの撮影裏話がメインだ。
『新桃太郎』のワイヤーで引っ張られ飛ばされるカットは、林小樓さん本人で、軽かったので勢いあまってマットのないところまで吹っ飛んでしまったとか。
また、ワイヤーに24時間つられっぱなし、食べ物や飲み物もスタッフが上にあげてくれるけれど、トイレに行かないとならないので我慢していたなど、過酷な撮影現場の様子を明るく話してくれた。
出演者全員が口々にしていたのが、何本も映画を同時に撮影していて、ほとんど寝る時間がなくて「眠かった」ことや、池の水の中の撮影など「とにかく水が臭くて」と厳しい現場だったという。アクションにも技の名前があり、倒毛(空中で前転して背中から落ちる)というのも、鄭同村さんが実演。
そんな厳しい現場を乗り切った仲間たちは、今も連絡を取っていることを聞いたファンたちは、みんな笑顔だった。

そしてサプライズ!
10月がお誕生月の出演者への誕生ケーキが登場! しっかりキャラクターが造型されている。
林小樓(リン・シャオロウ)とテンテンちゃんことシャドウ・リュウさんの台湾でのファンミレポ!


トークの後はいよいよサイン会。
今回のファンミーティング特製のサインカード(色紙よりも大きい!)に、サインをして、なんとお話もできるのだ。
林小樓(リン・シャオロウ)とテンテンちゃんことシャドウ・リュウさんの台湾でのファンミレポ!


サイン会が終わると、参加者ひとりを出演者全員で囲んでの撮影も行われた。台湾映画レジェンドのハーレムショットだ。
林小樓(リン・シャオロウ)とテンテンちゃんことシャドウ・リュウさんの台湾でのファンミレポ!

さらに終演後も残った出演者は、あちこちでツーショットをする神サービス!
ファンミーティングは午後1時から約5時間近くも開催され、なんとも熱い熱い空間を体感できた。
今回の企画でたくさんのゲストが集まったのは、シャドウ・リュウさんの声がけだったとのこと。台湾のファンはもちろん、日本のファンとしても本当にここで感謝の意を表したいと思う。
シャドウ・リュウさんは日本でも活動されているので、今後の活躍に注目し、これからも機会あればその活動を伝えていきたいと思う。

そして後日、林小樓さんから日本のファンへのメッセージを頂いたので、ここでお伝えしよう。再びこうしたファンミーティングが(できれば日本でも)開催されるのを楽しみに待とう!

【林小樓さんから日本のファンへのメッセージ】
本当に懐かしいです。私が若い頃は、『新桃太郎』のプロモーションのために何度も日本に行きました! 不思議な縁ですね、日本の昔話を台湾生まれの私がやるなんて。皆さん私のことを覚えていてくれてありがとう!
大声で言いたいです。皆愛していますよ! もちろん、台湾や全世界中の『新桃太郎』ファンを含めて! 本当に本当に大好きです!