活躍目覚ましい人気シンガー・yamaとTikTokを中心に「おとせサンダー」が大バズりしたぼっちぼろまる。そんな2人がタッグを組んだ特別ユニット「yama×ぼっちぼろまる」が歌うテレビアニメ「ポケットモンスター」のオープニング主題歌が「ハロ」(2023年12月13日リリース)だ。
早くもファンに”神曲”と呼ばれる疾走感あふれるこの曲はいかにして生み出されたのか? さらにポケモン主題歌を手掛ける重みとは? 2人が楽曲制作の裏側を語った。

【関連画像】yamaさん、ぼっちぼろまるさんの撮りおろし写真を見る(9枚)

――新曲発売おめでとうございます。今回の特別ユニットでコラボする前、お互いについてどんな印象でしたか。

ぼろまる:僕はもうただただインターネットでyamaさんというすごい歌手の方がいると知り、それからは一ファンとして聴いてました。

yama:ありがたいですね。ぼろまるさんの曲はすごくキャッチーなものが多いし、一緒にできるのが楽しみだなと思っていました。


ぼろまる:yamaさんは楽曲を作る最初の打ち合わせで「どんな感じのものにしましょうか」となった時に僕の作っていた曲の中でもマイナーな曲を挙げてくださって。

yama:一緒にやる人の曲は可能な限り聴くようにしているんです。自分はアルバムの中に入っている曲だとメインではない曲を好きになるタイプで、ぼろまるさんも曲を聴かせてもらって「タワースピーカーストリート」を挙げさせていただきました。爽やかなロックにしたいなと考えていたので。

――今回は作詞・作曲にお2人の名前が入っています。どのように楽曲を作り上げていったんでしょうか。


yama:自分がメロディができてない段階で、歌詞にこういう言葉を入れたいと送って。そこからぼろまるさんにデモを作ってもらって、さらに自分がまた提案して、と作り上げていきました。

ぼろまる:サビがピンとくるものができないなとずっと悩んでいてyamaさんに相談をしたら、適当にまず入れてみましょうとルルルとメロディを入れていただいたんですが、それがめちゃくちゃ良くて。これじゃん! となりました。それが今のサビになっています。ただ最初はあまりにキーが高かったんですよ。
こんな高い声出るんだ、yamaさんって驚きました(笑)。

yama:そうなんですよね(笑)。だから今のものはキーが下がっています。

ぼろまる:でも、めちゃくちゃいいメロで。合作しているなって感じがすごくありました。ロックテイストの曲にしたいというのも2人の共通認識でした。
yamaさんの歌はかっこいいイメージがあるのですが、ポケモンは優しさも大切な物語なので、その共存を目指しました。

――子どもだけに限らず大人にもファンの多いポケモンの歌だからこその難しさはありましたか。

yama:アニポケを見ている中心はもちろん子どもたちなんですけど、大人も見ていますし、逆にあまりに子どもたちに寄せすぎてもどうなんだろうとは思っていて。子どもは子どもで、意外と難しい言葉を使ってもわかりますし、「あっ、これは子どもに寄せているな」というのも気づいちゃう。だから子どもを意識しすぎず、メッセージを重視した言葉を入れています。逆に子どもっぽすぎる箇所は調整しています。


この曲を大人になってから聴き返したときに違った印象だったらいいなと思っていて。ポケモンの曲では小林幸子さんとお子さん(じゅり)が歌った「ポケットにファンタジー」(アニメ「ポケットモンスター」3期ED曲)が本当に好きなんです。子どもの頃に聴いたときは歌詞のように「はやく おとなに なりたいんだ」と思っていたし、今、大人になって聴くとあの頃とは全然捉え方が違って泣けるんですよ。

ぼろまる:わかる~。僕も「ポケットにファンタジー」はめちゃくちゃ意識しました。でもyamaさんとお互いその話はしてなかったですね。


あの曲は子どもが大人を羨む姿と、大人にとっても子どもが羨ましいという姿が描かれているんですけれど、それを踏まえて子どもも大人もお互い「でも、今もいいよね」という部分を書けたらと思っていました。特に2番の「ずっとポケットに入れたまま」という部分は「ポケットにファンタジー」を意識して書いてます。

ポケモンは過去に名曲がたくさんあるので、意識しすぎてもよくないし、ただ意識しないわけにはいかない。だから、もういろいろと聴き返しましたね。まふまふさんの手がけた曲「1・2・3」とかもう大正解じゃんと思ったり。

yama:BUMP OF CHICKENの「アカシア」もいいですよね。ポケモンは過去もいい曲が多いからこそ、その曲たちをなぞらえすぎたら、自分たちのせっかくの色も消えてしまう。自分たち2人でないとできない曲を作りたかったから、今回はかなりやり取りをしました。

――実際に自分たちの曲がアニメのオープニング映像と合わさったときはどう感じられましたか。

ぼろまる:僕はライブの休憩中にリアタイで見ていたんですけど、周りのバンドメンバーがワイワイガヤガヤしているのに、ひとり泣きそうになっていました(笑)。

yama:自分はその時台湾にいて、スタッフさんが画面を録ってリアルタイムで送ってくれて、楽曲に合わさってめちゃくちゃ綺麗な映像が流れていて最高だなと思って、感極まってました。ハッシュタグで検索すると、みんな「何このオープニング、楽曲も含めてめちゃくちゃかっこいいんだけど」という感じですごく評価してくださったので、よかったって安心しました。

――yamaさんはこれまでアニメの主題歌を数多く担当されています。特にことしは「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のOPも担当しました。ガンダムもポケモンと同じく歴史が長く、ファンも多いビッグタイトルですが、そうした曲を手掛ける時にはプレッシャーは大きいものですか。

yama:緊張感はめちゃくちゃあります。長年愛されている作品はそれだけファンがいますし、生半可な気持ちで担当したらやっぱり伝わると思うんです。そういうふうにならないように作品をちゃんと見て、自分の中に落とし込んで、楽曲に取り組むようにはしています。

でもプレッシャーはどの作品でもいつもあって、公開されるときに「何か言われるんじゃないか」「大丈夫かな、解釈は合ってたのかな」と反応にビクビクしていますね。

――特に印象に残っている作品はありますか。

yama:アニメ「王様ランキング」のエンディング曲「Oz.」をやらせていただいた時ですね。放送をリアルタイムで見ていて、ボッジとカゲが会話して、カゲが「お前の味方でいたいんだ」という号泣シーンがあって、その後に自分の歌が流れたときに、「ひとりぼっちにはさせないでよ」という歌詞で始まる歌だったので、作品の感動とともに「解釈が合ってたんだ」という部分もあって泣きましたね。

――ぼろまるさんは今回がアニメの主題歌は初です。アニソンを手掛けるのはやはり特別なものでしょうか。

ぼろまる:僕はもともとアニソンに憧れて音楽を始めたところもあります。ポルノグラフィティ「メリッサ」、L'Arc~en~Ciel「READY STEADY GO」 、COOL JOKE「UNDO」 、ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」 と「鋼の錬金術師」の主題歌がみんな本当に大好きで。ずっとアニソン最高だなと思っていたし、作曲家としてもずっとアニソンをやりたいと思っていたんですけど、なかなか機会に恵まれなくて。

それがアニソンを最初にやる時に、まさか自分で歌うとは思ってなかったです。しかもポケモンで、さらにyamaさんと。だから3度泣きました(笑)。一方でポケモンという作品の重みも感じていて、相当気合いを入れて作りました。これだけやってダメだったら仕方ないと思うくらい、自分なりには出し切ったと思います。

――曲名は「ハロー」でなく、あえて「ハロ」としているのはどういう意味があるんですか。

ぼろまる:ダブルミーニングで、一つはこんにちはの意味の「ハロー(Hello)」。もう一つは太陽の周りに現れる、虹のような光の輪ができる「ハロ(halo)現象」からきています。

ハロ現象って、天気が下り坂になるサインで、雨になる兆候なんですよ。綺麗な虹のホールを目指して、そこを抜けると雨が降り出してしまうこともあるかもしれない。でも、そこからまた虹の先に向かって進んでいこうという感じです。

なので、子どもたちはもちろん、日々疲れている大人にも聴いてほしいですね。昔を思い出したりできるかもしれない

yama:たしかにノスタルジックさも感じられる曲ですよね。その中で背中を押せたらいいなと思っているので、そういう人にも届いたら嬉しいです。