ClariSがシングル「アンダンテ」をリリース。表題曲はアニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』エンディングテーマで、絵本のようなエンディング映像と楽曲がマッチしていると好評。
ClariSのクララとカレンに、楽曲についてはもちろん、旅の思い出など楽曲にまつわるエピソードを聞くと、北海道ではフォークダンスで「ジンギスカン」を踊るのが定番であることが判明した。(前編/全2回)

■北海道と東京。ClariSの活動は常に旅

――アニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』エンディングテーマ「アンダンテ」が好評です。

クララ:曲名の「アンダンテ」は音楽用語で「ゆっくり歩くように」という意味なのですが、アニメのエンディングとして聴くと、主人公のクラフト・ロレンス、狼が変化した少女・ホロと一緒に旅をしている気分になれます。

カレン:エンディングの映像は立体的な紙芝居みたいで、おとぎの世界に入り込んだまま次回を迎えられる感覚で、それは『狼と香辛料』という作品ならではの表現なので、その部分に楽曲がとてもマッチできたなと思います。

――『狼と香辛料』はロレンスとホロが二人で旅をするお話ですが、ClariSの二人で旅をしたことは?

クララ:そもそもClariSの活動が、旅だなって思います。
二人でいろんなことを乗り越えながら、楽しみながらやってきたので、そういう意味で「アンダンテ」の歌詞は、とても共感できますし、私たちの関係性とも重なるところがあります。MV撮影やツアー、イベントなど、東京以外にもいろんな場所に行かせていただくのが毎回すごく楽しみで、歌を届けに行くのはもちろん、その土地の皆さんと会うのも楽しみだし、私たち自身もその土地の美味しいものを食べるのが楽しみだったり、私たちの活動の楽しみ方は旅のそれと何ら変わらないと思っています。

カレン:もちろん仕事ではありますけど、その仕事自体、私たちの好きなことをお届けしている感覚ですし、行く先々で新しい人たちと出会って、そこで人の輪が広がったり、新しいことに挑戦したり、何が起きるか分からない冒険感も含めて、旅っぽさはあるかなと思いますね。それに活動拠点が北海道なので、ちょっと離れた場所でいろいろなものを作って、それをお届けしに東京やいろんな土地に来ているという感覚もあります。もしも東京で暮らしながらの活動だったとしたら、この感覚はもっと違ったものだったかもしれないです。

――北海道と東京を行ったり来たりする活動が多いと思いますが、仕事で東京に来るときは、ワクワクした感じでしたか?

カレン:昔は、忘れ物がないかとか、心配ばかりでした。


クララ:初期は東京を楽しむ感覚よりも、「大丈夫かな? 上手くできるかな?」という、不安からくるドキドキのほうが強かったと思います。「とにかく届けるんだ!」と、意気込んでいる感じでした。

カレン:回を重ねるごとに少しずつ慣れたのもあるし、各地の皆さんがすごく優しいので、今は皆さんと会える楽しみでワクワクしかありません!

――「アンダンテ」は、タイトルはもちろん歌詞にも音楽用語が散りばめられていて、サウンドはカントリー調の軽快な雰囲気です。最初に聴いた印象や、どんな気持ちでレコーディングしたか教えてください。

クララ:カントリー調の楽曲は、ClariSには意外と無かった曲調なのですが、それでいてClariSらしさを感じさせる曲だという印象でした。とても軽快なリズムで、聴くだけでステップを踏みたくなるし、明るい気持ちで前へと進もうと思える楽曲だと受け取りました。


カレン:メロディや歌詞もスッと入ってきます。語りかけてくれているような優しい歌詞で、温かみをすごく感じて心がポカポカする楽曲だなと思いました。でも実際に歌ってみると、リズムに対する言葉のハメ方がとても難しくて、レコーディングにこれだけ時間がかかったのは久しぶりだったんじゃないかな。

クララ:少ない音数に言葉をハメなきゃいけないし、一言ひとこと、一文字ひともじのニュアンスの込め方で、伝わり方や思いが変わってくる楽曲だと思ったので、思いも込めながらしっかりリズムを合わせて、尚且つ二人の息も合わせる、そういう部分で少し苦戦しました。前向きな歌詞に私たち自身も背中を押されながら、その難しささえも楽しんでレコーディングできました。

カレン:『狼と香辛料』の第1話が村のお祭りのお話で、お祭りって人同士の境界線がなくなってみんな一緒になって楽しもうってなるじゃないですか。
楽曲にもそういうアットホームさがあるので、第1話目からぴったりハマったなって思いました。

――お二人の歌声もトークも息ぴったりですね。

カレン:ありがとうございます。それぞれ歩むペースが違っても、向かう先が一緒だから、お互い手を取り合いながら進んでいく。そういう気持ちが表れている歌詞なので、聴いていてとても心地いいです。

クララ:ちょっとした応援歌の要素もあって、今までも「CheerS」や「Fight!!」といった応援歌はあって、ClariSの応援歌って「頑張って!」って言いながら手を引っぱるのではなく、そっと背中を押してあげるような応援歌が多いので、その新しい1曲が生まれたなって思いました。
私自身も前のめりで頑張ったり、奮い立たせる感じが苦手なタイプなので……。

カレン:確かにクララが「みんな行くぞ~オ~!」って言っているのは、想像つかないかも!

クララ:そうでしょ(笑)。自分のペースで一歩ずつ進めていくほうが性に合っているタイプなので、私と同じようなタイプの皆さんに特に響いてもらえたらいいなって。もちろん「ヨシッ!」って気合いを入れる時もあるけど、「アンダンテ」を聴くと「ゆっくりでもいいんだな」って思ってもらえる、心の拠り所のような曲になったらいいなと思います。

カレン:五月病の時期ですし、息苦しさや生きづらさを感じていたり、疲れている人にぜひ「アンダンテ」を贈りたいです。

■北海道はフォークダンスも「ジンギスカン」

――MVも見どころいっぱいですね。


カレン:カントリー系の曲と言うと、丘の上とか風に草原がなびいているイメージもあるから、ちょっと風が強い日でしたけど、これはこれで味があっていいかなと思いました。衣装も民族っぽくて、すごく可愛くて。

クララ:こんなにカントリーっぽい雰囲気の衣装は初めてで、とても新鮮な気持ちでした。刺しゅうをしているシーンもあるんですけど、あれはジャケット写真とリンクしていて。ジャケット写真の刺繍は、刺繍作家さんに実際に作っていただいたものを撮影しています。ジャケット写真の刺繍には、リスや鳥がいたりとても可愛くて、刺繍は家庭科の授業でくらいしかやったことがありませんけど、久しぶりにやってみたいなって思いました。

カレン:CDを開けると中にも刺繍の写真があって、それもとても可愛いんです。温もりを感じるアートワークで、すごくお気に入りです。

――フォークダンスを思い出すような振り付けもあって、キャンプファイヤーや体育祭で「マイムマイム」を踊ったことを思い出しました。

クララ:フォークダンスは踊ったことがありますけど、私たちが踊った曲は「ジンギスカン」でした(笑)。

カレン:北海道はジンギスカンを食べるからなのか、理由は分かりませんけど(笑)。

クララ:だからフォークダンスと言っても優雅さはなく、〈ウッハッ〉って力強く踊るのが北海道の子どもたちなんです(笑)。それでも「アンダンテ」を聴くと「フォークダンスだ!」ってイメージが沸くのは、老若男女に関係なく魂に刻まれた何かがよみがえるからなのではないかと思います。

【後編】【ClariS】聴いたら心奪われる!中毒性のある楽曲「擬態」を語る♪