韓国では記録的な大ヒットとなった。「グエム-漢江(ハンガン)の怪物-」(2006)のもつ韓国映画観客動員記録を塗り替え、2012年、じつに6年ぶりに韓国映画史上1位を記録。アジア各国、また全米でも公開されたこのエンターテインメント作品が待望の日本上陸となる。2013年6月22日(土)よりTOHOシネマズ渋谷ほかで、二週間の限定公開だ。
日本上映にあたって、豪華キャスト陣による吹替版の上映も決定した。先日おこなわれた合同インタビューで、主要キャストの吹替を務める山寺宏一さん、朴ロ美さん、小山力也さん、平野綾さんに話をうかがった。
[取材・構成:細川洋平]
*朴ロ美さんの“ロ”の字は王偏に路です。
『10人の泥棒たち』
http://10dorobo.jp/
■ ユニークでセクシーで強くて、かっこいい。
--ご自身の役どころなどを教えてください。
山寺宏一(マカオ・パク役 以下・山寺)
今回の作戦のリーダー、マカオ・パクを演じます。一見クールですが、ペプシとの恋愛や揺れ動く感情などが見え隠れします。
ストーリーにも大きく関わってくるその部分がこの役のおもしろいところだと思います。
朴ロ美(ペプシ役 以下・朴)
わたしの役はペプシという女性で、とても芯は強いんですけれども内面に大きな悲しみや弱さを抱えた女性です。ちょうどアラサー、アラフォー世代の女性には共感していただけるようなキャラクターだと思うので、その辺りを意識して見ていただけたらと思います。
平野綾(イェニコール役 以下・平野)
わたしの演じるイェニコールはいろんな“顔”を見せてくれる、ちょうど「ルパン三世」の不二子ちゃんみたいな女の子です。ロープ使いの達人で、変装やお芝居がうまくて、いろんな技を使いこなします。
あと、演じていらっしゃる女優さん(チョン・ジヒョン)がかなりセクシーなので、色仕掛けとか、普段演じ慣れていない部分も、負けないようにがんばりました。
小山力也(アンドリュー役 以下・小山)
アンドリューは小心者で寂しがり屋なんですが、それを表には出さない、そこがとてもいいんです。この泥棒チームはみんなユニークでセクシーで強くて友情に熱くて、かっこいい。ただ、かっこよさで言ったらアンドリューは「……」ですが(笑)、それがメンバーの中でいいアクセントになっています。
■ 穴をいじっています
--演じられた中で、ここは注目してほしい、というシーンはありますか?
平野
壁登りのシーンです! とてもキレイな香港の夜景シーンのあと、ズームしていくと「そんなところに!」ってぐらいすごい壁をイェニコールがよじ登ってます。
山寺
イェニコールといえば捕まりそうになった時、どうやってそれを回避するかというシーンは本当に見事だった。
イェニコールだからこそというシーンで大好きです。
平野
ウソでしょ?! ってことしますからね。
小山
アンドリューの見どころは小芝居です。映っている間はとにかくなにかしらやっている。台本にないことをたぶんいっぱいやってると思うんですけど、そこに俳優さん(オ・ダルス)の根性が見えてすばらしいなと思いました。
朴
ポパイはものすごい脚を見せながら、穴をいじってます。
--???
山寺
朴さん?
朴
はい。穴を、いじってます。そこが見どころです!
山寺
……ん?
朴
……詳しく言ってもいいんですか?
--核心に触れなければ大丈夫です。
朴
金庫を破っているところです。
全員 ああー!(笑)。
■ 韓国映画の吹き替えはむずかしい
--演じるにあたっていちばん難しかったところを教えてください。
山寺
ぼくは韓国の映画に声をあてるのが初めてだったんです。
俳優さんも初めて声をあてる方だし、それにマカオ・パクは、感情をセリフにも表情にもあまり出さず、訥々としながらも魅力にあふれる役なので、どういうニュアンスでやったらいいのか、ただの棒読みにならないようにとか、最後までかなり考えました。
小山
アンドリューは話し声の抑揚の変化が突拍子もないんです。それを普通に日本語でやっちゃうとおもしろくないから、ぼくもそのノリを極力生かすように声のカッ飛び方を意識しました。
平野
わたしはとにかく下品にやれと言われまして(笑)。
いきなり激昂するところもあったりするので、育ちの悪さが常に出るように気をつけました。
朴
吹き替えそのものが難しかったです。韓国語だと疑問系で言っているのに、日本語訳だと断定になってることがあったりして、どっちのニュアンスを生かすといいのか、悩みながらやってたところです。
--今日は衣裳が登場人物と同じなんですよね。着てみた感想はいかがですか?
山寺
気分が出ていいですね。「役の格好して演じたりするんですか?」ってたまに聞かれても、「そこまでしませんよ(笑)」って今まで返してましたけど、やった方がいいのかな(笑)。
朴
収録はこれ着てすればよかったですね。
山寺
形から入るって大事だなって思いました。
--(笑)。
■ 泥棒は役者? 役者は泥棒になれる?
山寺
ひとつ思い出しました。
--はい。お願いします。
山寺
韓国や中国の俳優さんがこの役を演じてます。さらに物語の中では主人公たちが泥棒として騙したり演じたりしている というのをぼくたちは演じる。
つまり演じている人が演じている役を、演じている、というような、三重構造にこの吹替版はなってると思うんです。そういうところが非常におもしろいです。
平野
わたし自分の役に完全に騙されました(笑)。
山寺
泥棒って役者なんですね。役者じゃないとダメですよね。
小山
そうですね。
山寺
いい泥棒になれるかな、俺たち。
--(笑)。
朴
なれますなれます。
山寺
じゃあ仕事なくなったら泥棒やろう。
小山
じゃあぼくは詐欺師になります(笑)。
平野
やったー、やりましょう。
山寺
いやいやいや。ウソウソ泥棒はダメ。やっていいのは恋泥棒ぐらいです(笑)。
『10人の泥棒たち』
http://10dorobo.jp/
6月22日(土)から7月5日(金)まで、TOHOシネマズ 渋谷ほか全国2週間ロードショー!
ロードショー期間のチケットは絶賛発売中!
[キャスト]
強奪作戦の首謀者:マカオ・パク (キム・ユンソク「チェイサー」: 山寺宏一)
金庫破りのエキスパート:ペプシ (キム・ヘス「風林高」: 朴ロ美)
韓国チームのボス:ポパイ (イ・ジョンジェ「イルマーレ」: 平田広明)
ロープ使いの達人:イェニコール (チョン・ジヒョン「猟奇的な彼女」: 平野綾)
中国チームのリーダー:チェン (サイモン・ヤム「エグザイル/絆」: 石塚運昇)
熟練の演技派:ガム (キム・ヘスク「冬のソナタ」: 小山茉美)
小心者のガンマン:アンドリュー (オ・ダルス「オールド・ボーイ」: 小山力也)
純情な新入り:ザンパノ (キム・スヒョン「太陽を抱く月」: 野島健児)
天性の金庫破り:ジュリー (アンジェリカ・リー「The EYE【アイ】」: 小松由佳)
クールなガンマン:ジョニー (デレク・ツァン: 中井和哉)
監督・脚本: チェ・ドンフン「ビッグ・スウィンドル」「タチャ~イカサマ師」「チョン・ウチ 時空道士」
2012/韓国映画/カラー/138分/シネマスコープ/5.1ch
[ストーリー]
韓国を拠点に活動する窃盗団。
指定された場所で彼らを待ち受けていたのは中国人窃盗団の4人組。集められた“10人の泥棒たち”のターゲットは、幻のダイヤモンド“太陽の涙”。チームでの強奪計画は、全て完璧なはずだった。
泥棒たちが繰り広げるどん でん返しの連続の予期せぬドラマ、生身のライブ・アクション、華麗でゴージャスな盗みのテクニック、そして強奪計画を狂わせる3つの愛。緻密 なプロットから織りなされるトリック・エンタテインメントの最高傑作。