安野モヨコのマンガ『鼻下長紳士回顧録』のミュージカル化が決定した。日本マンガ原作の英語オリジナル・ミュージカルとして、2026年秋にニューヨークのオフ・ブロードウェイで、数ヶ月規模の長期公演を行う。


『鼻下長紳士回顧録』は、「FEEL YOUNG」にて2013年から2018年まで連載されたマンガである。20世紀初頭のパリを舞台に、娼館で働くコレットと情夫のレオン、館を訪れる客や娼婦たちの人間模様を描いている。第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、2015年には「日本アニメ(ーター)見本市」の一作として映像化された。

本作のブロードウェイ・ミュージカル化を目指すプロジェクトは、2020年に始動した。2023年春には、ブロードウェイ業界における標準的な開発プロセスである「台本読み合わせ」を行い、2025年初頭にはワークショップも実施。そして2026年秋、ニューヨークでのオフ・ブロードウェイ公演が決定した。

オフ・ブロードウェイは、座席数などの基準によってブロードウェイと区分されるニューヨークの公演カテゴリー。多くの作品がオフ・ブロードウェイでの上演を経てブロードウェイを目指しており、本作にとっても最終目標であるブロードウェイ上演へ向けた重要なステップとなる。

演出・振付は、ロブ・アシュフォードが担当。トニー賞の受賞経験を持ち、ミュージカル『アナと雪の女王』などで知られる演出家・振付家だ。作詞・作曲のダンカン・シークは、日本でもファンの多い『春のめざめ』でトニー賞を受賞している。
脚本のリア・ナナコ・ウィンクラーは、日本生まれで、現在『クレイジー・リッチ』ミュージカル版脚本も手がける新進気鋭の劇作家である。
ニューヨークでの上演が決定し、安野モヨコらのコメントも発表された。

<以下、コメント全文掲載>
【原作:安野モヨコ】

『鼻下長紳士回顧録』は、人間の欲望や孤独、そして、自分らしく生きることの美しさを描きたいと思って描いた作品です。

人の欲望には、その人だけの痛みや願いが宿っている。
私はずっと、そういう「簡単には言葉にできないもの」に惹かれ、描いてきました。

そんな、とても個人的な衝動から始まった、この作品。
描いていた当時は、まさか海を渡り、ニューヨークでミュージカルになるなんて、想像もしていませんでした。
自分の中から生まれたとても個人的なものが、たくさんの方々の力によって、国や言葉、表現の形を越えて広がっていくことを、とても不思議で幸せに感じていますし、国も文化も違っても、「自分らしく生きたい」と願う気持ちは変わらないのかもしれません。

素晴らしいクリエイターのみなさんによって、『鼻下長紳士回顧録』の世界がどのように立ち上がり、新しい観客のみなさんに届いていくのか、私自身とても楽しみにしています。

【演出・振付:ロブ・アシュフォード】

私は『鼻下長紳士回顧録』が大好きです。
この作品は、とにかく美しい。登場人物は力強く鮮やかで、ストーリーは驚きの連続です。主人公のコレットは、絶望的な現実をノートに記し、自分を救う物語として書き換え、自らを救おうとする。
そこには「自分の人生は自分で切り開くしかない」という、現代において素晴らしい教訓があります。
この物語の時代や設定はとてもミュージカルに向いています。作品が持つ様々な魅力が合わさった結果、素晴らしいミュージカルになると確信しています。
私はかつて日本で仕事をした時、日本の風土、人々をはじめ、日本に恋をしました。
今回、日本の作品『鼻下長紳士回顧録』に関わることができ、心から誇らしく嬉しく思います。

【作詞・作曲:ダンカン・シーク】

演出家ロブから、安野モヨコ氏による有名なマンガを原作とした物語の音楽を担当しないかと打診されたとき、光栄に思ったものの、少しとまどいました。脚本家リアの素晴らしいアイデアに導かれ、深く読み進めるようになるとすっかり夢中になり、自画自賛にはなりますが、これまでの私の人生で最高の楽曲を書いたと自負しています。
私たちクリエイターは誰もが、このスペクタクルな公演には、観客に移動の自由があり、従来の劇場のようなベルベットの座席に縛られることがない、ユニークなスペースが必要だと感じていた中、画期的な『スリープ・ノー・モア』の舞台となった建物に素晴らしい劇場を見つけました。本作を独自の特別な現実へと創造するために集められたクリエイターたちと共に取り組めることは、この上ない喜びです。クールな若者たち、そしてクールな大人たち、皆さんと一日も早くお会いできるのを楽しみにしています!

【脚本:リア・ナナコ・ウィンクラー】

安野モヨコ先生が生み出した美しい世界の中でお仕事できることを、とても光栄に思います。日米ハーフの脚本家として、日本のIP作品を新しい観客に届けることに強い情熱を抱いており、この素晴らしいチームと一緒に実現できることを本当に喜ばしく感じています。
この美しい作品に敬意と愛情を込めて向き合いましたので、観客のみなさんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。


ミュージカル『鼻下長紳士回顧録』 プロジェクト概要
原作:安野モヨコ 『鼻下長紳士回顧録』
演出・振付:ロブ・アシュフォード
作詞・作曲:ダンカン・シーク
脚本:リア・ナナコ・ウィンクラー
プロデューサー:黒川 裕介(TEAM RAYMAN)
エグゼクティブ・プロデューサー:アントニオ・マリオン
ゼネラルマネージャー:セリーナ・ラム(WJP)
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