新車を買った情報2021、私は四本淑三です。本日話題の中心といたしますのはテント。布を柱で立てロープで張る、あのテントであります。毎度毎度、新車も買わずにどこまでも続く詐欺まがいの連載に不愉快な思いをされた方がいらっしゃったとすれば誠に申し訳ございません。


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 さて、ENOのキャンピングチェアを買ったら思いのほかイーノだった。そんな話を以前いたしました。運転中は最高であってもリクライニングできない休憩しづらいロードスターのシート。それを補完する狙いでしたが、結果として個人の占有空間をドアの外に置く、この体験がまさにアウトドアへ踏み出す第一歩となったのであります。


 だいたい疲れたからと言って好き勝手に椅子を置ける場所など滅多にございません。たとえいい感じの公園があったとしても、広い芝生の上にぽつーんと椅子に仰向けで寝ているおっさんとは、傍目にどのような存在であるのか。加えて紫外線や風にさらされ放題ですから、北海道弁で言うところの「あずましくない」状態。休憩どころかまったく落ち着かないわけであります。チェアリング? なんだそれ。


 そうした空気の一切を遮るのがテント。ここはプライベート空間であるぞと宣言する薄い膜の必要を、私は椅子に座って実感したのでありますが、しかーし!


 テントを買ったら最後、目下大ブームであるところのキャンプに乗っかることになる。いい歳こいて恥ずかしくないのか。クルマは曲がりなりにもロードスター。キャンプ場を大人数で目指すSUVではないぞ。


 ここは葛藤のしどころ。とは言え、すでに届いたものを張ってしまって私はウハウハなのですが。


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パリピでなくても楽しめるスタイル

 正直言って私、キャンプ自体のイメージもよろしくありませんでした。バブル崩壊後の90年代半ばくらいでしたか、一大キャンピングブームがやってまいりまして、今でいうパリピやウェイのような方々が、あらゆるレジャー施設に跋扈する時代。


 当時売れていたのはパジェロのようなRV。声のでかい人たちが、でかいタイヤのクルマから続々と吐き出され、チェケラッチョみたいな音を鳴らしながら花火を飛ばし、肉を焼いてはゴミを残して帰ってゆく。多分に偏見に満ちた認識で皆がそうでないのは百も承知ですが、迷惑な奴ほど目立つし記憶に残るのであります。


 ところが今回のキャンプブームは様子が違う。主役は相変わらず若者のグループや家族連れですが「ソロキャン」なる一人キャンプが流行中。その立役者は「ヒロシちゃんねる」と「ゆるキャン△」に相違ありません。なぜなら私がその影響を受けまくっているから。


 △ってなんだ。赤字でキャンプか? そんなことを思いつつ見た「ゆるキャン△」アニメ版は、初心者向けガイドも兼ねた懇切丁寧な内容で背景も美麗。実写版は独りでキャンプ地へ向かい、独りで食べ、心の声でその旨さを語るというこの展開は、女子高生版「孤独のグルメ」ではないか。ということで見ているうちに腹も減ったわけであります。やっぱテレ東。



 同じことをやりたければ道具はスマホでポチればすぐ届く。人のいないところへ行ってボッチで楽しむのだからディスタンスは無限大。キャンプに行ったら自分で動画を撮って上げてみるのも良し。今どき自撮りもマスク姿で構わないからハードルは低い。


 良くも悪くもそんなコロナ禍ならではのブームという側面もありましょうし、そうしたネットを通じたソーシャル式循環もブームの後押しをしておりましょう。ですがもともと各個離れ離れで盛り上がれる数少ない遊び、それがソロキャンであります。そう簡単に消えて無くなるブームでもないでしょう。


ジムニーとロードスターほぼ同一説

 クルマだってロードスターでいいんであります。


 ヒロシちゃんねるに登場するJA11「スズキ ジムニー660 フルメタルドアCC」は、ぱっと見「武骨」そのものでも、ヒロシ仕様においては幌がファストバックスタイルのものに交換されており、事実上の2シーターオープンカー。舗装路では後輪駆動車として運用せざるを得ない事情を勘案すると、ロードスターの仲間のようなものです。



 大差がつくのは細い林道に入ったら向こうは最強のオフロードスターと化すこと。ですがキャンプ場へ至る道にそんな悪路も滅多にございません。たとえば実写版「ゆるキャン△」シーズン1の第2話、冒頭から13分38秒頃の背景に、黒のロードスターとベージュのテントが写っていたのを私は見逃しませんでした。仕込みか一般客かは不明ですが、ふもとっぱらならロードスターで到達できるわけであります。


 ちなみにND型ロードスターの最大積載量は110kg。JA11型ジムニーは4名乗車で150kg、2名乗車で250kgですから、ジムニーの方が積める。しかし現物を見ていないので勝手な想像ですが、ファストバックの幌が付いたジムニーの積載容量はそんなにロードスターと変わらない気も致します。


 そういえば昔から洒落として「ロードスターはキャンピングカー説」もささやかれてきました。実は結構荷物は詰めるんだぜという意外性の訴求、および制約があるからこそ楽しいのだという主張でもありましょう。


 アウトドアのスタイルは様々。徒歩、自転車、バイク、クルマ。行き先や持っていける荷物の量によって、装備やスタイルが違うだけ。可能な装備で、各々行けるところへ行って勝手に楽しめばいいのであります。


設営・撤去が速い現代版インディアンテント

 買ったテントはバンドック「ソロティピー1 TC」。ソロは一人用。ティピーはネイティブ・アメリカンの移動用住居、いわゆる「インディアンテント」で、形は三角錐。TCはテントに使われる生地の素材で、テトロンコットンの略だそうであります。


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 TC素材はポリエステルに比べると重く、値段も倍ほどしますが、ポリエステルにコットンを混ぜてあるので、火の粉がかかっても穴が空きにくい、つまり近くでちょっとした焚き火くらいはしても平気なのだそうです。生地も厚く遮光性も高いので、日除けやプライバシー保護という今回の目的にも合っています。


 ティピーの構造的な良さは、設営・撤収が速いこと。中でもソロティピー1 TCのように一本の柱で支えるタイプは「ワンポールテント」と呼ばれ、四隅に杭を打って、テントの中に潜って真ん中にポールを立てたら最低限の設営は完了。私が初めて建てた際にも、設営・撤収ともに5分ほどしかかかりませんでした。強風対策のために四隅にもう1本ずつロープが張れるようになっていますが、天気が良ければ張らなくても問題はなさそうです。


 設営・撤収の早さにはテントのサイズが小さいこともあるでしょう。高さは150cm、底辺は240cm四方で、ソロ用では最小。杭を打つ・抜く、テントを展開する・たたむといった作業で、あまり動き回る必要がありません。


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跳ね上げ式の前面開口部が日除けに便利

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 開口部にタープがビルトインされているような構造も大変結構。ここを跳ね上げると椅子を置いて日除けになります。あらかじめ太陽を避ける方向に設営するのがポイントですが、ネイティブ・アメリカンは入口を太陽が昇る東向きに建てたそうなので、次は真似してみようと思います。


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 ちなみに後ろ側にも入口があり、ここを開けっぱなしにすると風が通って涼しい。天辺には開閉式のベンチレーションホールがあり、底辺は風の侵入を抑えるスカート付きで、暑ければ巻き取ることもできます。


 中は狭いと言えば狭いですが、さっさと設営して休憩してすぐ帰るという目的にバッチリハマるもので、私はとても満足です。ちなみに私はまだ使っていませんが、就寝用に虫除けのカヤのようなインナーテントも付いていおりました。


 ただ若干気になるところもないではありません。オーナーの方ならよくご存じの例の問題ですが、それはまた次の機会に。 


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 さて、トランク常備品はこうなりました。上のカーキ色のバッグが今回のソロティピー1 TC。収納時のサイズは長さ440mm、幅240mm、重さは4.8kg。重量、容量ともにまだ全然余裕です。それではまた。

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