ASCII.jpで自動車レビューをしている元レースクイーンで歯科衛生士の星野奏さんこと、ほっしー先生(美人すぎる歯科衛生士レースクイーン星野奏の「この車がほっしー」)。最近お子さんが生まれ少しは落ち着きを……と思ったら、なんとASCII.jpでWRCを目指す連載を持っているウェルパイン・モータースポーツからラリーに挑戦するというではありませんか。

そこで初体験のラリー挑戦記を2回にわけてレポートしたいと思います。サーキット走行のレースよりハードルが高そうなラリー参戦ですが、想像より低いと思っていただけると幸いです。
頭文字Dの聖地で開催された
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ




ほっしー先生が参戦したのは、7月3~4日に行なわれたTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ2021シーズンの第4戦「渋川 伊香保」大会。頭文字Dの聖地である渋川市を舞台に、渋川スカイランドパークの駐車場をメイン会場(サービスパーク)、林道2ヵ所をSSとした大会です。モータースポーツの取材は何度もしていますが、ラリー競技の会場にお邪魔するのは初めての筆者は、会場入り口が遊園地であり、しかも平和な家族連れの姿を見ると「本当にココでやるの?」と不安な気持ちに。ですが、家族のミニバンに交って、スポンサーステッカーが貼られた車が走る姿を見て一安心。
遊園地に訪れたお客様の中を大会参戦車両が混じる姿は、どこか見ていてほのぼのとしました。大会は2日間の日程が設けられていますが、実際に競技を行うのは4日のみ。前日の3日は車検や準備などの時間に割り当てられています。ほのぼのした感じは大会全体にも流れており、SUPER GTやSUPER FORMULAとは異なり、D1GPに近い印象。ですが、それよりもほのぼのして、ピクニックに来たような雰囲気でした。
チームスタッフの勉強としてラリーに挑戦
そもそも、ほっしー先生がウェルパイン・モータースポーツから何故にラリーの挑戦をしたのか、という経緯を簡単にご紹介したいと思います。実はほっしー先生、全日本ラリー選手権に参戦するウェルパイン・モータースポーツの2020年シーズンのレースクイーンを務めることが内定していました。ですがシーズン直前にご懐妊したのでキャンセルしたのです。先生は、せっかくの御縁ゆえ手伝うことはできないかと打診したのだとか。そこで、出産後の今シーズンからホスピタリティまわりのお手伝いをされていました。
その甲斐甲斐しい働きぶりを見た松井監督は、「今後もラリー競技を手伝うんだったら、実際に参戦してみたら? ホスピタリティの仕事に役立つと思うよ」と、ほっしー先生に提案。今回コ・ドライバーとしての参戦と相成りました。

そんな星野先生の相棒でドライバーを務めるのはaym(アユム)選手。aymさんは、2019年、CUSCOイメージガール「高崎くす子ちゃん」として、ウェルパイン・モータースポーツを盛り上げていた女子。現役レースクイーンでもあり、メタルバンドのボーカリスト(しかもデスボイス)でもあるaymさんは、以前コ・ドライバーを体験したことがあり、ほっしー先生とは仲良しということもあって、監督から「ドライバーやってみなよ」という話になったのだとか。ドライバーは初体験で、腕前は「クルマは土日に乗る程度」。こうしてレースクイーン経験者によるラリー未経験者チームが誕生しました。レーシングスーツ姿もバッチリ似合っています!


参戦車両は今シーズンの全日本ラリー選手権に参戦しているGRヤリスRS。こちらの車両については、以前ASCII.jpでご紹介しているので、そちらをご参考いただききたいと思います(全日本ラリー参戦車両のGRヤリスRSはドライバーが安心して踏める要素が盛り込まれている)。
ちなみに記事掲載時と違うのはステアリングホイール。ボタン式だったシフトチェンジシステムが、パドルに変わりました。ステアリングリモコンもバッチリ動きます。そんなGRヤリスRSですが、実は今回が最後のレース。というのも、WRCラリージャパンの参戦マシン購入のため、この車は売却することに(レギュレーション上、GRヤリスRSでは出場できないため)。キズをつけようものなら、査定に響いてしまい、高価買取が難しくなってしまいます。これは責任重大です!
初めてのラリー競技に最適な
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ

現在、日本国内では全日本戦のほか、地区大会、県大会と様々な大会が開催されています。その中で今回挑戦するTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジは、もっともハードルの低いトヨタのワンメイクラリーになります。

2021シーズンは、車種や練度などによって大きく10クラスに分類されていますが、今回ほっしー先生がエントリーしたのは、賞典外のオープンクラス。というのも指定のラリータイヤが履けなかったから!
よって、参加者はなんと、aym/ほっしー組のみ! つまり完走すればクラス優勝なのです。ですが、オープンクラスはタイム計測はなく優勝しても商品がありません。残念!(この後、急遽オープンクラスになったクルマがいたので単独ではなくなりました)

折角ですので、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジの参加条件などについて説明しましょう。普段乗っているGRヤリスや86、アクアなどに安全装備を装着し、四輪国内Bライセンスを取得していれば誰でも参戦できます。ですので、ほっしー先生たちも、四輪国内Bライセンスを取得しました。ライセンスはJAFに加入し、かつ講習会に参加すれば取得出来ます。講習会の費用は場所によって様々。コロナ禍ということもあって、オンライン講習会も行なわれており、そちらは講習料5000円。そしてライセンス申請料が3100円となります。
参加費は1大会あたり3万8500円(税込)。参加料が必要なのはほかのワンメイクレースと一緒です。ですがことなるのは別途、掛け捨ての任意保険に加入するというところ。公道を走るものの、競技という普段とは違う車の使い方ですので、事故が発生した場合、普段加入している任意保険が降りない可能性があるのです。そこでトヨタでは「ラリーチャレンジ保険」というものを用意しています。
車種や保険内容により金額は異なりますが、対人無制限・対物500万円で1万3000円程度。というわけで、1大会あたりの参加費は5万円強になります。あとは会場までの交通費やガソリン代、宿泊費などなどは別途必要。「なんだ結構お金かかるじゃないか!」と思われそうですが、モータースポーツの中では破格です(比較にならないですが、SUPER GTは年間で億単位)。ちなみに食事ですが、レース日の昼食として、お弁当2個が支給されます。

エントリー当日はテキパキ&ドタバタ

では、大会前日の様子から。競技車両を自走してくるaym/ほっしー先生の到着を待つ間、チームスタッフはハイエースから大量の荷物を取り出しテントを設営していきます。メカニックや監督といった立場は関係なく、手際よく組み立てて完成。机と椅子を組み立てて、ほっしー先生の到着を待ちますが、待てど暮らせど来ないではありませんか。そして予定時刻の1時間後……。

「もう、聞いてくださいよ! あゆむん高速道路で迷ったんですよ! 普段高速道路乗らないから、道がよくわかってないんですよ」「だって、途中大雨だったじゃん!」と、夫婦漫才をしながら両選手が登場。無事にたどり着けて何よりです。


夫婦漫才の話を総合すると参戦車両を引き取りにいくも大雨の影響で交通機関がマヒ。さらにナビがわかりづらくて道を間違えた、という結論のよう。GRヤリスRSはスマホを車両と接続しGoogleマップをナビ変わりにするのですが、そのナビが普段使っているナビと使い勝手が違ううえに、変な道を出したのだとか。Googleマップあるあるに引っかかったようです。






ともあれ参加受付をしないことには話は進みません。大会本部で運転免許証とライセンスを見せて、参加申し込みをします。無事にエントリーが終ると、大会本部からステッカー類が渡され、車検までに貼るようにとの指示が言い渡されます。


今回のラリーは、渋川市全体を使って競技が行なわれます。よってサーキットとは異なり、クルマがどこを走っているのか把握するのが困難な状況になります。そこで使われるのがGPSを用いたトラッキングシステムです。今回のTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジではスマホに専用アプリをインストールし、位置情報をサーバーに送信するシステムが使われています。早速ほっしー先生も自分のスマホに、そのアプリをインストール。指定された大会番号とゼッケン番号を入力しました。

エントリーをしてチームに戻ると、ひとりの男性が2人を尋ねてきました。ファンの人がここまで来るのか? と思いきや、この方はアナウンサーの方。今大会はYoutubeでの生放送が行なわれるので、そこで話す内容の取材というわけです。2人は自己紹介をしたり、アピールポイント、大会に対する意気込みなどを話をしていました。初心者向けラリーという割には、実に本格的です!






インタビューが終れば、車検の準備です。具体的にはエントリー時に渡されたステッカーを車体に貼ります。好きな場所に貼っていいかというとそうではなく、場所が決められており、しかもドア部分に至っては左右対称が求められるとのこと。これらはレギュレーションで決められているのですが、ほっしー先生が熟読するわけもなく「ここら辺でよくない?」と適当に貼ろうとする2人。もちろんクルマにステッカーを貼った経験もありません。水張りの方法を教えてもらいながら、ノリノリで貼っていきます。



リアのウインドウにチームが用意したネームステッカーをペタリ。ちなみに名前部分は本来はフォントや文字の大きさが決められているそうで、窓の枠からはみ出してしまうほどなのだとか。ですが国内大会ではそこまで厳密に決められていないそうです。こうしてステッカーを貼り終えてドヤ顔の2人。スマホで自撮りをしたりしていました。
車検を無事に受けられるワケもなく……


次の課題は車検。出場するにあたっての安全装備などの確認になるのですが、車検場へ向かう途中、1枚貼り忘れていたことをスタッフが発見! 車列に並んでいる間、素早く貼って事なきを得ました。ステッカーを貼っていないと車検に通りませんから、スタッフは大慌て。ですがほっしー先生は「やっばーい、うっそー」と呑気なものです。
そして車検場へ行く道すがら、今度はaymさんにトラブル発生。大会の運営スタッフが「まて! クルマを動かすな!」と大声を上げたので急ぎ見に行くと、フロントバンパーに取り付けられたゴム製のフロントリップとタイヤが縁石と接しているではありませんか!


このまま動いてしまうとホイールやバンパーに大きな傷がついてしまい、買取査定額が下がってしまいます。大会スタッフは「ハンドルを動かさず、ゆっくりバック」と指示を出し、筆者は筆者で後ろに並んでいるクルマにバックのお願いをしたりと大騒ぎ。ようやく脱出に成功したので現場検証すると、フロントリップとタイヤの一部に白い跡が残り、コンクリートにもしっかりと黒い跡が……。ですが幸いホイールとバンパーにキズはなく一安心。事態を聞きつけた監督は「とりあえず、気を付けてね」と優しく声をかけます。実に人間ができています。








車検は車体番号の確認や装備品、スペアタイヤのチェックから始まって、車内のロールゲージを持ってクルマを揺らしたりと、実に細かいチェックを3ヵ所にわけて行ないます。こうして車検は無事に通過。ちなみに上記のステッカー貼りや車検はレース開始の朝にも行なわれていますので、この大会に関しては、必ずしも前日に受ける必要はありません。
初めてのラリー参加でも初心者講習で安心



時刻は夕方5時を回りました。初めてラリー競技に参加する二人は、今度は初心者講習に向かいます。お二人はもちろん、ルールなどは熟読済み。それにチームからラリーとは何か、といった座学も受けて完璧。なのですが、もう一度ラリー競技とは何か、から始まって、トラブル発生時のSOSの出し方などを習います。「1分以内にクルマを降りて三角板を出して……とか、マジ無理じゃない?」とほっしー先生はちょっと不安そう。
1時間ほどの初心者講習が終ると、時刻は6時を過ぎていました。ほっしー先生/aymさん組と筆者が一緒にいるのはここまで。というのも、お二人はチームが用意した近くのホテルで宿泊なのですが、筆者にホテルは用意されておらず……。




涼しい部屋で過ごす2名に対し、筆者は独りN-VANで車中泊。トヨタのイベントにHondaのクルマで行った罰なのでしょうか。さらに2人はファミレスで食事をしたらしいのですが、当方はコンビニの半額弁当という悲しい夜を送ったのでした。この様子は別記事にて。
さて、お二人は食事後にホテルの駐車場でヘルメットの着脱などを監督から教えてもらい、もう一度ルールブックを読んで深夜に就寝したそうです。
夜の勉強会、練習会終わり!!
走りの練習ではなくそれ以外のことを。。。
少しラリー講習会テキストを読んでから寝まーす
写真はちょうど2年前の今頃2人で撮ったやつです!w
おやほっしーーー!⭐️#ラリーチャレンジ#渋川伊香保pic.twitter.com/bf37rbeswQ
— 星野奏⭐️ほっしー (@hoshino_kanade_) July 3, 2021
こうして何やかんやでドタバタした初日が終了。翌日はいよいよラリー本番です。はたしてどうなったのか……次回へ続きます!

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