アイドルユニット「純情のアフィリア」に所属する寺坂ユミさんをASCII.jp自動車部のゆみちぃ部長としてお迎えし、彼女が憧れを抱くというMINIに毎月1台乗ってもらう超私的企画「MINIミニ大作戦」。今回は最新技術てんこ盛りのMINIに挑戦してもらいます。
MINIシリーズ唯一のPHEV車
MINI クロスオーバー

グラビアに歌にダンスと大忙しのゆみちぃ部長。そんな彼女のオフは、カーシェアでクルマを借り、友達とドライブするのだとか。しかもメンバー同士で出かけること多く、アウトレットモールでお買い物などをしているとのこと。それゆえにクルマに求める要素は「広い後席と大容量の荷室」であって、借りるクルマはSUVばかり。というわけで、今回MINIのSUVモデルであるクロスオーバーの指名が入りました。

実車をお借りしてきたところ、今まで見慣れたMINIとはエクステリアが随分違います。この顔をMINIといっていいのか? と担当編集の部員Sと小間使いの部員Kは頭の中にクエスチョンマークが点灯。一方、ゆみちぃ部長は「コレよコレ! カワイイ」と喜びいっぱい。ゆみちぃ部長に喜んでもらえるなら、それが正義です!



大きさは4315(全長)×1820(全幅)×1595(全高)mm。ホイールベースは2670mmと、コンパクトSUVに似た寸法。もっと言えばMINIクラブマンと車高以外はほぼ変わりません。つまり使い勝手のよいサイズといえそうです。ただ、今回試乗するモデルの車重は1770kgとヘビー級。

ここでMINIクロスオーバーのラインアップについてご説明しましょう。もっともエントリーのモデルは、最高出力102馬力を発する1.5リットル直3ターボエンジンを搭載した「BUCKIGHAM(バッキンガム)で値段は395万円。続いて「COOPER D」という最高出力150馬力のディーゼルエンジンモデルで433万円。その4輪駆動モデル「COOPER D ALL4」が457万円。40馬力アップさせた高出力モデル「COOPER SD ALL4」が510万円と、ディーゼルエンジンが主。これに最高出力306馬力を発する2リットル直4ターボエンジンを搭載した、ASCII.jp自動車部が大好きなグレード「ジョン・クーパー・ワークス(609万円)と、今回試乗するPHEVモデル「COOPER S E ALL4」(510万円)の計6ラインアップ。そう、今回試乗するのは、MINIシリーズ唯一のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)車なのです。


PHEVとは何ぞや? 簡単に言えば充電できるハイブリッド車のこと。事実、車両の左フロントタイヤ付近には、充電ポートがあります! そこで、ゆみちぃ部長に充電ガンを持ってもらい、写真をパチリしようとした時のこと、あることに気づきました。「このクルマ、充電ソケットが1個しかいないんですけれど」。

そうなんです。

近年欧州では自動車を保有または取得時にかかる自動車税(自動車登録税)の税率にCO2排出量を加味する動きが本格化しています。そしてCO2排出量が大きな純ガソリンエンジン車には、とんでもない額の自動車登録税がかかりますし、フランスに至っては汚染車税というものまで存在します。EU圏内において、ガソリンエンジン車を買う事は罰に等しい扱いなのです。その一方、充電機能と搭載し電気だけで走るクルマに関しては、自動車取得時に補助金や軽減税率といった優遇処置を受けることができます。

これは日本もしかりで、MINIクロスオーバーCOOPER S E ALL4を購入すると20万円のCEV補助金を受けることができるのほか、エコカー減税として、自動車取得税11万9700円と重量税3万円が免税。

そんなMINIクロスオーバーの四輪駆動システムですが、前輪はガソリンエンジン、後輪はモーターと、別の動力源で駆動します。搭載するバッテリーの容量は10kWhで、バッテリーだけで約53km走行することができます。ちなみに約53kmというのは、 定められた試験条件での値で、使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて数値は大きく異なりますからご注意を。


エンジンはBUCKIGHAMグレードと同じく、1.5リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ。ですが最高出力は136馬力と、Cooperの名の通り増強されています。トランスミッションは6段ATと、他のMINIに比べると、段数が少ない様子。モーターの出力は88馬力で、システムとしては224馬力、ということがカタログで謳われています。


部員Kが、お金とスペックまわりの御託を述べたところで、MINIミニ大作戦恒例のテスト車の総額チェックの時間となりました。今回お借りしたクルマのお値段616万4000円! その内訳は、車両本体価格510万円に、オプションが106万4000円。気になるオプションの内訳は……。
- ボディーカラー<ホワイトシルバーメタリック>(8万円)
- フロントスポーツシート<クロスパンチレザー カーボンブラック>(0円)/
- PEPPERパッケージ(8万6000円)
- レザーシートパッケージ(36万6000円)
- デジタルパッケージプラス(14万1000円)
- 18インチアロイホイール<ブラックピンスポーク7.5J×18 225/50R18>(1万5000円)
- ブラックルーフレール(1万4000円)
- ピアノブラックエクステリア(4万1000円)
- アラームシステム(5万7000円)
- ブラックルーフ&ミラーキャップ(0円)
- ヘッドライナー<アンスラサイト>(3万4000円)
- MINIユアーズインテリアスタイル<シェ―デッドシルバーイルミネーテッド>(3万5000円)
- ピクニックベンチ(1万8000円)
- プライバシーガラス<リア>(5万1000円)
- harman /kardon Hifiラウドスピーカーシステム(12万6000円)


ここでゆみちぃ部長から「だったら、ジョン・クーパー・ワークスを選択しちゃうなぁ」というオドロキの言葉が! 数ヵ月前まで「ジョン・クーパー・ワークスだけはない!」と言っていたのに。
大容量のラゲッジスペース
だが車中泊は厳しそう



ゆみちぃ部長にとって、ラゲッジスペースは重要な要素。後席の背もたれを立てた状態で405リットル、倒せば1275リットルと、部長がカーシェアでよく借りる「ヤリスクロス」が逃げ出す容量に大満足! しかもフルフラットになります! ただ後席を倒す際、後席側の座面近くにあるヒモを引っ張らないと倒れないらしく、使い勝手の面では日本車の方が上手。

というわけでお待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。ASCII.jp 名物「ゆみちぃ部長のラゲッジスペースで寝っ転がりカット」のお時間がやってきました。後席を倒し、フルフラットになることを確認した瞬間から、ゆみちぃ部長は「はい、いつもの撮るんですよね」と、車内に乗り込むようになりました。実にいい傾向です。今回は顔をバックドア側でお願いしてパチリ。何も言わずに足をクロスするあたり、さすがゆみちぃ部長わかっています!



こうしてラゲッジをチェックするわけですが、どうやら二重底になっている様子。開けてみると充電ケーブルと、何やらクッションが一つ。



ラゲッジを堪能したところで、今度はリアシートをチェック。この広さはさすがといったところで、ゆみちぃ部長も同行マネージャー氏も大満足。USB Type-C端子を2系統用意しているので、後席でもスマホが充電できます。ガジェット好きのゆみちぃ部長は「PD対応ですか?」とすかさずチェック。PD対応なら充電速度は上がりますし、出力次第でノートPCもチャージできますからね。でも恐らく違うと思います。というのも自分が持っているモバイルバッテリーで試したのですが、それほど早くチャージできなかったから。ここら辺の検証方法は別途考えないとなぁと、部員S。ちょっと考えますと部員K。




運転席はクロームメッキのスイッチ類や円形のセンターコンソールなど、MINIの世界観がいっぱい。ゆみちぃ部長は、この世界が大好きなようです。その中で他のMINIと違うところといえば、モードセレクターがプレイスティックではなく、レバー式であるところ。「私的にはこっちの方が、どこにギアが入っているかわかりやすくてイイと思うんですよ」ということで好印象。






そんなクロームメッキのスイッチ類ですが、配置はそのままにイグニッション部の色が赤から黄色になっただけでなく、機能が少し異なります。というのも、電動に関するスイッチが設けられているのです。スイッチを切り替えると、通常のAUTO eDriveモードのほか、バッテリーだけで走行するMAX eDriveモード、そしてバッテリー消費を抑えるSAVEモードという3つの走行モード切替を用意。この走行モードの切り替えにより、四輪駆動になったり前輪駆動になったり、後輪駆動になったりします。「それって走りの挙動が変わるじゃないか!」と部員Sは吠えますが、そんなサーキットを走るとかじゃあるまいし。



そのほか、スポーツモード、ノーマルモード、エコモードがあって、取材で試すことはいっぱい。というわけで試乗に移りましょう。
マイルドな加速と重厚な乗り心地

まずは部員Kが取材先まで運転。走行モードはエコモードで、バッテリー消費抑えるモードにセット。昨今の燃料代高騰から普通のハイブリッドモードで走りたいのですが、ゆみちぃ部長にバッテリーのみの走行をしてもらう都合、可能な限りバッテリー消費を抑えたいのです。過去に乗ったMINIの中で、もっとも静かで穏やかなクルマというのが最初の印象。乗り味はBMWやMINIに共通する「地に足のついた重厚な乗り味」なのですが、そこにクッション性が高まったという印象。硬さは皆無です。
これは後席に乗っているマネージャー氏もゆみちぃ部長も感じられたようで、笑顔で太鼓判。部長にとってクルマは静かな方が好ましいようです。これは高速道路でも同様。風切り音は抑えられていますし、なにより重心の低さが印象的。長距離クルーズでも疲労感は少ないのでは? というわけで、バッテリー残量40kmを残した状態で、ゆみちぃ部長に選手交代。まずはノーマルモード+ハイブリッドモードで走行してもらいます。

「静かでパワフルなクルマですね」と部長。「丁度いい、という印象ですね。あと、時折、四輪駆動車なんだな、というトラクションのかかり方を感じます」と通な発言まで飛び出すではありませんか。「静かに発進するし、加速も穏やか。パワーがないわけじゃなくて、穏やか。だから運転しやすいですね」とゆみちぃ部長。

ここでEVモードにチェンジ。基本的にモータードライブだけになりますので、リア駆動のみで、さらに言えば最高出力も88馬力へとダウン。「確かに踏んでも進みづらくなりましたね」と体感。「そのいっぽうで、凄く静か。EV車みたいにフュイーンという音がしますし、いっぽうでトルクの立ち上がりは速くなったような」というわけで、EVフィールを感じた様子。
ですが急激な加減速や、アクセルのベタ踏み等、EV的に厳しい走りをしたらしく、40km近く残っていたハズのバッテリー残量が、わずか10km程度の走行でゼロに! 撮影していた部員Kが戻ってメーターを見るや「もう空っぽにしちゃったの!?」と驚きを隠せません。EVの走行距離を持たせる走りをマスターしないとですね!
というわけで、ここで積極的にバッテリーの電力を利用した走行は終了。基本的にガソリンエンジンによるFF、時折リアモーターによって四駆に変わるという方式の走行でのインプレッションに。まぁ通常の使い方ではこちらがメインになるでしょう。

ここで部員Sに選手交代。問答無用でスポーツモードに切り替え試乗再開です。アクセルを踏み込み「さすがにジョン・クーパー・ワークスほどではありませんが、静かながらもモーター駆動らしい加速感はありそう」と冷静に分析する一方、ゆみちぃ部長には以前ジョン・クーパー・ワークスで経験した悪夢が再来したようで「ヒェッ」という言葉にならない言葉が。「こういうモノですかね」「一般の人にはこちらの方がウケるでしょうね」という部員達。

試乗を終え「MINIの中で、もっとも静かで、もっとも積載できるので、家族向けや、友達とどこかに行きたいという人にはいいかもです!」と大満足の笑顔を魅せるゆみちぃ部長。部員Kも、その考えには同意で「もっともファミリー向けのMINIを求めるならコレなんだろうな」と感じた次第です。「自宅で充電できないと、このクルマのメリットはないのでは?」と思いがちですが、充電空っぽ状態で走っても「コレはコレで、アリなのかもしれないな」と思わせる実力の持ち主。
さらに月額2750円のMINI CHARGINGを利用すれば、街にある普通充電器を0円/分、つまりタダで何度も使い放題になるのです。普段使いをする人ほど、このランニングコストは魅力に映るのでは? もっとも走り方によってはスグに電気がなくなってしまうので、完全EV走行だけで暮らすのは難しいのですが、昨今高騰しているハイオクガソリン代の節約にはなりそうな。優遇税制を考えると、MINIクロスオーバーPHEVは賢い選択肢かもしれません。

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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近ペーパードライバーを脱出。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、お気に入りの1台を探す予定。