アイドルユニット「純情のアフィリア」のメンバーにして、ASCII.jp自動車部の部長を務める「あっち、こっち、ゆみちぃ」こと寺坂ユミくん。そんなゆみちぃ部長が憧れを抱くMINIを毎月1車種づつ試乗する連載「MINIミニ大作戦」も、ついに感動の最終回(おそらく)です。
MINIの中でも使い勝手のいい5ドアモデル

今やアイドル界で最もMINIに詳しいゆみちぃ部長(たぶん)。MINIの事なら、ゆみちぃ部長にお任せです。ですが「普通のモデルだと言われて乗ったら最強モデルのジョン・クーパー・ワークスだったとか、豪雨の中でスポーツモードを押されて306馬力が猛発進とか、なんなんですか! スパルタですか?」と、クルマの事より取材の思い出が心に強く残っている様子。



今回試乗するのはMINIの5Door。簡単に言えば、以前試乗した3Doorモデルにドアを2枚増やした1台です。その分だけ全長は16.5㎝ほど長くなっています。「これで後席が乗りやすくなりますね」というゆみちぃ部長。「大きさ的には、前回のクロスオーバーやクラブマンより、こっちの方が取り回ししやすそうでイイですね」と、コンパクトな方が好ましいと思われている様子。

部員的には「MINIは長年3Doorだった。5Doorは邪道」などと思うのですが、ゆみちぃ部長にはそのようなコダワリはない様子。逆にそういったコダワリは、脳が硬化している証拠。

「この屋根、グラデーションなんですね」と目ざとく見つけた部長。こちら現行モデルからオプションで採用されたマルチトーン・ルーフというもの。お値段は9万6000円になります。広報の方によると、車両両前方には深みのある「ソール・ブルー」、中央部分になるにつれて明るい「パーリー・アクア」、さらに後方部分は濃い色「ジェット・ブラック」へと、徐々に変化している塗装なのですが、乾ききる前に塗装しているため、1台1台微妙に個体差が生まれるのだそう。つまりその屋根は世界で1枚しかない、というカスタマイズ性を楽しむMINIの世界にピッタリのもの。「とても綺麗ですね! 表情があってイイ」と、ゆみちぃ部長もお気に入り。

荷室は3ドアと比べて約3割ほど容量アップの278リットル。日本のコンパクトBセグと比べると少な目なのですが、それでも3ドアの狭さを見た目からすると「おぉ広い」と感じることでしょう。とはいえ、今回の取材では4人が乗車しているのですが、全員の荷物(というより部員Kの撮影機材がほとんど)を入れると、本当にギリギリな状態に。「荷物を大量に、というのは難しそうですね」とゆみちぃ部長はポツリつぶやきます。

ディーゼルエンジンモデルのMINI
そうなんです。今回はディーゼルエンジン仕様のMINIなのです。「でぃーぜるえんじんって、何ですか?」という部長。ディーゼルエンジンとは、燃料としてガソリンではなく軽油を用いる内燃機関。というのも最近ガソリンが高いのは誰もが知るところ。部長も街でガソリンスタンドを見かける度に「160円たっか!」と声をあげています。MINIのガソリンエンジンはハイオク専用ですので、さらに高くなってリッター170円とか176円とか。ちなみに1年前の2020年12月はリッター140円ですからね。高速道路で給油すると、もっと高くなります。

一方、軽油はリッター134円程度。「この価格差はどこから生まれているの? 軽油というだけに軽いから安いの?」と、ゆみちぃ部長から素朴な疑問が生まれるのは当然のこと。この価格差はズバリ税金。
ガソリンには、揮発油税(48円60銭/L)と地方揮発油税(5円20銭/L)のリッターあたり53円80銭のガソリン税を納めています。本来は揮発油税(24円30銭/L)と地方揮発油税(4円40銭/L)とを合わせて28円70銭/Lなのですが、2008年から暫定税率が適応されています。暫定税率は1973~1977年度の道路整備5ヵ年計画の財源不足に対応するために、1974年から35年間適応するというもの。そのおかげで日本の道路は綺麗になったのですが、2008年3月末に一度失効したものの、当時の福田内閣と衆議院で再議決され2008年5月1日から暫定のまま13年以上が経過しています。
軽油は地方税で軽油取引税と呼ばれています。現在は32円10銭/Lですが、本来は15円/L。こちらも2008年以降の暫定税率が適応されています。ちなみにヨーロッパでは軽油もガソリンもほぼ同じ値段で、英国の場合ハイオクがリッター200円、軽油が195円。アメリカではガソリンが116円に対して、軽油は139円と逆に高かったり。つまり「原価はほとんど一緒」なのです。軽いから安い、というわけではないのです。

「なるほど! 日本だと軽油はお安いんですね」と、納得するゆみちぃ部長。

しかもMINIのディーゼルは燃費がよくて、今回取材したモデルでリッター19kmを記録。ちなみに過去のガソリン車では、11~14kmといったところですから、燃料費が安くて燃費もイイ。「つまり、ランニングコストが安いということですね! メッチャいいじゃないですか! どうして今までディーゼルを選ばなかったんですか?」と、ゆみちぃ部長は車両手配担当の部員Kを責め立てます。そこにはディーゼルエンジンならではのデメリットがあるから。
それは、エンジンの騒音が大きくなりがち、ということ。さらにエンジンブレーキがかかりづらいという2点。ゆみちぃ部長は音が大きな車はお好みではないですから、避けていたのです。「そんなことないです!」と言い張りますが、実際ゆみちぃ部長は騒音の大きな車に乗ると黙ってしまいます。部長と楽しい車内を過ごしたい部員Kは、スポーツモデル以外でエンジン音の大きな車の取材を避けていました。ですが、昨今のガソリン代高騰と経費削減の両面から、今回はディーゼルエンジン搭載モデルを選んだのです。
3Doorと比べると後席が広い!


3Doorと5Doorの最大の違いが後席。というのも3Doorは4人乗り、5Doorは5人乗りなのです。中央の席には足元にドリンクホルダーがあるので快適とはいえないのですが、少し広くなっている、という点では快適性は向上しています。ちなみに写真のタンレザーは部長お好みのカラー。「この色、マジでイイ!」と大絶賛です。ただこちら、CLASSIC TRIMというオプションの室内だそうで、お値段は39万円になります。

ここで試乗車のお話を。まず車両本体価格が359万円。これに前出のグラデーション天井のマルチトーン・ルーフが9万6000円、室内のクラシックトリムが39万円、17インチのアロイ・ホイールが13万7000円、ETCが6万2000円、シート・ヒーターが4万1000円、ハーマンカードンのスピーカーが11万円。


さらにヘッドアップディスプレイやらApple CarPlayなどのデジタルパッケージプラスが14万1000円が追加。

さらに運転支援システムの19万5000円が加わってオプション総額は117万2000円。車両と合算すると、試乗車の価格は476万2000円也! 「もうね、驚かないことにしたんですよ」と、意外にもゆみちぃ部長はオトナの反応。「MINIって、そういうクルマなんですよ。







それでは運転席をチェックしましょう。MINIの凄いところは、全車種共通のインテリアであること。だから乗り換えてもワカラナイというか操作に困るところがありません。パッと見たところ、メーターに記されたエンジンのレブリミットが低いということ以外、大きな差はありません。「実にMINIらしい室内で安心しますね」というゆみちぃ部長。もはやオーナー気分です。それではドライブに出かけましょう。
ディーゼルならではのトルクで
街乗りは快適!

エンジンをスタートすると、2世代前のガソリンエンジン車か? というような大きな音を立てます。「え? これ気になります?」というゆみちぃ部長。とはいえ「確かにこの前に乗ったPHEVと比べると音は大きいですね」と、これまた随分と両極端な比較を……。MINIのガソリンエンジンと比べても音は大きいですし、振動も大きいのは確かです。また街乗りですと交差点の度にアイドリングストップが起動するのですが、その解除時(発進時)のショックも大きめ。「ディーゼルエンジンってこうだよねぇ」という部員たちですが、ゆみちぃ部長は意外にも「そうなんですか?」という感じ。つまり、あまり気にしていないようです。

こうして街乗りを楽しむゆみちぃ部長。「MINIらしい重厚さを感じる、手ごたえあるフィーリングですね」と楽しそうに走らせていきます。「走りだすと、言われるほど音は気になりません。それよりもガソリンエンジンより力強くて、走りやすいみたい」とトルクの太さが街乗りに適しているように感じている模様。

そのまま高速道路へ。すると「安定感がありますし、エンジンも快適。全然コレでいいじゃないですか!」と楽しく巡航します。さすがドイツ生まれのクルマ、このサイズとは思えない安定度です。部員Kも高速走行をしてみたのですが、「このクルマ、意外と速いじゃないか」と思った次第。エンジンの振動もまったく気にならず、燃費の良さと相まって高速クルーズこそCooper Dの真骨頂だと思いました。コレは意外な掘り出し物かも!? 可愛らしい見た目に騙されてはいけませんね。ゆみちぃ部長と一緒で、実力者なのです。

MINIを全車種乗り終えて……


一通り走行を楽しまれたゆみちぃ部長。車庫入れも上手になりました。駐車した場所でたまたまMINIクラブマンを見かけた部長。「こう見ると、クラブマンは幅が広いんですね、取り回しの良さとかを考えると、やっぱり5Doorが一番イイかな」と、過去に乗ったMINIを思い出しながら、このCooper Dを見つめる部長。口にはしませんでしたが、一番気に入ったMINIであることは間違いなさそうです。
あとはディーゼルか、ガソリンエンジンか? ガソリンエンジンでもCooperなのかCooper Sなのか、それともジョン・クーパー・ワークスなのか? 「私、愛知県出身の見栄っ張りだからCooper Sかな」と夢を見る部長。5DoorのCooper Sの車両本体価格は414万円。これにオプションが100万円ほどで、520万円前後。これに税金やら何やらで乗り出しは570万円位でしょうか。「うぅ……頑張って働きます……」と、水色でボンネットにホワイトストライプが入ったMINI Cooper S 5Doorの入手に向けて決意を新たにした寺坂ユミさん。彼女の旅は、まだ始まったばかりです(完)。

と思いきや「この連載で憧れのMINIを、しかも全車種試乗できて結構満足しちゃったんですよね」とおどけた顔を魅せるゆみちぃ部長。部員全員が唖然としたのは言うまでもありません。「あ、MINIが欲しいことに間違いはないですよ! でも、もっと色々なクルマに乗ってみたいです!」。

今後はエクステリア、インテリア、走行面で彼女が恋焦がれるMINI Cooper S 5Doorを超えるクルマが出てくるのでしょうか? これからのゆみちぃ部長の超私的試乗レビューにご期待ください。

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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近ペーパードライバーを脱出。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、お気に入りの1台を探す予定。