輸入SUVの販売台数のうち、実に5割がディーゼルエンジン搭載車ということで始まった、スポーツカー好きのモデルで女優の新 唯(あらた・ゆい)さんによる「輸入ディーゼル車体験」。前回はBMWのプレミアムSUV「X5」に試乗してもらい、ディーゼル車の魅力を感じてもらいました。
アルファ ロメオはSUVも美しい
「ステルヴィオ」




今回ここでご紹介するアルファ ロメオ初のSUVである「ステルヴィオ」は、2017年に登場。我が国に上陸したのは2018年ですから、約4年前のモデルになります。車体寸法は全長4690×全幅1905×全高1680mm、ホイールベース2820mmという立派なサイズで、国産車ならハリヤーとほぼ同じ大きさと思っていただければと思います。
価格は680万円からで、最上位は510馬力を誇るV6ツインターボのガソリンエンジン搭載車「クアドリフォリオ」で1338万円。その下に直4ターボのガソリンエンジンを搭載したヴェローチェ(ガソリン/770万円、ディーゼル/731万円)、エントリーのTI(ディーゼル/680万円)が用意されます。このラインアップで面白いのは、ディーゼルエンジン車の方が安いということ。車両も安く、ランニングコストも安いとなれば人気にならないわけがなく、ステルヴィオで圧倒的に売れているのはディーゼルエンジン車なのだそうです。

そんなこんなでステルヴィオにご対面した唯さん。「独特のフロントフェイスですよね。嫌いじゃないですよ」「フロントのヘッドライトも釣り目でイケメンですね」ということで、ファーストインプレッションは上々です。

ちなみにディーゼルとガソリンモデルの外観上の差は、フォグランプの有無だけ。

「王道のSUVスタイルですね。後ろにかけてルーフがスラントしているので、ちょっと都市型SUVのテイストが入っていますね」とも。そして「このホイールがアルファ ロメオですね。なぜか他のクルマに付けても似合わないんですよね」と足元もしっかりチェック。タイヤはミシュランですので、乗り心地は期待できそう。





リアに回って荷室をチェックしましょう。荷室量は525リットルで、電動開閉式のパワーテールゲートを採用。開口部は広く奥行きもあるので、「デカッ!」と思うこと間違いナシです。装備品を見ると、荷室側からシートが簡単に倒せるレバーがあるのは便利。さらにサブウーファーと12Vのアクセサリーソケットを用意するあたりは、快適性と実用性を兼ね備えているという印象です。

荷室の床面の下には、パンク修理キットなどが収められていました。小さな小物入れスペースもあるので、へそくりを入れておくにはいいかも。

後席を倒したところ、残念ながらフルフラットにはならず。何が残念なのかというと、ASCII.jpではフルフラットになるクルマの場合、モデル女子が寝っ転がった写真を撮らなかればならないという鉄の掟があるから。ですが、フルフラットにはならないので今回はゲート部分に座っていただき1枚。ですが本人はもちろん、スタッフも何で撮影しているのかよくわかっていません。
ステルヴィオで車中泊はできるのか?
フルフラットにならないということは、車中泊が難しいということでもあります。ということで、今回は筆者が車中泊してみました。



季節は4月下旬、場所は富士スピードウェイ近くにある某「道の駅」です。当初は荷室で寝る予定だったのですが、床面が傾いているため就寝は難しく。結局助手席を倒して寝ることになりました。
オシャレな車内空間
運転席はゆったり






話を戻して室内をチェック。まずは後席から「赤いシートがオシャレですね。イタリア車らしい雰囲気で◎」とかなり好みの様子。「私は大丈夫ですけれど、体の大きな人はちょっと上方向が狭いかもですね。足元は十分に広い感じです」と分析する唯さん。どれどれと身長185cmの不肖が座ってみると、頭が当たるわけではないのですが、SUVとしては足りないような。よく見るとシートはお尻側がかなり低く、やや後ろに倒したような姿勢です。エアコンダクトの下にはUSB Type-A端子を2つ配置。ちょっと奥まったところにあるのと、シートの座面の関係から、差し込む際に結構上体を前に倒さないと差し込めないのが……。










運転席側はゆったり快適。「赤いシートがイイですね。あと全体的にオシャレ」と大満足のご様子。メーターは指針式で、中央にインフォメーションディスプレイを配置。「4500回転からレッドゾーンなのがディーゼルっぽいですね」という唯さん。だんだんわかってきたようです。シフトパドルは大型でステアリングコラム側に設置。「日本車とかドイツ車はステアリングホイール側に取り付ける場合が多いですよね」と試乗経験から違いがわかる人になってきました。





センターコンソールに目を向けるとシフトセレクターはプレイスティック式。その横に書かれているd.n.a.というノブは、いわゆる走行モードセレクターになります。ユニークなのはリモコンキーを置く場所が用意されているところでしょうか。これは日本車では見かけない装備です。


アームレストを開けると、USB Type-AとUSB Type-Cレセプタクル、12Vアクセサリーソケットが姿を現します。秀逸なのがQi対応のスマホトレイ。スッと置くことができますし、運転中右や左へ動く心配もありません。これはかなり使い勝手がイイです!





ナビは一応ついているのですが、画面はイマドキにしてはかなり小さいもの。ですがダッシュボードから飛び出すようなデザインではないのは好印象。一方、印象を悪くしたのが使い勝手で、住所検索しか対応していないようで、しかも都道府県名から入力しなければなりません。この段階で利用を諦めてスマホを接続。Apple CarPlayが起動し、快適に使えるようになりました。
ライトのオンオフはステアリング右側のノブで設定。その下には小さな小物入れがあり、ETCカードのカードリーダーがありました。
トルクフルなディーゼルエンジン


エンジンは2142ccの直4ターボ。TI、ヴェローチェともに最高出力は210馬力、最大トルクは47.9kgmを誇ります。ちなみにガソリン仕様は2リットル直4ターボで、最高出力は280馬力とディーゼルエンジンを上回りますが、最大トルクは40.8kgmと下回ります。ディーゼルのエンジン音は、そこそこ盛大でいかにもという音。「やっぱりディーゼルってこういうトラックみたいな音がしますよね」という唯さん。

この大パワーをトルクベクタリングの4輪駆動システムを介して地面に伝えられます。それでは運転して頂きましょう。
車内の静粛性に驚愕!

「なにこれ? めっちゃ静かなんですけれど」と驚きの表情を浮かべる唯さん。それもそのハズ、室内にエンジンの音はほとんど聴こえないばかりか、エンジンの振動がステアリングやシートに伝わらないのです。BMW X5でも振動はわずかではありますが伝わったのに、アルファ ロメオは皆無! まずこれに驚かされます。

さらに貼り合わせガラスを使っているため、ロードノイズなどはかなり低減されており、室内は実に静か。「全然ディーゼルエンジンっぽくないんですよ」という唯さんの感想に納得です。

「それでいて、排気音がイイ感じに聞こえてくるんですよ。もっとドロドロっとした音がと思ったのですが、そうでもない。とても上品で、本当にディーゼルエンジンとは思えません」

気になる走りは? というと、トルクの太さゆえ加速は見事の一言! 「加速力は圧倒的ですね! まどろっこしさは皆無です」。さらにSUVとしては硬めの足で、これが唯さん好み。「SUVってスポーツドライビングからは離れている印象があるのですが、このクルマは楽しめますね!」とノリノリで、さすがアルファ ロメオといったところ。足が硬めなので、市街地で荒れた路面を通過すると衝撃はダイレクトに体を襲ってきます。試乗車にはドラレコがついていたのですが、段差の度にピッと衝撃感知するほど。「アルファ ロメオのジュリアは、こんなに足が硬くなかったけどなぁ」と筆者は思ったのですが、唯さんが満足されているのでいいでしょう。
強いて……という点を挙げるなら、巡行中はクラッチを切る制御が働いているようで、ブレーキを踏むとクラッチがつながるとともに前にクルマが進むようなショックを感じることでしょうか。この挙動に最初は驚きますが、しばらく走ると慣れるので問題ありません。ブレーキを踏んでクルマが進むわけではないので。

気になる燃費ですが、なんとリッターあたり16kmを記録! ただこれは高速道路も使っているという条件付きで、市街地のみですと10km程度にまで落ちてきます。それでも燃費はかなりよいようです。
「思っていたよりイイですね」という唯さん。筆者もまったく同意で「イタリアのクルマでしょ? しかもイタリアのディーゼルってどうなの?」というエクスキューズがありましたし、乗り出した時は疑惑しかありませんでした。ですが、乗ってみるとデキの良さに驚きます。さらに運転支援機能もしっかり装備し、ちゃんと使えるから驚きます。「食わず嫌いはよくないなぁ」と反省するとともに、気づけばまたしてもビショーネの毒に噛まれていたことを正直に告白します。SUVでも、ディーゼルでも、アルファ ロメオはイイんですヨ。

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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添える。