マツダ/CX-60 XD-HYBRID Premium Modern(547万2500円)

 「今SUVを買うならコレしかない!」。惚れっぽい性格であると自認していますが、それを差し引いても、マツダの新型SUV「CX-60」を試乗後に心底そう思いました。

プレミアムブランドの輸入車SUVの、しかも上位モデルと比較しても遜色のないと断言できる1台をご紹介しましょう。


SUV王国マツダの中でも大型の1台

マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダ/CX-8

 マツダの公式サイトに掲載されている乗用車ラインアップを見た人は、誰もが「こんなにSUVばかり作ってどうするの?」と思うことでしょう。その台数はなんと14台中7台。もはやSUV王国です。ですが王国は、大きいSUVを増やしたいご様子。というのもCX-60は「ラージ商品群」の第1弾で、今後「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」の4車種がラインアップ予定です。ちなみに日本と欧州には2列シートの「CX-60」と3列シートの「CX-80」を、北米などにはワイドボディー2列シートの「CX-70」と同3列シートの「CX-90」を投入する予定で、それぞれ国の事情に合わせてエンジンを組み合わせるとのこと。


 「マツダの2列シートのSUVというと、CX-5があるじゃないか」と言われると、おっしゃる通り。ですが新型車の名前はCX-60。CX-5のリプレースではなく「CX-5では満足できない方に、より広くて上質なクルマを」というのがコンセプト。実際、CX-5に乗っていたユーザーがグレードアップを考えた際、その受け皿がCX-5の上位グレードしかなかったのです。CX-5の上位グレードは満足度の高い1台ですが、一定数は欧州勢ミドルクラスSUVにチェンジしているとか。


 つまり「BMW X3、メルセデス・ベンツ GLC、アウディ Q5、ボルボ XC60とガチで渡り合えるクルマ」が求められるようになった、というわけです。

その一方、「そこまで高いクルマはイラナイけれど、もうちょっと大きなクルマがいい」という人もキチンとフォローしています。


 それゆえ、CX-60の価格は、ガソリンエンジンのベーシックモデル299万2000円からはじまって、プラグインハイブリッドの626万4500円と、幅広く設定されています。ちなみに事前受注台数が約2ヵ月半で8726台。CX-60は月販2000台を計画しているので、世間の注目度は高いクルマといえそうです。


エンジン、ハイブリッド含め4モデルをラインナップ

 CX-60は、ガソリンエンジンのSKYACTIV-G2.5、ディーゼルエンジンのSKYACTIV-D3.3、ディーゼルエンジン+ハイブリッドのe-SKYACTIV D、ガソリンエンジン+プラグインハイブリッドのPHEVと4種類のパワーユニットをラインアップしています。ちなみに受注状況はe-SKYACTIV Dが43%、ついでSKYACTIV-D3.3が37%、SKYACTIV-G2.5が15%、PHEVが5%だそうです。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60が搭載するe-SKYACTIV D

 なぜディーゼルに人気が集中しているのかというと、それは3.3リットル直6ディーゼルエンジンを新規開発したから。有識者なら「内燃機関が終わろうとしてる時代に何で新規開発しているんだ」と思われるでしょう。ですが充電ステーションがまだまだ少ない現状では、ハイブリッドもしくは高効率エンジンが最適解。世界で唯一、排ガス触媒を必要としない「CDV(CDV:Clean Diesel Vehicle)」を採用し、アドブルー(尿素水)を加えなくても環境基準をクリアーするマツダの技術だからこそ、今の時代にふさわしい直6ディーゼルエンジンを設計したというわけです。


 この直6エンジンですが、+48Vのハイブリッドユニットを搭載することも可能。もともとディーゼルエンジンは低回転から太いトルクを発生する特性がありますが、それにモータートルクが加わると考えただけで、これはワクワクが止まりません! さらにワクワクするのは、CX-60はFRベースで設計されているという点。四輪駆動も用意されているのですが、「高級車といえばFRだろJK」な人にとっては、これはうれしい話ではないでしょうか。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
全長4740×全幅1890×全高1685mm
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 直6ユニットを「縦積み」する都合、ノーズは長め。マツダのSUVはフロントがスラントするデザインが多いのですが、CX-60はちょっとクロカンテイストといいたくなるような雰囲気です。それゆえ重厚感が同社最高といいたくなるほど。フロントマスクのドヤ感も同社最高といったところ。寸法は全長4740×全幅1890×全高1685mm。車体重量は約2トン。立派にラージSUVです。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Sports(547万2500円)

 今回取材・撮影したのは、e-SKYACTIV Dを搭載したロジウムホワイトが美しいXD-HYBRID Premium Modern(547万2500円)と、ソウルレッドのXD-HYBRID Premium Sports(547万2500円)。走行面での違いはなく、異なるのはエクステリアとインテリア。ですので時間の都合、XD-HYBRID Exclusive Modernで試乗と簡単な撮影、XD-HYBRID Premium Sportsで細かな撮影を行ないました。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Sportsは窓付近がブラック
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Sportsのフロントグリルはブラック
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Modernのホイール
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Sportsのホイール

 エクステリアは、XD-HYBRID Premium Sportsは、フロントグリルをはじめとして、各所にブラックパーツを配置。XD-HYBRID Exclusive Modernはメッキパーツがクローム調となるほか、ホイールもシルバーになります。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Modernのインテリア
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
CX-60 XD-HYBRID Premium Sportsのインテリア
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 インテリアにも違いがあります。XD-HYBRID Exclusive Modernは、白のナッパレザーと織物風のパネルで清潔感と開放感が印象的。XD-HYBRID Premium Sportsは、タンカラーのレザーとスエードによって重厚感を演出しています。


大型サンルーフの開放感が気持ちイイ!

 それではXD-HYBRID Premium Sportsで、詳細を見ていきましょう。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 天井には幅950mm、長さ1021mmの大型パノラマサンルーフが設けられています。一時期、サンルーフがついたクルマは絶滅したのですが、近年では求めるオーナーが多いようです。ガラスルーフそのものは2列目まで伸びているのですが、開くのは運転席側のみです。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 CX-60のインテリアは、マツダらしいシンプルさとコクピット感を感じます。CX-5と違うのはエアコン送風口の形状で、こちらはスクエアに変わっています。シフトはスティック型。ただしR(リバース)とP(パーキング)は縦ではなく横移動ですので、誤操作は少ないものの、最初は慣れないかも。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 メーターパネルは12.3インチのTFT液晶。スポーツモードなどを選択すると、ダイナミックなアニメーションで気分を高めてくれます。

グレードによりますが、ヘッドアップディスプレイも用意。これら2つのディスプレイで必要な情報は一目で理解できるでしょう。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 カーナビディスプレイはマツダらしい12.3インチ(モデルによっては10.25インチ)で、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。もちろん単体でのナビ動作も可能です。操作はタッチパネルではなく、センターコンソールのダイアルで行なうのもほかのマツダ車と同じ。さらに今回は前方の見えないところでも、曲がり切れるかを教えてくれるシースルービューという機能にも対応しました。この機能はちょっと説明するのは難しいので、別記事でご紹介する予定です。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 スマホトレイはワイヤレス充電に対応した横位置配置。USBはアームレストの中にあり、USB Type-Cが用意されています。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 アクセルペダルはマツダらしくオルガン式を採用。運転席右側には、ETC車載器のほか、センサーやTCSのボタンが用意されています。バックドアの開閉も、こちらから可能です。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 シートは電動パワーシート。内張りですが、CX-60 XD-HYBRID Premium Sportsはスウェード、XD-HYBRID Premium Sportsは織物風の素材を使っています。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 後席はCX-5とは隔絶たる広さ。「なるほど、CX-5では手狭という人にはこのモデルになるのか」と納得した次第です。素晴らしいのはリアコンソールにUSB Type-Cのほか150WのACアウトレットを用意しているところ。これほど助かる装備はありません! さらにシートヒーターも完備。快適な旅が約束されたようなものです。


ゴルフバックが4個入る驚異の収納力

マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートを開けると、ゴルフバッグが4個入るほどの空間が姿を現します。開口部が広いだけでなく、段差が少ないのが美質。リアシートを倒してもその美質は失われません。さらにポータブル蓄電池の充電に便利な12Vアクセサリーソケットも用意されています。リアシートもラゲッジ側から倒すことができますし、実によくできています。


 インテリアで感じるのは「さすがSUV王国・マツダ」と言いたくなるほどの作り込みのよさ。

欠点らしい欠点は「スマホトレイが横位置」ということくらい。では走りはどうなのでしょう。直6ハイブリッドのデキ栄えは?


大型SUVなのに燃費がかなり良い!

 動き始めた瞬間から振動の少なさに驚かされます。直列6気筒というとBMWのシルキー・シックスが思い浮かびますが、ディーゼルなのにマツダの方がシルキー! ただシルキーなだけではなく、最高出力256PS/最大トルク56.1kgf・mというハイパワーによって2トン近い車体を軽やかに動かしていきます。ちなみにモーター出力は16.3PS/15.6kgf・m。アシストハイブリッド的な動きをするようです。単なる静かで滑らかでパワフルなだけかと思ったら大違いで、これに排気音の良さも加わるのです。この音が実に節度がありながらもテンションを上げる音なのです!


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 さらに驚くのは燃費の良さ! 高速道路で120km/h区間を走行してみたところ、リッター20kmを余裕で超えるではありませんか。さらに運転支援のデキの良さも相まって、圧倒的「快適・快速SUV」の称号を与えたいほど。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 高速道路を降りてワインディングロードへ。スポーツモードに切り替えて登坂します。やや荒れた路面も、足のよさで衝撃をいなしながらグイグイと登っていきます。欧州SUVと比べてロール量は多いのですが、それはNDロードスターなども同じ。エンジニアによると「ロールさせた方が、同乗者が酔いづらいんですよ」とのこと。どうやら目線だけが上下動するよりも、体全体が揺れた方がいいようです。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 ともあれ、スポーツモードにしたCX-60は、水を得た魚のよう。SUVとは名ばかりのスポーツしないSUVが多い中で、CX-60は運転の楽しさを十分に伝えてくれます。大きなボディーをゆっさゆっさしながらコーナリングをするという、いままでにない新感覚。「これはこれで面白い!」と感じました。で、アクセルを踏みまくっていたら、さすがに燃費はリッター15km台に低下。それでもすごいのですが。


 ダウンヒルも面白いもの。ブレーキは日本車としてはめずらしく、初期制動(イニシャル)は低く、踏めば踏むだけ効くという仕様。ややペダルが重ためのセッティングなのですが、慣れるとこちらの方がよいかも。逆に街乗りではどうなのだろう? という疑問は残るので、機会があれば乗ってみたいですね。


 そのほか、CX-60には様々な新機能が山盛りなのですが、残念ながら試乗時間の都合でここで終了。これは別途取材することにしましょう。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 マーケティング担当者によると、ディーラーではCX-5からの乗り換え候補でBMW X3の名が多く出るそうです。で、BMW X3とCX-60を比べると、足の好みは置いておいて、CX-60の方がBMW X3より使い勝手の面や作りのよさで上回っているように感じました。何よりあちらで直6ディーゼルエンジンを搭載したモデルは900万円近いプライスタグがつきますが、それよりもシルキーで燃費のよいクルマが600万円を大幅に下回るのです。運転しながら「X3キラーといっても良いかも。プレミアムSUVの新たなる地平だ」と感じたのでした。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 最後に。マツダはクルマをプレミアム化するだけでなく、ブランドそのものもプレミアム化を考えている様子。というのも、上質なオリジナルアイテム群を発売する予定だから。こういったモノは、レクサスをはじめとして、各プレミアムブランドが展開しています。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった
マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 写真のバッグは、日本の工房に製造を依頼しているのだそうですが、内装と同じ皮を使っているだけでなく、底面から入るシューズケースを用意しているのがトピックス。さらにスマホポケットも用意しており、使い勝手で文句ナシ! 価格は決まっていないようですが、どうやら10万円前後を予定しています。


マツダの大型SUV「CX-60」はリッター20kmを超える好燃費の快適・快速SUVだった

 もう1つはブランケット。こちらは国産綿を丁寧に縫製したとのこと。さらに専用ブランケットケースが用意されており、ケースに入れた状態だとシートクッションに! こちらは2~3万円の間を予定しているようです。これらのアイテムは完成次第、ほかのアイテムと合わせて別途ご紹介する予定です。お楽しみに。


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