BMW/Z4 M40i(893万円、取材車はオプション込み916万9000円)

 ドイツ語で「バイエルン州のエンジン工場(Bayerische Motoren Werke GmbH)」を社名とするBMW。そのエンジン屋の至宝が「シルキーシックス」と評される直列6気筒エンジンであることに異を唱える人はいないでしょう。

そんな「シルキーシックス」を五感で楽しむには、どのモデルがいいのでしょうか? その答えはズバリ、オープンカーです!


 そこで、BMWの「シルキーシックス搭載オープンカー」を、オープンカー大好きマルチタレント・新 唯(あらた・ゆい)さんと一緒にご紹介します。第1弾はZ4の最上位グレード、M40iです。


トヨタ・スープラの兄弟車「Z4」

BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
エンジンルームを見る唯さん。その大きさに驚いた様子

 「直列6気筒って、何がいいんですか?」と素朴な疑問を同行スタッフにぶつける唯さん。直列6気筒は「1列に並んだ6個のシリンダーが、お互いの慣性力と偶力を打ち消す完全バランス型のエンジンで、振動が少なくスムーズに吹け上がる」というわけです。「なら全部のエンジンが直6にすればいいのに」と、再び疑問を投げかける唯さん。


 そこでエンジンルームを見てもらいました。その姿に思わず「デカっ!」と言葉をあげます。エンジンが前後に長いため、フロント部分を長くする(ロングノーズ化)か、ボディーサイズそのものを大きくしなければなりません。それが直6のデメリットになります。そのデメリットを解消したのがV型エンジンになるのですが、こちらでは完全バランス型にはならず。直6の良さは直6でしか得られないのです。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
最高出力387PS・最大トルク51kgf・mの3リットル直6ターボエンジン

 BMWの直列6気筒を「シルキー・シックス」と呼ばれるようになったのは1960年代後半に登場した初代6シリーズから。

とあるモータージャーナリストが、エンジンの滑らかさを絹のようだと評したことから「シルキー・シックス」と呼ばれるようになりました。以来、BMWはコンパクトなエンジンが持てはやされる時代においても、50年近くにわたり直6を磨き続けてきたのです。ですが、そんな直6エンジンも“カーボンニュートラル”規制の波には逆らえず、東京都では2030年に販売禁止に。「ハイブリッドなら……」と淡い期待を抱かせますが、それとて2035年には日本全体で販売禁止になります。今が至宝を手に入れるラストチャンスなのです。


 BMWでは、ほぼすべてのモデルに「シルキー・シックス」搭載モデルが用意されています。その同社ラインアップでオープンボディーモデルは8シリーズ、4シリーズ、M4シリーズ、そしてZ4の4車種です。


ロングノーズのオープンカーはカッコイイ

BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
BMW Z4 M40i

 2シーターモデルであるZ4の最上位モデルZ4 M40i(893万円)は、同社ラインアップのシルキー・シックス搭載オープンモデルの中で最もお求めやすいモデルになります。ちなみに、Z4には最高出力197PSの2リットル直4ターボエンジンを搭載したモデルがあり、こちらは713万円。一般的な軽自動車1台分の価格差があります。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
乗ってみたかったというZ4と唯さん

 「一番乗ってみたかったBMWなんですよ」と、以前からZ4に熱視線を送っていたという唯さん。初めて見るその姿に「カッコいい」を連発です。オープンカーは女子ウケが悪い、人気がない、という記事を見かけます。

ですが、唯さんのように「オープンカーじゃなければダメなんだ――」という方がいらっしゃるのも事実なのです。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
全幅1865×全高1305mm
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
全長4335mm
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
リアビュー

 スリーサイズは、全長4335mm、全幅1865mm、全高1305mm。大きいようでいて、実はそれほど大きなクルマではありません。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
「ヘッドライトのデザインが惜しいんですよ」と唯さん

 ツリ目のヘッドライトが好きという彼女的に、Z4は「もう少し目が切れ長だと良いんですけれどね。今のBMWのように」とのこと。そして、同じ日に借りていたもう1台のオープンモデル、M4を見て「こういう感じにキリっとしていれば完璧」とおっしゃいます。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
「目つきはM4がイイ」と唯さん
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
BMW M社創立50周年記念エンブレム

 「そこだけなんですよ。ほかは全体的にカッコいいと思います」と、ロングノーズ・ショートデッキのフォルムにときめきを隠せない様子。そして「このエンブレム、カッコいいですね!」と、BMW M社創立50周年を記念して限定生産されている「M50Jahre」エンブレムに興味津々。ホイールにもあしらわれているのですが、こちら後付け販売分はすべて終了しているとか。新車で購入したら付いてくるそうですが、それも今年のオーダー分のみ。気になる方は急ぎましょう。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ラゲッジは十分な広さ。大型のスーツケースも余裕で入ります
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
奥行きも十分な広さ
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ラゲッジスペース
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
床面にはバッテリーが収納されていた
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
フューズボックスは右側
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
車検証などを入れるのに便利な小物入れが用意されている

 次はラゲッジをチェック。オープンカーというとラゲッジが少なくて使い勝手が悪い、というのはZ4には当てはまりません。「これだけあれば、2人で旅行するとかでも十分すぎますよ」というように、唯さんは大満足のご様子です。


2シーターなので室内は狭いが
高級感のあるインテリアで満足度高め

BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
Z4の室内
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
Z4の室内
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
Z4の室内
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ステアリングホイール
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
左手側ステアリングリモコン
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
右手側ステアリングリモコン
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
メーターパネル
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
アームレスト
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
よく見るとUSB Type-C端子がある
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ドア内張
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ドア内張リモコン部
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
シフトレバーまわり
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ワイアレス充電に対応
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
ペダルまわり
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
運転席右手側にヘッドライトなどの調整ボタンがある
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
運転席に座る唯さん
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
センターコンソールの幅広いことが不満と唯さん

 室内をチェックしましょう。BMWらしいインテリアで、落ち着きがあって好印象。「できればシフトレバーのあるセンターコンソールの幅が狭い方がいいですけれど、それ以外で不満はありません」との弁。この下にはミッションやらドライブシャフトやらが入っているので、大きくなるのは仕方ないところです。それが直6なのですから。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
頭の後ろにはウインドスクリーンが取り付けられている。こちらは着脱可能
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
シートの後ろにはスペースがあり、小さなバックを置くことも可能だ

 シートバックの後ろに広い空間があるのも美質。「ここにハンドバックとかが置けますね」と、実用性の高さに満足。「早く走らせましょう!」とノリノリなので、走っていただくことにしましょう。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
早く走らせに行きたい雰囲気

とても滑らかに走るZ4
オープンの気持ちよさが詰まった1台

BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
Z4を走らせる唯さん

 走行モードはエコ、スタンダード、スポーツ、そして個別調整のインディビジュアルの4種類。まずはスタンダードモードで走行開始です。最高出力387PS、最大トルク51kgf・mの3リットル直6ターボエンジンに8速ATのパワートレインは、実に滑らか。「ほとんど踏まないんですね」というように、街乗りで3000回転を超えることはほぼありません。でも「息吹は感じますね」というように、いつでも加速できる力強さを感じている様子。「あと、音がいいですよ。すごく楽しいクルマです」と、相当上機嫌です。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
街を走るZ4

 「乗り心地は、スポーツカーらしいカッチリとした硬さと、BMWらしい重厚感があってとても気に入ってます。しかもFRならではの動きをするし、本当にこのクルマ、いいですね」と語りながら、軽やかに街を駆け抜けます。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
スポーツモードを選択。その中にはスタンダードとプラスの2種類が用意されている
BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
インディビジュアルを選択すると、さらにこまかいセッティングができる

 そしてスポーツモード・プラスにチェンジ。すると力強い排気音に、シフトダウン時にブリッピングする演出が加わります。すると一層笑顔に。

「アクセルのダイレクト感がまったく違いますね。これは本当に楽しいです。街乗りも、このモードで走りたい!」と、たいそうお気に入り。唯さんはつくづく「体中にガソリンが流れている人」なのだと感じた次第です。


BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ
Z4に大満足の唯さん

 「機械の音と街の音がまざって、本当に楽しい時間でした」という唯さん。「直4とは確かに違いますね。直6がイイというのがよくわかります。直4と直6の価格差は軽自動車1台分も値段が違いますが、どうせ買うならこっちにしたいです」というと、「このクルマほしいです。次にクルマを買うならBMW Z4がいいです」とまで! 2年ほど唯さんに試乗取材をお願いしていますが、「ほしい」と言ったのはZ4が初めて。それくらいに気に入られた様子でした。


■関連サイト


モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

BMWのシルキーシックスを堪能! オープンカー「Z4 M40i」を現役モデルがドライブ

 10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。

また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。


編集部おすすめ