わたし(身長170cm)とCOOZY。コンパクトな小径車なのがわかる。乗り回しやすいサイズ感だ

 今回はお気楽ポタリングe-bikeである。スマホと高度な連携をしたり、IT系にとんがってたり、ガチのスポーツ車だったりと、とんがってるe-bikeが続いたが、そういう製品はそれなりのお値段がするもので、特に自転車が高騰してるといわれる昨今、どうしても30~40万は当たり前、みたいになっちゃう。自転車趣味の人には見慣れた金額でも、そうじゃない人には「なにそれ高い!」となるわけで、今回は少し趣向を変えて、約20万円のカジュアル系小径車だ。


 まずはwimoの「COOZY」。価格は19万8000円。wimoは2020年に設立された日本の会社。COOZYは「COZY」と「OO」(自転車の両輪を表すそうな)と掛け合わせた造語。なぜこれを取り上げるかというと、単純にデザインが気に入ったからである。


wimoの小径e-bike「COOZY」は軽くて激坂も上りやすく街乗りが楽しい!
シンプルなデザインがいい。特にフレームの形状や電動アシストらしくない軽快さが気に入った

電動アシストっぽくないフレームデザイン

 日本の一般的な電動アシスト自転車って、たいていペダル回りにどかんとモーターがついててシートポーストに縦にバッテリーがどかんと置いてある。あれは「電動アシストでござい」って主張が強すぎる。乗るなら電動アシストであることを意識せず軽快に乗れるデザインの方がいい。COOZYが良いのはそこだ。フレームのデザインを工夫して、すごくスッキリ見せているのである。


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一見、e-bikeに見えないデザインがいい
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個性的なフレームデザインがポイント。フレームの中にうまくバッテリーやコントローラをボックスにしておさめている

 ペダル回りはノンアシストの自転車と変わらないシンプルさで軽快な感じ。電動アシスト自転車はペダルを漕ぐ力に応じてアシストするので、ペダル部にセンサーは必要なんだけど、それも目立たないように配置されてるのだ。


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クランク回りのスッキリさも特徴。ペダルにかかる力を計測するセンサー部が目立たないようについているだけだ

 では、アシスト用のモーターはどこについているのか。e-bikeには前輪をアシスト、後輪をアシスト、ペダリングをアシストの3種類があるが、COOZYは前輪駆動タイプなのである。だから全体にスッキリしたボディーなのだ。


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前輪のハブ部分に252Whのモーターが入っている

 バッテリーとコントローラーはシートの下、フレームにうまく挟まれたボックスに入っている。鍵を入れて回すとカバーが開き、バッテリーを取り出して充電するのだ。


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これがボックス。左の丸いゴムを開くと鍵穴があらわれる
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鍵を入れてカバーを開き、バッテリーを引っ張り出す

 バッテリーは252Whと容量こそ大きくないが、約1.25kgと軽量だ。変速はシマノの内装3段。内装式なのでこちらもハブに収まっているし、チェーンではなくベルトドライブなので、油を差すとか変速機を調整するといったメンテナンスが不要な完全街乗り仕様だ。


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チェーンではなくベルトドライブでメンテナンスもフリー。変速はシマノの内装式NEXUS

スイッチも少なく直感的に操作でき
乗り心地と走行性能のバランスがいい

 では乗ってみる。ロックは標準装備で、バッテリーボックスの開閉と同じキーを使う。


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まずロックを解除

 ロックを解除したらバッテリーの電源オン。わかりづらいけど、シーソースイッチになってるので、電源を入れるときは前の方を押す。すると白LEDが点灯してメイン電源オンだ。


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スイッチを入れて電源オン

 電源が入ったら、次は左ハンドル部の「M」ボタンを長押し。するとアシストシステムの起動である。「+」と「-」はアシスト力の切替えに使う。操作ボタンは3つだけだ。


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3つあるボタンの内、一番上のMを長押しすると起動する

 これで走行準備完了だ。20インチタイヤの小径車で、ホイールベースも短めなので小回りが利くお手軽な街乗り仕様。サドルの高さを調整し、さっとまたがってペダルを踏む。ぐいっ。


 前輪駆動のせいか、ペダルを踏んでからアシストがぐぐっと効くまでちょっとラグがある。ペダルを半周くらい回したら効き始める感じなので漕ぎ出しは軽いギアにしておくのがオススメだ。


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グリップシフト式の変速機。漕ぎ出し時は1か2。スピードに乗ったら2か3にするのがいい

 走り出したら実に快適だ。スピードに乗ってぐいぐいって感じではなく、20km/h前後で景色や風を楽しみながら走り、気になるものがあったら止まり、またスタートし、という使い方にすごくマッチする。小径e-bikeならではの良さだ。小径なので道を間違えたときのUターンも苦じゃないし。


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スマホ用のマウント(私物)をハンドルバーに装着して地図を表示し、ログを取りながら走ってみてるの図

 そして画面の上半分に大きな文字で表示されるのは時速。下半分はバッテリー残量とそのほかの情報表示。Mキーを押すたびにトータル距離と、トリップメーターが切り替わる。トリップメーターのリセットは「M」と「-」の同時長押しだ。


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Mを1回押すと総走行距離
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Mをもう1回押すとトリップメーターとなる

 平均時速や最高速などの表示はないが、時速の表示はあるので、スピードオーバーしてないか随時チェックできる。その辺は街乗りや通勤通学用の自転車だからか、非常にシンプルだ。ただ、時計は内蔵してほしかったと思う。走りながら、ちょっと今何時だっけ、って思うことあるよね。


アシストレベルは3段階に変更可能で
ノーアシストの設定もできる!

 アシストレベルは3段階で色が変わるのでわかりやすい。赤いのがBoostで最強。黄色がPowerで、緑色がecoだが、Power時は下半分の文字が白抜きのため非常に見づらい。ついBOOSTかECOにしちゃう。


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最強はBOOSTで赤
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真ん中はPOWERで黄
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エコモードはECOで緑

 注目すべきは……ってほどのことでもないけど、ecoの下にさらに「NOアシスト」つまりアシストオフのモードがあるのは地味に良い。


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アシストオフ時はグレー

 バッテリーを節約したいときなど、アシストオフにした状態でも速度計・距離計として仕事をしてくれるからだ。アシストオフ時でも速度や走行距離は見たいよね。そのバッテリーだけど、公称だとBOOSTモードで約40km、ECOモードで約100km走れるという。残量は5段階の目盛で表示されるだけなので、実際にどのくらい走れるのか残量がゼロになるまで乗ってみることにした。


 POWERモードを中心に、疲れたときや上り坂では遠慮なくBOOSTモードを使いつつ30kmほど走ったが、バッテリー残量はMAXのまま。


 お、予想以上に持ちそうだ、と思ったらそれはちょっと甘かった。減りだしたら速いのである。その後、日が暮れたとか夕食を食べに行くとかで30分ほどライトを付けて夜の走行。ライトは標準装備しており、「-」ボタンを長押しすると点灯する。さすがだなと思ったのはライトの前面。よく見ると、上半分は光がリフレクター兼用で、光が拡散するようになってる。


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上部6割くらいがリフレクター兼用になってる
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点灯時。上半分は光画拡散されてるのがわかる

 これだと対向車や歩行者にまぶしくないのである。ライトの角度がちょっとでも上を向いてると、向こうから自転車が来たときにすごくまぶしくて不快なのだけど(だから自分が走るときは少し下を向けるよう気をつけてる)、それを軽減してくれるのだ。細かい街乗り仕様ならではの気遣いがうれしい。


 もうひとつ街乗り仕様ならではの気遣いはサドル。サドルブランドとして有名なイタリアのセラロイヤル社。お尻が当たるところが大きな、いわゆるママチャリ仕様の形状なのだけど、ぐにゃぐにゃしてない低反発なクッションがいい。さらに持ち手がついてるのはポイントが高い。


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サドルうしろの取っ手が実は便利。駐輪時などに車体を簡単に持ち上げられる

 この取っ手、店頭の狭いところに駐輪したり、狭い駐輪場で方向を変えるときにめちゃ重宝したのだ。ほかにもちょこまかと取っ手を持ち上げて駐輪位置の調整ってよく発生するのである。


 さて、話は戻ってバッテリー。その後、減るペースが速くなり、走行距離45kmに達した頃には目盛が約半分以下まで減っていた。4から2に減るのは予想以上に早かったので要注意だ。


 ではここで最後の電力を使い果たしてもらおうじゃないかと、いつもの岡本三丁目の急坂へ向かう。上に行くほどキツい勾配になる坂を上るのである。


COOZYで激坂を上る! Powerモードだとキツイが
Boostモードなら比較的ラクに上れる

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恒例の激坂登坂テストである。斜度20%を超えるまっすぐな坂だ

 当初は黄色のPowerモードで上り始めたが、これはキツいってんですぐ赤のBoostモードにし、一番軽いギアで上りきりました。さすがに街乗り仕様だけあって、すいすいというわけにはいかなかったですな。その模様を例によって車載したアクションカムで撮ってみたのだけど、上りきる寸前、目の前を、左から右に同じwimoのCOOZY(色違い)に乗った人がすすーっと通り過ぎていったのである。映像にそのフレームが写ってるけど、100%偶然です。珍しい。



56kmでついにBattery Lowの文字が

 登りきったところでメーターを見ると、ひとつに減ったインジケーターが赤く点滅してるじゃないか。このとき走行距離は51.3km。最後の激坂でフルパワー使い果たしたようです。


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いよいよ残りが少なくなると、赤く点滅をはじめるのだ

 点滅してもまだがんばってアシストしてくれるので、じゃあ音を上げるまで付き合ってもらおうと、そのまま走り続けるた結果、とうとう「Battery Low」の表示が出てアシストが切れた。


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アシストが切れた、と思ったら「Battery Low」の表示が

 走行距離を見ると56.1km。トリップメーターはフル充電時にリセットしてるので実測値だ(Battery Lowの状態で使い続けるとバッテリーの寿命縮むのでご注意ください)。


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56.1kmでダウン

 今回は、ライトを点灯した夜間走行が40分くらい、POWERモード中心で走ったけど、おそらく想定外であろう激坂も上ったし、結構BOOSTモードも使ったので公称値(BOOSTで約40km、POWERで約70km)から大きく外れてるわけじゃない感じだ。


 ちなみにバッテリーの容量は252Wh。さほど大きくないが、その分、自転車全体の重さは約19kgに抑えられており、このくらいならアシストオフでもさほどつらくない。アシスト力は激坂に囲まれた起伏が激しい土地に住んでるならもうちょっとパワーが欲しくなるけど、日常の足としては十分快適だ。いわゆる「ママチャリ」系電動アシスト自転車に比べると、サドルは柔らかすぎずしっかりしてるし、走りも軽いので、ぐいぐい踏んで気持ちよく走れる。


 スポーツ車ほどではないけど、寄り道しながら片道15~20kmくらいの距離を自転車散歩するなら最高かもしれない。走りながら気になるものを見つけては止まり、神社を見つけては訪問し、汗をかいたらお茶を飲みという、のんびりポタリングには最高かと思う。


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気軽に出かけられるのが小径車の良さ

 かくして、軽くて取り回しが楽でe-bikeに見えないシンプルなデザインが優れた快適な街のe-bikeなのだった。カゴを付けて日常の足として、さらに晴れた日の自転車散歩(ポタリング)にちょうどいい。


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