ポータブルカセットプレーヤーは断然「ウォークマン」派なジャイアン鈴木です。私が初めて購入したウォークマンは2号機の「ウォークマンII WM-2」。あまりに愛着がありすぎて、整備品をオークションサイトで数年前に購入しました。しかし数ヵ月後に調子が悪くなってしまい、いまは本棚に飾っています。
さてWM-2をいつか修理に出したいなと思いつつ、普段使いのポータブルカセットプレーヤーがほしいなーとAmazonやAliExpressを検索したり、ニュースリリースをチェックしていたら、先日ちょっと可愛い製品を見つけました。
というわけで今回は、カセットテープが丸々透けて見えるデザインがいい感じの、東芝エルイートレーディングのBluetooth対応ポータブルカセットプレーヤー「AX-W10C」をレビューします。ウォークマンと連呼してゴメンナサイ。
「AX-W10C」と同時に、カセット付きワイヤレススピーカー2モデルと、ワイヤレススピーカーも発売されています。
カセットふたの異なる
ふたつのモデルがラインナップ
「AX-W10C」は録音、再生機能を搭載したBluetooth対応のポータブルカセットプレーヤーです。フタが透明な「AX-W10C」と、ボディーと同じくマットホワイトの「AX-W10」の2モデルが用意されています。スケルトンが大好物な私は断然「AX-W10C」が好み。でもでも、「AX-W10」にシールを貼ったり、この真っ白なボディにイラストを描いて「もらったり」するのもよいですね。

カセットテープレコーダー部は、ステレオ(4トラック2チャンネル)に対応しており、また録音(DCバイアス録音、マグネット消去)も可能。早送り・巻き戻し時間は60分テープ(C60)で約3分。推奨テープは「ノーマル」で、「ハイポジション」や「メタル」には対応していません。
筆者がカセットウォークマンを愛用していた時代には、オートリバース機能も普及機に搭載されていましたが、現代では必要なパーツを作れないため「ロストテクノロジー」となっています。この点はちょっと残念ですね。


Bluetoothのバージョンは5.0、対応プロファイルはA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)、通信見通し距離は約10m。Bluetooth対応スピーカーやヘッドフォンに接続すれば、ワイヤレスでカセットテープの音楽を再生できます。
端子は、3.5mmステレオミニジャック(実用最大出力2.5mW+2.5mW、32Ωイヤフォン)×1、外部入力端子(AUX)×1、USB Type-C(給電用)×1を用意。電池は単3形アルカリ乾電池2本を使用。電池駆動時間は約16時間です。
本体サイズは94×121.5×33mm、重量は乾電池なしで約0.2kg、乾電池含んで約0.23kg。ちなみに「ウォークマンII WM-2」の重量は乾電池なしで約226g。「AX-W10C」のほうがわずかに軽いわけですね。






Bluetooth経由でのワイヤレス接続は
ベリーイージー
「AX-W10C」は、3.5mmステレオミニジャック経由での有線接続と、Bluetooth経由でのワイヤレス接続を利用可能。今回はせっかくなので、まずはBluetoothイヤフォンをつないでみました。
セットアップはカンタン。Bluetoothスピーカーやイヤフォンをペアリングモードに切り替えてから、カセットテープを再生している状態で、背面のBluetoothボタンを長押しするだけ。すると「AX-W10C」もペアリングモードに移行して、Bluetoothランプが点滅します。ペアリングはだいたい10秒で完了。この時点で、Bluetooth機器からカセットテープの音楽が再生されているはずです。




有線接続なら挿すだけで利用できるので超お手軽。しかし、手持ちのイヤフォン、ヘッドフォンで「AX-W10C」に似合うものはなかったです。もし1980年代のレトロなポータブルカセットプレーヤーを再現したいのなら、Bluetoothヘッドフォン「JLab Rewind Wireless Retro Headphones」がイチオシです。



7700円のプレーヤーとは思えないほど
バランスのいい音を楽しめます
さて肝心の音質についてですが、7700円のポータブルカセットプレーヤーとは思えないほどバランスのいい音を再生してくれます。もちろんイヤフォン、ヘッドフォンによってまったく音は変わってきますよ。
個人的には開放型(オープンエアー)のほうが「AX-W10C」と相性がいいと感じました。手持ちのイヤフォンのなかでは、ninewaveの「NW-STUDIO PRO」との組み合わせが一番気に入りました。
なお、クイーンの「Bohemian Rhapsody」をデジタルオーディオプレーヤーと「AX-W10C」で再生してスピードを比較しましたが、曲が終わる5分55秒時点でも秒単位の違いはなかったです。個体差はあるかもしれませんが、今回借用した製品のテープスピードはほぼ正確でした。
音質面の売りのひとつである「バーチャルサラウンド」については、それぞれの音を強調することで臨場感は増します。しかし、曲によっては高域が耳障りに感じることがありました。「バーチャルサラウンド」は臨場感に物足りなさを感じるときに、限定的にオンにするという使い方がよいと思います。



エモ度、レトロ度は?
恒例の主観的評価ですが、エモ度は100点満点中95点、レトロ度は100点満点中90点です。エモ度については、とにかくカセットを鑑賞できるというデザインがたまりません。ド派手なテープを入れて見せびらかしたいですね。メタリカの「72 Seasons」のカセットテープは黄色のスケルトン。「AX-W10C」に似合いそうです。
レトロ度については、リールハブがくるくる回っている姿を見ているだけで、昭和世代としてはグッと来ます。耳を近づけると聞こえるキュルキュルという回転音も懐かしさがこみあげてきます。ただ本製品は、外観はあまりレトロを追求しておらず、オッサンよりも若い世代にカセットテープを聴くという行為を体験してもらうために作られているのかな、と感じました。というわけでレトロ度は90点とした次第です。
ポータブルカセットプレーヤー全盛期の中古品のコンディションを保つのは困難です。その点、「AX-W10C」は新品で購入可能。過去のプレーヤーと直接比較したわけではないですが、今回試聴したかぎりでは音を楽しめるだけのクオリティーを備えています。
もしポータブルカセットプレーヤーに興味を持っているのなら、最初から過去の名機を狙うのではなく、まずは安価に購入でき、手軽に扱える「AX-W10C」を強くオススメいたします。

■関連サイト
この記事を書いた人──ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始した。