輸入車唯一のフルハイブリッド「E-TECH」を推すルノー。実はもう1つハイブリッドユニットが用意されています。
※フルハイブリッド=高出力のモーターを搭載し、モーターだけで走れるHV。ストロングハイブリッドとも
※マイルドハイブリッド=低出力のモーターを搭載し、コストに優れるHV
せっかくなので、以前、E-TECH版のアルカナを試乗された新 唯(あらた・ゆい)さんにもチェックしてもらいましょう。
◆アルカナは時代を先取ったクーペSUV


アルカナは、ファストバックスタイルのクーペSUV。最初は「なんかすごい形だなぁ」と思ったのですが、その後プジョーやトヨタをはじめ、各社から似たような形のクロスオーバーが出てきたことから、先見性であったり、今後のトレンドなのかなと思ったりもします。唯さんも、最初は「これは何ですか?」と頭の上にクエスチョンマークが出ていたのですが、見慣れるとスタイリッシュでいいかも、とも。




外観はE-TECH版のアルカナと同一。E-TECH版との違いはバックドアにあるE-TECHのロゴと、ホイールに設けられた加飾が異なる程度。と言いたかったのですが、実はE-TEHC版は最近ENGINEERED(エンジニアード)というエクステリアにチェンジしたため、見た目はガラリと変わりまして……。今はチタニウムカラーの加飾の有無で見分けられるようになりました。











見た目から「荷物が載らないのでは? 後席が狭いのでは?」というイメージを受けますが、これがそうでもなく。荷室に12VアクセサリーソケットやAC100Vコンセントがないのはちょっと残念ですが、荷室は480リットルと大容量。床面は二重底になっており、2列目シートの背もたれをたためばフルフラットにも、より大容量の空間にも対応します。
◆赤いステッチがスポーティーさを演出








後席は身長185cmの男性が座ると「少し頭が擦れるかな」というところはありますが、足元は十分に広くて快適。レザーシートに赤いステッチがスポーティーな印象を与えます。アメニティも充実しており、長時間ドライブでも快適で、乗降性にも問題はまったくもってございません。


















運転席は基本的にはアルカナと一緒。ですがステッチの色が赤になっています。「これは可愛いですね」というのは、スポーティーグレードがお好きな唯さんのお言葉。なかでもシートベルトに赤のステッチが入っていることに感心されていました。
室内はLEDアンビエントライトで照らし出されており、任意で色が変更可能。車両をお借りした時は紫で「これ、なんか……」と思われたそうですが、赤に変更すると「これならアリ」とのこと。室内の一部にはカーボン調のパネルが貼られており、スポーティームード満点。
◆スマホはiPhoneにもAndroidにも対応する







ASCII.jpらしく、スマホ連携をチェックしましょう。運転席側のUSBコネクターはUSB-Aが2系統で、そのうち1系統がディスプレイオーディオとつながります。Android AUTOとApple CarPlayに対応しますが、ワイヤレスCarplayには非対応。スマホトレイはワイヤレス充電に対応しますが、横置きのためかケーブルを接続すると端子に負荷がかかる状態になってしまいました。
◆燃費はリッター17kmとE-TECHには負ける


今回のテーマであるマイルドハイブリッドユニットを見てみましょう。最高出力158PSの1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボエンジンに、5PSの補助モーターという組み合わせ。ちなみに、E-TECHは最高出力94PSの1.6リッター直4 DOHC 16バルブ自然吸気エンジンに、最高出力49PSのメインモーターと最高出力20PSのサブモーターの組み合わせです。
ユニークなのは、E-TECH、マイルドハイブリッドともに、全部の最高出力を足し算すると163馬力になるところ。とはいえ「すべてが一斉に動く」ことはないわけだし、単純に足した数字が「システム出力」とは言えないのですが……。
気になる燃費は、リッター17kmくらいが実測値。条件がよければE-TECHがリッター30kmくらいは叩き出すので、これだけをみると「E-TECHしかないだろ」と思ったり。
◆走りの楽しさはE-TECH以上!
経済性の話はこの位にして、走りの違いをレポートしましょう。E-TECHは実にイマドキのクルマで、滑らかなフィーリングと静粛性を美徳とするもの。どこか日本車的ともいえて、「本当にフランス車なの?」と疑ってしまうほど。

その逆を行くのがマイルドハイブリッド版といえるかもしれません。静粛性や滑らかさというのは減じてしまうものの、走りの楽しさ、アクセルを踏む楽しさを訴求する心地の良いエンジン音、生理的に好ましいパワーの盛り上がり。「R.S.ラインはこうでなくちゃ!」と両手を挙げての大喝采です。

車体重量が90kg軽いからか、ハンドリングも軽快そのもの。加速感もマイルドハイブリッドの方が印象的。唯さんもニコニコしながらクルマを走らせます。「この適度なスポーツ感が良いですね。ですが街乗りならE-TECHの方がいいかなとも思います」。
販売比率では圧倒的にE-TECHなのだそう。確かに普段使いならE-TECHを選ぶことに納得です。特に渋滞や信号の多い都心部ならなおのこと。ですがマイルドハイブリッド版のスポーティーな走り、生理的な心地よさは実に魅力的。
ガソリン高騰の時代においてマイルドハイブリッド版は「すごくせいたくなクルマ」に思えたりもします。EV時代を控え、最後のガソリン車として、あえてマイルドハイブリッド版を手にするのはアリな選択肢かもしれません。

E-TECHとマイルドハイブリッド。ルノーは我々に2つの選択肢を用意したことを素直に歓びつつ、すごく悩ましい選択を迫っている。そんな事を思いました。

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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。