Jeep/WRANGLER UNLIMITED SAHARA(870万円)

 Jeepの代表モデル「WRANGLER UNLIMITED SAHARA」。その見た目や名前からして、砂漠や岩場などといった悪路における高い走破性は想像に難くないでしょう。

ならば、渋滞と信号待ちの多い東京砂漠ではどうなのでしょう?


ゴツイ見た目どおりの安定感と取り回しの悪さ

砂漠も山道も走れるJeep「WRANGLER SAHARA」は東京砂漠も楽勝だ!
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Jeep/WRANGLER UNLIMITED RUBICON(658万円・取材当時)

 筆者的にJeepに触れるのは約2年ぶり。その時は、ルビコンという3.6L V6 DOHCエンジンに、専用の変速比を持つ副変速機や、必要に応じて任意で後輪のみ、または前後輪両方のディファレンシャルを直結状態にできる「前後輪ディファレンシャルロック」を装備した「ロックトラックフルタイム4×4システム」という4WDシステムと、フロントのスタビライザーを任意に解除することで、悪路においてフロントアクスルをより柔軟にストロークさせることができる「電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステム」を搭載したモデルでした。あまりのハードコアぶりに眩暈がしたことを今も覚えています。


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Jeep/WRANGLER UNLIMITED SAHARA(870万円)

 以前の取材当時、ラングラーにはエンジン違いやドアの枚数などで様々なモデルがあったのですが、2022年3月に「アンリミテッド・サハラ」と「アンリミテッド・ルビコン」の2グレードに集約。エンジンも2L 直4ターボのみとなりました。2022年12月に追加されたプラグインハイブリッドの「4xe」の3モデルが日本で売っているレギュラーモデルです。都度、限定仕様車が登場していますが、こちらについては割愛します。


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 まずはボディーサイズからチェックしましょう。全長4870×全幅1895×全高1845mm、ホイールベースは3010mm、車体重量1960kgと立派にEセグメントSUVサイズ。最低地上高が200mmあるため、ドアの下にステップが設けられています。


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 ドアの蝶番が外に出ているあたり、ハードな印象を受けるエクステリア。一方でガラスにジープのアイコンが小さくデザインされるなど、カワイイ部分もあったりします。


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 エンジンは最高出力272馬力/最大トルク40.8kgmを発生する2L 直4ターボ。

レギュラーガソリン対応で、タンク容量は81L。フューエルコックは鍵を使って解錠します。


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 先ほど、現行のルビコンとサハラは同じエンジンと書きました。では違いは何かというと、4WDシステム。ルビコンは「ロックトラック フルタイム4×4システム」というJeep最強のシステムを装備するのに対し、サハラは電子制御のセンターデフを搭載し、手動でレンジ切り替え可能なセレクトラック フルタイム4×4システム。相応の悪路に行けば違いを感じるのでしょうけれど、一般道を普通に走る分には違いを感じることは少ないでしょう。


 外観の違いとしては、エンジンフードにルビコンの文字と、フロントフェンダー近くに赤いバッジを装着する程度です。


車内外を黒で統一! シックだけど野性味溢れるデザイン

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 室内は黒で統一。ラグジーではなく道具感が強く、助手席に体を支えるためのハンドルが設けられています。日本車を見慣れた目からすると収納は少ないものの、必要なものは一通り用意されています。


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 ドライブセレクターの隣にあるのは、4WDモード切替。ほかの操作系は軽めなのですが、このレバーだけは特別。グイッと力を入れて動かします。

2輪駆動の方が燃費がいいかなと思ったのですが、メーカー担当者によると「あまり変わらないと思います」だそう。今回の試乗中は4WDのAUTOモードと2WDを切り替えてみました。走りは当然変わりますがのちほど。


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 ステアリングホイールは大径で、バスかトラックを運転しているような気分に。かなり操作は軽く、腕の力が弱い人でもラクに操作できるでしょう。ステアリングホイールの裏側にはパドルシフトの代わりに音量調整などといったボタンがついています。運転支援としてアダプティブクルーズコントロールを装備。車線監視やハンドル支援はありません。


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 メーターは指針式で、中央にはインフォテインメントディスプレイを用意。ナビゲーションと連動して、交差点などではルート指示をします。


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 インフォテインメントの画面は小さく、画面も直角なので見づらいのが正直なところ。操作も独特だったりします。

また、Apple CarPlayAndroid AUTOにも対応しています。


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 運転席側のUSBはType-AとType-Cを各1系統用意。その下にはスマホが置けそうなスペースがありました。


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 感心するのはダッシュボードの奥行きが浅いため、フロントガラスにダッシュボードの映り込みが少なく、いかなる時でも視界が確保されているところ。なるほど、命を預けるクルマってこういうモノなのかなと感心しました。


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 逆に感心できなかったのがペダル周りで、左足にフットレストがないこと。フットレストがないクルマって、どうも納まりが悪いんですよね。


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 シートはフカフカでホールド感は薄め。800万円を超えるクルマなのに、電動リクライニング機構がないのはちょっと残念です。


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 天井や荷室部分の外装は着脱可能。比較的簡単にパネルを取り外せるので、オープンカーのような楽しさが味わえます。ですが取り外したところで「このパネルとか、どこに置けばいいんだ?」となります。


見た目どおり後席はかなり広く、USB端子も豊富

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 後席は広くて、EセグメントSUVであること、3mの長いホールベース車であることを改めて実感させられます。シートに身をゆだねれば、ロングドライブも苦ではなさそう。USBだけでなく、150WのAC出力もありますので、ゲーミングノートPCでも充電や操作ができそうです。


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 特徴的なドアを開けて荷室へ。十分な広さはあるのですが、ボディーサイズが大きいゆえ「思ったより狭い」というのが率直な感想。とはいえ、小物入れや12Vアクセサリーソケット、カップホルダーなどが用意され使い勝手は良好。リアシートを倒せば、ほぼフルフラットの2000Lという広大なスペースを得られます。


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 後席を倒す時、シート座面が前へ移動するのはアイデア賞。小さな気配りですが、これが使い勝手の良さとシートの厚み(居住性)を両立させます。ほかのメーカーでも見かける機構ですが、もっともっと広まるといいと思います。


燃費は悪いが安心感のある走り

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 スタータースイッチを押してエンジンを始動。相応の機械音は聞こえますが、振動は少ない印象。走り出しは軽快で、とても2トン近いクルマが動いているとは思えないところがあります。


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 最初に感心するのは「運転のしやすさ」と「取り回しのよさ」。

エンジンフードの外にフロントタイヤがあるため不安な気持ちになりますが、案外スグに慣れます。なにより視界の高さが運転のしやすさに直結しているように思えます。さらに言えば、大抵のほかのクルマを見下ろす感じになるので、なぜか優越感に浸れます。


 ハードな見た目ですが、乗り心地は意外と快適。日本車ほど柔らかくなく、ドイツ車ほど硬くなく。工事中の道からの衝撃は相応にありますが、かといってイヤな感じはしません。


 信号待ちではアイドリングストップが作動。その復帰時に大きな振動がないところにも関心します。大ざっぱなクルマと思ったら大間違いです。


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 2WDと4WDでは走りに差があり、2WDは後輪駆動になるようで、加速時にグイッと背中を押されるような感覚と軽快な動きをみせます。これが意外と楽しかったりも。4WDにすれば接地感が一気に増すとともに、体全体が引っ張られるような加速感が得られます。


 高速道路では形状と天井が外れるという機構ゆえ、風切り音が耳につきます。また、2WDモードだとちょっとフラフラッとした挙動をみせることも。4WDにすると安定感が増すので、基本的に4WDで巡行した方がいいでしょう。追い越し車線などでの加速も十分力強く、モタつくことは一切ありません。


砂漠も山道も走れるJeep「WRANGLER SAHARA」は東京砂漠も楽勝だ!
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 駐車場では、思ったよりも小回りが利く印象。最小回転半径は6.2mですので、駐車場の広さにもよりますが切り返し1回で綺麗に収まりました。バックモニターもついていますし、何なら前方も確認できますから、鼻先問題も回避できます。


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 燃費は街乗りでリッター5km台、高速道路でリッター10kmといったところ。イマドキのエコカーに慣れた財布にはキビシイですが、PHEV版もありますから、ガソリン代を気にされる方はそちらをチョイスするのもアリです。


【まとめ】

砂漠も山道も走れるJeep「WRANGLER SAHARA」は東京砂漠も楽勝だ!
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 本格クロスカントリーを街乗りで使うのはもったいないと思ったりもしましたが、いざ乗ってみると楽しいの一言。何より自分がとても強くなった気分になります。


 ただ、800万円を超えるプライスタグを見ると、快適さで勝る「ドイツ御三家」のSUVが選択肢に入ってくるのも確か。でも、それらでは得られないプライスレスな気分とフィーリングを知ると「コレはアリ」だと思いますね。


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