新しい日産「ルークス」が「セレナ・ミニ」だった件

 三菱自動車の軽トールワゴンがデリカミニだから、その日産版はセレナミニなのかな? 日産の軽自動車「ルークス」を始めて見た時、そんなことを思ったのでした。ならば、走りはセレナに近いのかな? というわけで、2023年4月にマイナーチェンジした日産ルークスの上位グレード「ハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション」をご紹介します。


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日産/ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(216万5900円/テスト車はオプション込271万9545円)

日産と三菱は軽自動車で協業している
ルークスとデリカミニは兄弟車

 日産自動車と三菱自動車は、合弁会社NMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)を設立するなど、軽自動車事業において協業しているのはご存じの方も多いと思います。具体的にはNMKVが開発し、三菱自の水島製作所で生産しています。

それゆえ顔違いの兄弟車が誕生しているわけで、今回の日産ルークスと三菱自デリカミニもその関係になります。


日産「ルークス」は収納の鬼! 使い勝手とモーター&ターボの走りで軽自動車が好きになる
日産
三菱自動車/デリカミニ(写真はオプション装着車)

 そんな兄弟は、2023年春にマイナーチェンジ。三菱自側はeKクロススペースからデリカミニへと名前を変え、ヘッドライトをジト目に見立てたカワイイ怒り顔へと変更。さらに足回りのセッティングも変えて、三菱自で「アウトドア感と走行性能」を軽自動車の枠で実現させてきました。


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日産

 日産側はというと、こちらもお顔を変更。セレナと同様の「デジタルVモーション」グリルを採用してシャープさとドヤ感をあげてきました。合わせてボディーカラーの一部を入れ替え。その内容は見ていると頭が痛くなるほどの分量になるので割愛します。


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 三菱自側はサスペンションを変更したのに対し、日産側はホイール径を15インチから14インチへとインチダウン化。当然、走りが変わることは容易に想像できます。


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 パワーユニットは変わらず、660㏄の3気筒ターボエンジンに最高出力2.7馬力、最大トルク40N・mのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド。変速機はCVTで、変速タイミングは比較的上まで引っ張る傾向もそのままです。


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 室内をチェックしましょう。まず気づくのが上質感。マイナーチェンジした「ハイウェイスター Gターボ」(「プロパイロットエディション」を含む)では、カシス色のアクセントステッチが施されたレザー調インストルメントパネルを採用。合皮のシートには小さな穴が無数に開けられており、その穴の断面にもカシス色が使われています。


 最近の日産は日本の伝統モノを取り込むことに長けていますが、シートを見ながら「籠目柄(かごめがら)かな?」と思ったり。穴が開いているからといってベンチレーション機能が付いているわけではないですし、ヒーターはオプション設定だったりしますが、このシートだけでハイウェイスターグレードを選びたいと思わせるに十分な説得力があります。


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 ルークスとデリカミニでいいなぁと思うのは、収納が多いという点。収納の鬼、という言葉がピッタリで、開いているスペースは収納に割り当てるべき、という強い意志を感じます。個人的には助手席下にあるシューズケースはイイな、と思います。このシューズケースは二重構造で、その下には車検証などを入れることも可能です。


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 純正ナビは、おそらくパナソニックのOEM。というのも「音の匠」モードを搭載しているから。

音の匠というのは、レコーディングエンジニア集団「ミキサーズ・ラボ(MIXER'S LAB)」とコラボレーションして、「スタジオマスターサウンド」を目指すというもの。効果としては臨場感をあげる傾向のようで、確かに効果はバツグン。運転を楽しくしてくれること間違いありません。やりすぎると違和感を覚えるので、そこは人それぞれ。ビット拡張をオンにすると、柔らかい質感の音になる傾向がありました。


スイッチまわりにやや不満を覚えるものの
収納の多さとシートのデキに驚き!

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 運転席側のスマホまわりについて。まず、USBは2.4A出力のType Aがディーラーオプションで1万7160円。最大出力15WのQi対応ワイヤレス充電器もディーラーオプションで3万4000円となります。ナビと接続する際、ナビ側のUSB入力端子を使うのは、ちょっと煩雑かなと思ったり。


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 運転席まわりで気になったのは、オプションの「本革巻きステアリングホイール+ホットプラスパッケージ(ヒーター付きドアミラー、ステアリングヒーター、前席ヒーター付きシート、リアヒーターダクト)+高濃度不凍液+PTC素子ヒーターで4万1800円」のステアリングヒーターのボタンが、運転席右側の下の方にあったこと。夏場は使わないボタンなので隅っこに追いやられたのでしょうけれど、最初「どこじゃ!」と探してしまいました。空調周りは、エアコン操作パネル側にあった方が使い勝手がいいですね。


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 後席のデキも素晴らしい。

シートは前後320mm可動で、リクライニング機構も用意。シートを最後端まで下げると、VIP系ミニバン級の足元スペースが得られます。プライバシーシェードもありますし、運転席の背面にはテーブルとUSB Type-Aソケットも用意されています。


 スライドドアの開口面積も広くて、乗り降りしやすいのも◎。これにオットマンがあれば、VIP系ミニバンの居場所がなくなっちゃうのでは?


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 荷室は後席をイチバン前にすれば、675mmの奥行きを確保。座面を倒せば、ほぼフルフラットなので使いやすい印象を受けます。サイズにもよりますが、自転車だって載せられます。


モーターとターボで良い意味で「じゃじゃ馬」っぷりの走り

 「トルクフルで軽やか。とにかく楽しい」というのがファーストインプレッション。アシストモーターとターボの組合せは、二段ロケットという形容がふさわしく、ラフなアクセル操作をするとガクガクするのですが、よい意味で「じゃじゃ馬」感たっぷり。


 これが1トンと50kgのクルマを元気よく走らせるわけですから、楽しくないわけがありません。バンバン踏んでも、出るスピードはたかが知れていますから、安心して踏めます。

乗りながら「デリカ・ミニってこうだったっけ?」と記憶を遡りますが、違ったような気が。あちらはもっと大人しいエンジンだったように思います。ちょっと不思議な感覚です。


 インチダウンしたことも、乗り心地の良さとハンドリングに貢献している模様。柔らかな乗り味と軽快なハンドリングを知ると「こっちの方がいい!」と思えます。速度域の高いコーナーで盛大にロールし、横Gを感じながら走ると、頬が緩むこと間違いナシ! でもそんなに飛ばしていないのであしからず。


日産「ルークス」は収納の鬼! 使い勝手とモーター&ターボの走りで軽自動車が好きになる
日産

 「ハイウェイスター」と名乗る以上、高速道路もイケるでしょ! と期待値は高まるわけで、その期待は「法定速度の範囲内」なら十分に期待通り。プロパイロットも熟成の領域に達しているようで、首都高でも「法定速度の範囲」で「それほどR(角度)が厳しくないカーブなら」グイッと曲がってくれます。今では当たり前の機能に思える高速道路の運転支援ですが、日産のデキのよさは、他社の一歩上をいくように感じます。


 楽しくガンガン踏んでしまったため、燃費はリッター15km程度。それでも「抑えた方だな」と思ったりも。ちなみにカタログによるとWLTCモードで19.2kmだそうです。


日産「ルークス」は収納の鬼! 使い勝手とモーター&ターボの走りで軽自動車が好きになる
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 「軽自動車って、走りがツマラナイよね」「軽自動車に乗るとか恥ずかしい」とか思っている方にこそ、ぜひ乗ってほしい1台。きっと絶対「軽ってすごい!」という心の声がダダ洩れることでしょう。使い勝手がよく、走って楽しく、高級感以外これ以上何を求める? 筆者は軽自動車がさらに好きになりました。


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