ラリーチームの代表が絶賛するGLB
マイナーチェンジ版の魅力を探る
ラリーチーム(ウェルパインモータースポーツ)を運営する筆者。ASCII.jpでも連載をやらせていただいて、ラリージャパンに参戦したり女性ドライバーをラリーに送り込んだりしている(ラリー連載「私→WRC」)。
そんな筆者が新車で購入した(残価設定ローンだが)、愛車のメルセデス・ベンツ「GLB 200d 4Matic」が6月で最初の車検を迎えた。
メルセデス・ベンツ「New GLB」

とはいえ、3年で約6万km以上を走り、車両の消耗部品が気になるし、さらにメーカー補償であるメルセデスケアがなくなってしまうというのは、乗り換えのタイミングとしては良い時期であろう。そもそもメルセデスはリセールバリューもいいので、残価設定ローンが終わるたびに買い替えるのがオトクなのだ。
このまま車検をとるのか、乗り換えるのか、今回は2023年11月にマイナーチェンジを迎えた後期型のGLBを試乗して検討してみたいと思う(取材時期は5月の車検目前))。
数あるSUVの中から
GLBを選んだ3つの理由
まずは3年前にGLBを購入した理由を、改めて整理したい。
まずは積載量が多いこと。最大の理由はここで、ラリーチーム運営に加えてGRヤリスのエアロパーツの販売をスタートしたため、何かとモノを積む機会が増えて、それまで乗っていたCクラスセダンでは手狭になってしまったからだ。そのため、ある程度の荷室の大きさは必須条件で、さらにラリーウィークになるとチームスタッフの移動に使われることもあり、乗車定員数が多く、車室も極力広い方が良い。


しかし、大きすぎるのも問題で、普段の足として都内の狭い裏道をストレスなくドライブしたい。メルセデスでこれらを両立するのは7人乗りのコンパクトSUVであるGLBしかない。ほかに7人乗りSUVは「GLE」しかなく、日常使う道には大きすぎるし、価格も一気に跳ね上がる。新しいGLBは前期と同じ「GLB 200 d 4MATIC」の場合、637万円~。GLEは1268万円~とほぼ倍の価格なのだ。
次に追従クルーズコントロールが優秀なのも、このGLBを選んだ大きな理由のひとつだ。ステレオカメラ+ミリ波レーダーの組み合わせは信頼性が高く、メルセデスは基本的にこの先進安全装備を全モデル共通で採用している。
GLBの前に乗っていた「C180」もクルーズコントロールに頼り切った運転で3年間を過ごしたが、エラーを起こしたことは1度もなかった。そして、それはGLB 200dに乗り換えた3年間も同様。4MATIC(フルタイム四輪駆動)と相まって、ゲリラ豪雨のなかも安心快適。この絶大な信頼こそが自分をメルセデスしか選択させなくなったと言えよう。

また、最近は少なくなってしまった高燃費のディーゼルターボエンジンも重要だ。若い頃は燃費の悪いラリーカーばかり乗ってきたが、ガソリンが高騰している近年はさすがにきつい。
年間走行距離2万kmのそのほとんどを、自宅と群馬のラリーファクトリーの往復に費やすが、追従クルコンで優雅に走る関越道はリッター20km程度。街乗りでもリッター15km程度は走ってくれる。軽油満タンで表示される残走行距離1000kmオーバーはとても心強い。1800kgの車重でこの燃費は非常に優秀だ。
以上のように、GLBは唯一無二のパッケージで代わる存在がない。そのため、今回の車検を機に乗り換える場合でも、やはりGLBが最有力候補なのだ。
マイナーチェンジで変わった
気になる4つのポイント
そんなGLBは、2023年11月にマイナーチェンジを迎えた。今回試乗したのはその後期型と呼ばれるモデル。愛車である前期型との違いを見ていきたい。
ただ、今回お借りしたGLBは200d 4MATICのAMGラインという人気オプションパッケージが追加されており、自分の前期型は未装着なので、素のGLBとは多少違いがあることはご了承いただきたい。
まずは1つ目。最初に乗り込んで感じたことは、センターコンソールの変化である。前期型には小さなタッチパッドとメディアなどのショートカットボタンが配置されていたのだが、それらはすべてなくなって、シンプルなトレイがあるだけ。

前期型のタッチパッドはスマホの充電ケーブルなどが少し触れるだけでテレビやラジオの選局が変わってしまって、使い勝手はお世辞にも良いとは言えなかったが、メディアの切り替えのショートカットボタンは多用していたので、最初は少し戸惑ってしまった。
2つ目は、上下クリック式からボタン式に変更されたダイナミックスイッチ。このスイッチを押してエコモードにして出発。走り出す前に必ず行なう操作である。

それでも、その走りに不満を感じたことはなく、むしろ運転する楽しみも充分感じることができると思っている。
3つ目は、ステアリング自体が新しい世代のモデルに変わっている。そのため最初は少し操作系に戸惑いを感じたが、それに慣れると自分のよく知るGLBだった。燃費も良く、走りも楽しい万能SUVだ。

ホイールがAMGラインの20インチ仕様のため、乗り心地を少々損なうかわりに、路面のインフォメーションをより感じやすくなっている。自分のように日本の高速道路をゆったり100km/h巡行するぶんには必要ないが、ドイツのアウトバーンのようなところをハイスピードで走るならこのくらいの方が良いのかもしれない。
そして4つ目。高速道路を走っていて思うのは、追従クルーズコントロール使用時のハンズオフ検知機能の向上である。前期型はトルク感応式のため、ほぼ直進のわずかなステアリング操作程度ではステアリングを握っていても感知されず、頻繁に警告表示が出てしまっていた。そのため、必要のないわずかなステアリング操作を定期的に行なう必要があり、自分としてはこの点を常々改善してほしいと思っていた。
それが後期型では静電気容量式となり、ステアリング操作によるトルクを発生させなくてもステアリングを握っていると認識できるようになった。
ほかにも、シート表皮のリサイクル率のアップや、自動的にロービームとハイビームを切り替えるアダプティブ・ハイビームアシストが標準装備になったが、個人的にあまり必要性を感じていなかったせいか、言われた初めて気づいた。

まだまだ要望はあるが完成度が高いので
結局GLB後期型をお買い上げ
最後に個人的な要望を挙げるとしたら、ステアリングヒーターの追加である。GLBは前席のシートヒーターは標準装備であるが、ステアリングヒーターは未装備。自分は冷え性なので、もうシートヒーターのないクルマには乗れない。シートヒーターやステアリングヒーターの装備は、自分のクルマ選びには大きな比重がある。
本国仕様のAMGラインには追加されたようだが、日本仕様にもぜひ追加してもらいたい。 さらには後部座席にもシートヒーターを付けてほしい。
試乗後、そんなことを思いながらハンコと印鑑証明を持ってヤナセに向かったのだった(※現在はもう後期型に乗っています)。
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