Honda/N-VAN e:L4(左)、N-VAN e:FUN

 Hondaは新型軽商用EV「N-VAN e:」を発売しました。N-VANといえば、商用車としてはもちろんのこと、軽キャンパーをはじめとしてホビーユースにも人気を集める1台です。

果たして、電動化したN-VANはどのようなものか、チェックしてきました。


バッテリーを積んでも広い荷室はそのまま

 N-VAN e:は、N-VANのメリットである広い荷室空間、助手席側のセンターピラーをなくした大開口部などの特徴はそのままにEV化した1台。なのですが、かなりモディファイされています。


Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
ホンダ
N-VAN e:のパワーユニット
Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
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 最初に、気になる走行性能について。バッテリーは29.6kWhを搭載し、WLTCモードで245kmの航続距離を実現。充電時間は基礎充電(AC 6kWh)で約4.5時間でフル充電、急速充電(50kWh)も30分で約8割とのこと。さらにバッテリー冷却・加温システムにより、バッテリーの性能低下を抑制し、特に冬季の充電時間の短縮と航続距離の向上を図っています。


Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
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Honda/N-VAN e:L4
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Honda/N-VAN e:FUN

 バリエーションは商用ユースっぽい四角いヘッドライトの「e:L4」のほか、シートは運転席のみとして、120mm床面を下げることに成功した荷室優先の「e:G」、そして運転席とその後ろにシートを配置した前後タンデム仕様の「e:L2」、そしてホビーユースになじむ丸目ヘッドライトの「e:FUN」の4モデル。価格はそれぞれ以下のとおりです。


・e:L4 急速充電なし:269万9400円/急速充電対応:280万9400円
・e:G  急速充電なし:243万9800円/急速充電対応:254万9800円
・e:L2 急速充電なし:254万9800円/急速充電対応:265万9800円
・e:FUN 291万9400円


 e:L4とe:FUNはディーラーで販売しますが、e:Gとe:L2は法人向けのため、本田技研工業の法人営業部または新車オンラインストア(Honda ON)でのリース契約のみとなります。ちなみにガソリンモデルはそのまま継続販売されます。


Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
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Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
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 エクステリアは、EVだからといって、近未来的な印象を与えることなく、見た目はN-VANそのもの。ただ、FUNグレードに関しては2トーン塗装となり、よりポップな印象を与えています。


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バンパーのリサイクル材
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バンパーのリサイクル材
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バンパーのリサイクル材から作られたプレート。よく見ると表面に小さな破片が見える
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N-VAN e:のフロントバンパー
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リサイクルマークが付けられている

 フロントグリルには廃棄バンパーのリサイクル材を使用して、エコをアピール。無塗装ですので、ひとつひとつ模様が異なります。こうした素材を無塗装で室内で使うメーカーはいくつかありますが、外装で使うのはあまり例がありません。


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AC充電ポート
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DC充電ポート
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DC充電ポートは室内にロックボタンがある

 そのバンパー部分に充電リッドを配置。担当者によると、スライドドアやバックドアの開口時を考えると車両後端に充電ポートを配置することができず、フロントグリルに配置したのだそう。そしたら位置が高く、あまり腰をかがめずにソケットが接続できるという副次的メリットが得られたのだとか。


バッテリーの電力はクルマを動かすだけにあらず!

 AC充電ポートは普通に手で開きますが、DC充電ポートは室内からロック解除しないと開かない仕組みになっています。


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AC100V変換アダプター
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車両の電気で扇風機を回している様子
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オプションで防水カバーも用意されている
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車両の中に電力を引き込むことができる
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接続した状態

 専用のアダプターを使えば、バッテリーに蓄えた電力をAC100Vとして取り出すことができます。従来から用意されているオプションを使えば、車両の中で家電を使うことが可能になります。これは見逃せません!


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N-VAN e:L4の室内
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N-VAN e:L4の室内(運転席以外のシートをすべてフラットにした状態)
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N-VAN e:L4の室内(運転席以外のシートをすべてフラットにした状態)
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 インテリアはN-VANの美質はそのままに、アップデートした印象。明るい色とすることで、清潔感が増しています。さらに縦方向にコンテナのようなビードデザインとすることで、内張りの強度が確保されています。


 ちなみに荷室容量はガソリン車とあまり変わらないとのこと。床面にバッテリーを搭載しているのに、容量がほぼ同じというのはすごい!


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内張にネットポケットを増設した状態
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運転席と荷室の間にビニールシートを取り付けることで、エアコンの冷気を逃がさないようにしている

 一見、収納がないと思いそうですが、純正オプションでネットを用意するなど、拡張性が担保されています。


エレクトリックギアセレクター採用で
車内空間を広く使えるようになった

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エレクトリックギアセレクターを採用
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セレクターレバーを廃止したことで、助手席への足抜けがよくなったとのこと
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助手席側から見た室内
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助手席トレイにはUSBケーブルをまとめるのに便利なケーブルクリップを用意
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N-VANではガラケー入れだった部分は小物入れに変更
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USBはType-C(充電用)と、Type-A(インフォテインメントシステムとの連携用)の2種類を用意。インフォテインメントを搭載しない場合、Type-A端子は用意されない
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助手席側の収納
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ナビシステム
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室内全景

 目を惹くのはHondaの軽自動車としては初めてとなるエレクトリックギアセレクター。これによって、ナビ画面が中央に寄っただけでなく、助手席を倒した状態で、運転席から助手席ドア側への移動が容易になりました。


 小物入れ関係も現代流にアップデート。ステアリングホイール左奥にあったガラケー入れはなくなりましたが、ナビの下にはスマホトレイが新設されました。


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 また、Dレンジでもドアを開くと自動的にPレンジに入る仕様へとアップデート。これでパーキングブレーキをかけ忘れても車両が不用意に動くことは回避できます。さらにガソリン車と同様、フットパーキングブレーキを採用することで、乗り換えた際の操作ミスを防いでいるといいます。メーターはN-BOXなどに使われているものと同じです。


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N-VAN e:にはシートヒーターも用意
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N-VANのエアコン操作部

 N-VAN e:にはシートヒーターも用意。従来のガソリンエンジン車にはなかった装備で、冬にはうれしい装備ですね。


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クルーズコントロール系のハンドルリモコン
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N-VAN e:のフロントカメラ
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N-VANのフロントカメラ
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2列目にはサイドカーテンエアバッグを用意

 ガソリンエンジンのN-VANにもハンドル支援などは搭載されていましたが、機能面では大幅にアップデート。また、サイドカーテンエアバッグを搭載し、万が一の時の安全性が増しました。


スマホやタブレットで車両管理ができる!

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スマホで車両管理が可能
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手元で充電量がわかる仕組みになっている
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設定画面
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出発前に電源を入れてエアコンを動かすことも可能。その際、バッテリーは最適な温度に保たれているという
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最大充電量の設定画面
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充電中の様子

 商用車が一度に複数台充電すると電気代が……とか、色々な問題が出てきそう。かといって、車両1台ごとに設定画面を開いて……というのも大変です。そこで、N-VAN e:はスマホで管理するシステムを採用しました。1台のスマホ、またはタブレットで複数のN-VAN e:がコントロールできるので、わざわざ車両にいかずとも簡単に設定/コントロールができます。車両管理者には便利な機能ではないでしょうか。


 これによって、たとえば夜間の電気代が安い時間帯のみに充電したい、といった設定が手元で可能。また、乗る前にエアコンを動かしたいという、「入タイマー」も用意されています。このエアコンの電力はバッテリーの加温/冷却にも使われています。


車重が軽いからこそEVのメリットが活きる

 今回はHondaのテストコースで短い時間ですが試乗もできました。静かで振動が少なくてトルクフルというEVの恩恵は、軽自動車こそベストマッチ。

もう660㏄のN-VANガソリンエンジン車には戻れない……。そんな印象を抱きました。


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N-VAN e:L4のホイール
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N-VAN e:FUNのホイール
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変更されたサスペンション

 驚いたのは乗り心地がかなりよくなっているという点。重量増にともない、タイヤサイズを大型化。さらにセッティングをかなり詰めたようで、乗用車レベルの乗り心地を実現しているのです。


 早い話が「N-VANよりも疲れにくい」というわけ。これは商用車で仕事をする人にとって、かなり助かるのではないでしょうか。


Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
ホンダ
Hondaの商用EV「N-VAN e:」は、仕事に遊びに最高の“箱”だった!
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 また電気の恩恵はビジネスチャンスの拡大も考えられます。排気ガスを出さないことから、大型ショッピングモールの屋内への展示もできるかも? 


 Hondaは、N-VAN e:で電気自動車の実績と信頼を獲得したあと、他モデルへの展開をしていく予定とのこと。のちほど一般道での試乗レポートもお届けします。


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