今年も2位表彰台! 応援ありがとうございました!
ASCII.jp読者のみなさん、こんにちは! 今年もFIA世界ラリー選手権2024第13戦「FORUM8 RALLY JAPAN 2024」 にウェルパインモータースポーツから参戦させていただきました! コ・ドライバーをしています、元SKE48の梅本まどかです。

11月21~24日に愛知・岐阜を拠点に行なわれたラリージャパン。なんと、今年も表彰台にのぼることができました!!! だいぶ遅くなってしまいましたが、4日間の様子をレポートします。

今年、全日本ラリーはCUSCO RACINGからの参戦でしたが、WRCは昨年と同じ体制でウェルパインモータースポーツから村田康介選手とJR1クラスにトヨタ「GRヤリス」で参戦し、2位という結果で走り切ることができました。


まず、応援してくださった皆さん、ありがとうございました! ラリーが終わった今は完走できホッとした気持ちと、表彰台にあがれたうれしさ。正直、悔しさは少し残りますが、1年ぶりのチームに村田選手とのペアで、しっかり結果を残せて本当によかったです。

今年で3回目となる愛知でのラリージャパン。同じチームでマシンも昨年と同じGRヤリスという点では安定しているように見えますが、丸1年一緒にラリーをする事がなく、期間が空いてしまったことへのプレッシャーは正直ありました。ですが、村田選手とは変わらず「ラリーを楽しもう♪」というのを合言葉に進めていき、実際今年が一番楽しめた気がします。
村田選手、豊田スタジアムキングに!?
今年はラリージャパン開催前にラリー講座をさせていただいたり、イベントやTVで紹介させていただく機会がたくさんあったのですが、そこで必ず「昨年、大盛況だった豊田スタジアムのSSS(スーパースペシャルステージ)が今年最後なので見どころです!」とお話ししていました。

来年もラリージャパンは開催されますが、豊田スタジアムでのSSSはなくなることが事前に発表されていました。
日本ラウンド唯一のデュアルSS。2台同時にスタートすることから、直接的なバトルはなくともフィニッシュするタイミングから、どっちが速いのかわかりやすいと反響が大きかったのです。しかも、ほかの国でもターマックでのデュアルSSは珍しいと、ラリーファンミーティングで新井敏弘選手が教えてくだりました。
実は今まで豊田スタジアムのSSで村田選手は負けナシなのです。昨年から豊田スタジアムは自信があると言っていたので、今年も村田選手と密かに全勝を狙っていたのです。
最終SSを終えてから豊田スタジアムに戻るまでのリエゾンで、村田選手といつもどこのSSが楽しかったのかを話すのですが、SSが21本ある中で一番楽しかったのは2人とも“豊田スタジアム”でした。今年は堀田選手、ディディエ・オリオール選手、山本選手と3回走りましたが、なんと全勝。しかも、あのWRC元王者でターマックキングと呼ばれたレジェンド、ディティエ・オリオール選手と走れるだけでもうれしいのに、全勝という記録まで達成したのです!
昨年と今年を合わせて豊田スタジアム負けなしの選手って、なかなかいないと思いますし、2人ともカメラに抜かれるので始まる前のファンサービスはもちろん、勝った時もモニターを見ながら「いぇーい♪」と叫んで思い切り楽しんでいました。楽しくないはずがないってくらいはしゃぎました! いつもクールな村田選手が、うれし過ぎて自ら「トヨスタキングって呼んでもいいよ」なんて言っちゃうほど。
チームのみんなもこの豊田スタジアムのSSだけは観られるので、サービスパークから走ってスタジアムの中に入り応援してくれて、一緒に喜びを分かち合いました。

全勝はとってもうれしいのですが、SSSにあるジャンプポイントでお腹をすったり、オリオール選手と走った時は、ドーナツターンの見せ場で真ん中にあるクッションドラムにソフトタッチをしてタイヤ痕をつけたりとかなりドキッとした場面もありました……。
山本選手とは昨年も走ったのですが、昨年のレイアウトにはなかったドーナツターンが増えたことで、トヨタ「86」に乗る山本選手は速くて、SS16のSSSではナショナルクラストップタイムを出していたのです。前半は山本選手が速くて、これは負けちゃうかもと思ったのですが、この日、ウォーターバリアにぶつけた車両がいたため、ジャンプ台の下が濡れていました。

私たちが走った時も気をつけていましたが、山本選手はこの濡れた路面でタイムを落とし、私たちが先にフィニッシュ。内容的には3本ともどうなるかわからないドキドキする展開でしたが、だからこそ全勝できた達成感は言葉にできないほどでした。

みなさんも村田選手をオーとサロンなどで見かけたら「トヨスタキング」と呼んであげて下さい(笑)。エクセディブースにいると思うので。

珍しく4日間快晴で
レジェンドと仲良くなれた
今年のラリージャパンは前回、前々回のように大雨や雪が降ることはなく、ほとんどドライで走れました!
ラリーウィークの中で少し雨が降ってウェットな場所もありましたが、走行中に土砂降りということがなく、SS前の待機時間も外に出て喋る余裕があるくらい、今年は気温や天候に一番恵まれていた印象です。

お天気がいいとTC(タイムコントロール)前のヘルメットを被るときなど、ほかの選手とお話ししやすいのですが、今年一番会話をしたのがJR1クラスで優勝したディディエ・オリオール選手です。
同じクラスだったので順番も近く「日本の道はどうですか?」と質問すると「すごく楽しいよ! ただ普段は左ハンドルだから右ハンドルに慣れなくて、シフトミスをしちゃう」と笑いながら話してくれました。シフトミスをしてもあんな速いの? と驚きましたが、SSによって抑えるとところと攻めるところでタイムがわかりやすく違い、レジェンドドライバーはやっぱり判断能力が高いのだなと感じるばかりでした。


ほかにもプライベートのことを聞いたり、車のことを聞いたり、なんでも教えてくれるオリオール選手に最初は緊張していましたが、オリオール選手も見かけると話しかけてくれるようにもなり、最終日にはすっかり仲良しに。
村田選手が「梅本選手はアイドルだった」となぜかオリオール選手に伝えてしまったため、「その写真からはないのか!?」なんて会話も。最後、走り終わったあとに握手もしていただけて、ずっと英語で話していたので頭はフル回転でしたが、こうした交流ができるのは世界大会ならではだなと実感しました。

今までのラリージャパンはあまり海外の選手と交流できることがなく、JR1クラスということもあり「全日本のトップの選手と話せる」という感覚でしたが、3年目にしてオリオール選手をはじめ、ほかにもいろんな海外選手と仲良くなれて「また来年会えること楽しみにしているよ」と言ってもらえたことがめちゃくちゃうれしかったです。

あと、今年はサービスが少なくタイヤフィッティングゾーンが増え、チームスタッフの移動が多かったのですが、みんなが自分の仕事をしっかりできたからこそ、トラブルなく2位という結果で終えることができたのです。

3年間同じチームで参戦していると、はたからは「このチームはこのメンバーだよね」って当たり前に見えるかもしれませんが、実は少しメンバーも変わっていて、その年その年でベストを尽くしてきました。チーフメカニックやドライバーなど主軸のメンバーが変わらない、やりとりの蓄積のおかげで今回のラリーは1番トラブルなく思い切り楽しめました。


ライバルだった眞貝選手が2日目の朝イチに車両トラブルが出てしまい、続いて新井敏弘選手もトラブル……。と、昨年と同じように全日本ラリーのトップたちと一緒にたくさん走れなかったのは残念でしたが、この「WRC」という長い距離を走る競技でトラブルなく走ることの大切さを、身をもって知りました。


ぶっちゃけ、始まるまでは今年が1番トラブルだらけでしたが、ラリーがスタートする前にそれらを解決できたこともよかったのかもしれません(笑)。

今年もラリージャパンにこのメンバーで参戦でき、ホントによかったです。応援して下さったみなさん、ホントにホントにありがとうございました。来年のことはまだ未定ですが、引き続き応援してくださいね!


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