「クルマが好きならMTだろ」という声を耳にしたことありませんか? 確かに変速機を動かしてクルマを走らせるのはとても楽しいのですが、信号だらけの都心部や高速道路の渋滞、さらに坂道発進など考えると、「クルマ好きだけどMTに乗るのはちょっとなあ……」と思ったり。しかし、ご安心ください。
【N-ONE RSのMTを買うべき理由 1】
MTがなくなる前に乗っておこう!
東京都は2030年までに非ガソリン車の新車販売100%を目指しているのを知っていますでしょうか? 日本全体でも2035年には新車販売のすべてを電動車にすると、2021年1月に菅 義偉前総理が施政方針演説で宣言しています。それはすなわち、2035年以降はガソリンエンジン搭載のMTの新車が買えなくなる可能性が高いことも意味します。

本当にMT車が全部なくなるのか? というと、現時点では正直なところわかりません。HondaのCR-Zや先代のFITハイブリッドRSのように、ハイブリッド車でMTというクルマもありましたから。

電気自動車でもヒョンデ/IONIQ 5 Nのように疑似的にシフトショックを作り出すことはできますし、ポルシェ・タイカンのように変速機(2速AT)を搭載しているモデルもあります。ですが、それは数少ない例。自分の手で変速機を動かすことがぜいたくになりつつある時代なのです。
【N-ONE RSのMTを買うべき理由 2】
坂道発進が怖くない!
MTを敬遠する最大の要因は、「坂道発進」の不安からくるものかもしれません。

一般的にMT車の坂道発進は「ハンドブレーキをかけた状態で半クラッチを維持。ハンドブレーキを解除し、前進しはじめたらクラッチを完全につなげる」という動作をします。この時にタイミングをミスると、エンストしたり後退したりします。坂の角度によってはこの動作が非常にシビアになるのです。
当然、自動車メーカーもこの問題について考えていて、10年以上前からほとんどのMT車に「ヒルスタートアシスト」機能を搭載するようになりました(名称はメーカーごとに違いますが)。これはブレーキを離しても数秒間停止状態を保持するというもの。その数秒間に右足をブレーキペダルからアクセルペダルへと移し、半クラッチをして発進すればいい、というわけです。便利な世の中になりました。


ですが、N-ONE RSのMT車は電動パーキングブレーキ(サイドブレーキを電動で制御する)。「ということは、スイッチを使って坂道発進をするのかな?」というと、そうではありません。電動パーキングブレーキの連動機能である「オートブレーキホールド機能」が使えるのです。
オートブレーキホールドは停車時に自動的にパーキングブレーキをかけるというもの。車両が前進すれば自動的に解除します。つまり、左手操作をすることなく、半クラッチ操作だけで簡単に坂道発進ができるのです。これなら、ゆっくりクラッチをつなげても大丈夫です。
ちなみにポルシェのMT車も電動パーキングブレーキで、さらに自動的にオートブレーキホールドがかかります。
【N-ONE RSのMTを買うべき理由 3】
高速道路の渋滞も(ある程度)ラクラク

電動パーキングブレーキの搭載は、全車速追従機能付きクルーズコントロール(以下、ACC)が密接に関わっています。ACCは高速道路で車両が搭載するカメラやセンサーが先行車を認識し、運転者が設定した車速を上限に、先行車に対して追従走行をするもの。先行車が停止すれば、自車も停止しなければなりません。そのとき、車両は自動的にパーキングブレーキをかけなければならず、その制御を電気で行なう都合上、電動パーキングブレーキが採用されています。
しかし、MTのACCってどうやって使うの? という疑問が出てきます。自動的にギアが変わらないMT車で、どうやって車速を落とすのでしょうか?

そこで実験してみました。巡行状態でスイッチオン。アクセルを離しても、車両はときおりエンジンを回したりして、設定速度の上限を維持します。前走車が自車より遅いと、エンジンの回転数を落としたりブレーキをかけたりしながら車速を落とします。ここまではAT車と同じ。


違うのは、自分でシフトダウンをすることと、25km/h程度でクルーズコントロールが解除されること。
【まとめ】クルマの楽しさを再認識できるN-ONE RS
写真は田舎道ですが、N-ONE RSのMTで都心部を走ってみました。最初はオートブレーキホールドをオンにした状態でスタートです。1速、2速、3速とシフトアップしたら、信号につかまって停止。ギアを1速に戻して……を、ただひたすら繰り返します。
テキストを読むと面倒くさそうに思えますが、これが真逆。ぜんぜん飽きないどころか、楽しくて仕方ないのです。AT車ならアクセルかブレーキを踏むだけですが、クラッチを踏む、ギアを変える、といった動作が増えるだけで、こんなに楽しい道になるのかと再発見しました。

退屈な割に疲れる高速道路の移動も、運転支援でラクラク。渋滞にひっかかるとウンザリするのは、どのクルマも同じです。完全停止の多いGW期間の東名高速の大渋滞とかでは「ATの方が」と思うでしょうけれど、15分程度の渋滞なら我慢できそうです。
ここまでなら、同じHondaの「CIVIC TYPE R」でも実現しそうですが、N-ONE RSの方が楽しいと言い切るのは、馬力やトルクが少ないがゆえ、しっかりとアクセルを踏まなければならないから。高性能車だとそのパワーゆえにアクセルが踏めない、つまり「足が作業しない」のです。
しかも、N-ONE RSなら200万円台前半で手に入るばかりか、ガソリンもレギュラー(CIVIC TYPE Rはハイオク)。さらに自動車税は安いなど、維持費が抑えめです。これほどいい話はありません。



体を支えようとドアの内張を膝にあてると、ベコッと少し凹んだりするなど、価格なりの部分があるのも事実ですが、移動手段としてはまったく不満はありません。


また、実用的なのも魅力です。荷室も広いですし、なにより後席の足元がCIVIC TYPE Rより広めですから、ちょっとしたお出かけなら、N-ONE RSの方が快適かも。少なくとも日常使いにおいては、乗り心地などの面も含めても、使い勝手はよいと感じました。

最後のガソリン車としてMTを選ぶ、というのは本当にアリな話。しかも、イマドキのMTなので、楽しい操作は残しつつ、面倒は最小限。MT免許を持っている人は、ぜひともN-ONE RSのMTモデルを選択肢に入れてみてください。

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