2019年10月17日にヤフーが新たにオープンした「PayPayモール」は、それまでのYahoo!ショッピングよりも上位の位置付けとして、ヤフーが定める出店基準をクリアした厳選されたストアだけが出店できるプレミアム感を演出している。ヤフーが買収した大手アパレルECのZOZOTOWNの出店でも、オープン前から話題を振り舞いた。
満を持して11月1日に打ち出したオープン記念の大型キャンペーン「100億円相当あげちゃうキャンペーン」だったが、12月16日、ポイント付与総額が未消化で期間延長を発表した。

 ヤフーは11月1日~2020年1月31日の期間で開催中の「PayPayモールで100億円相当あげちゃうキャンペーン」を、3月31日まで2カ月間延長することを決めた。
 開始当初、期間中であっても付与総額が100億円に達した場合は、途中で終了すると意気込んでいた。キャンペーンにはお決まりの注意事項ではあるが、PayPayモールのオープンを記念すべき最初の大型イベントだったことや、18年12月に実施したPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」に寄せたタイトルだったことから考えても、期間中のポイント消化を狙っていたことは容易に想像される。
 周知のように、18年12月4日に実施したPayPayのキャンペーンは、19年3月31日までの4カ月間の期間を設けていたが、18年12月13日のわずか10日間で100億円が底をついて終了した。日本におけるスマートフォンスマホ)決済サービス普及の火付け役になり、後から振り返っても歴史に残るであろうキャンペーンとなった。

●なぜこのタイミングに延長発表?
 それに比べれば、PayPayモールのキャンペーンは勢いがない。2カ月延長の3月末までの5カ月間のロングセールになることで、オープン記念感は薄れてしまう。
 ほかにも不可解な点は、期間が1月31日までとしていたのに、わざわざ年末商戦真っ只中の12月16日に期間延長を発表したことだ。通常のビジネス感覚なら、年末商戦と年初の福袋商戦が終わった後に発表しても別段おかしくない。もっとも、消費者に誠実さをアピールする上では、早めに発表することに越したことはないのだが。
 しかも延長発表のリリースでは「4月以降もお得なキャンペーンをすることがあります」と、さらなる延長をにおわせる。
仮に4月以降は別のキャンペーンを打ち出すにしても、わざわざ3カ月以上も前から告知する必要はないように感じる。そういう情報を発信するほど、現在進行中のキャンペーンのお得感が薄れてしまうからだ。直前の発表、早めの撤収というのがキャンペーンの鉄則だとすれば、PayPayモールのキャンペーンはそれから外れているようだ。
 もっともPayPayモールのキャンペーンでは最大20%のポイント還元のうち、9%相当のPayPayボーナスライトが100億円相当の対象となっていることから、昨年のPayPayのときほど素早くポイントが消化されないという設計上にも問題がありそうだ。
 それにしても、PayPayのキャンペーンは時期が重なろうがお構いなしに、新しい企画を次々と連打する。BCNで実施したスマホ決済の座談会でも、競合が「参考にしている」と本音を漏らすほどだった。
12月17日現在でも「まちかどペイペイ」「ダイソーの100円相当戻ってくるキャンペーン」「家電量販店で10%戻ってくるキャンペーン」など複数のイベントを平行して開催している。
 プレミアムなだけあってか「お行儀のいい」PayPayモールと、「商人魂全開」のPayPayのコントラストが激しく見えるのは記者だけだろうか。(BCN・細田 立圭志)
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