島津製作所は3月4日、「新型コロナウイルス遺伝子検出試薬キット」の開発に着手したと発表した。同キットは、試料からのRNA抽出工程を省けるため、検査の省力化・迅速化に寄与する。
月産数万検査分の供給体制の早期確立を目指している。

 現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルスの検出では、鼻咽頭拭い液などの試料からRNAを抽出して精製する工程が欠かせない。煩雑な手作業が求められるRNA精製は、約30分かかるため、迅速な検査の妨げとなっている。
 同社が開発を進める新型コロナウイルス遺伝子検出試薬キットは、RNA精製が不要となり、試料と前処理液を混合し、RT-PCR用の反応試薬を添加して反応させるだけで、ウイルスの有無が判定できる。
 新型コロナウイルス遺伝子検出試薬キットは、同社独自のAmpdirect技術をベースに国立感染症研究所のマニュアルの記載に従って開発している。Ampdirect技術は、「たんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制し、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」というもの。
 同社には、これまでにAmpdirect技術を用いて、食品分野に従事する人の保菌者スクリーニング(検便)用として、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスの検出試薬を開発・販売してきた実績がある。
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