2019年10月1日の消費税率引き上げに合わせて、需要平準化対策としてスタートしたキャッシュレス消費者還元事業が6月30日をもって終了する。スマートフォンスマホ)決済サービス各社が展開している独自のキャンペーンと合わせて利用できることもあり、恩恵を受けた消費者は多いはずだ。


 キャッシュレス・ポイント還元事業について、改めておさらいをしておきたい。同制度は、対象店舗でキャッシュレス決済(クレジットカード、交通系ICカード、スマホ決済など)を利用すると、最大5%を還元するというもの。還元率は中小企業、または個人事業主が運営している店舗で5%、コンビニなどの大手フランチャイズチェーンで2%となっている。
 勘違いされがちだが、キャッシュレス決済に対応する全ての店舗が対象となっているわけではない。事業者は事前に申請が必要だ。対象店舗は、店頭にキャッシュレス消費者還元事業のマークの入ったポスターを掲示している場合が多い。また、地図で対象店舗を検索できるサービスなどもあるので、目当ての店が対象かどうかは事前に調べておくこともできる。
 経済産業省が6月1日に発表した直近の利用状況によると、現在加盟店は全国で約115万店。このうち、5%還元が約105万店舗、2%還元のフランチャイズチェーン(コンビニ以外)約5.2万店舗、コンビニが約5.5万店舗。実は、圧倒的に5%還元の店舗が多い。ちなみに決済手段としては、クレジットカードが約64%で、スマホ決済が約7%にとどまっている。
 実際に利用するとき、注意したいのが還元方法と上限だ。
事前の手続きなどは必要ないが、決済手段によってそれぞれ異なっている。例えば、クレジットカードはほとんどが上限金額を1万5000円相当/回・月に設定。ただ、還元方法は請求金額から相殺されるパターンとポイント付与のパターンがあるようだ。
 スマホ決済の場合はサービスによってばらつきがある。1回の決済の還元上限を2万5000円相当に設定しているPayPayと楽天Payでも、PayPayが月の上限があるのに対して楽天Payが設定していない。また、LINE Payは3万円相当の月上限を設けている。もし、数十万円する高額な買い物を考えているなら、利用する決済手段の設定を確認しておくのがおすすめだ。
 なお、キャッシュレス消費者還元事業は6月いっぱいで終了するが、次の政府主導のお得な施策としてチェックしておきたいのが「マイナポイント事業」がある。これは、マイナンバーカードと特定のキャッシュレス決済手段を紐づけると、2万円の利用もしくはチャージで1人当たり5000円相当のポイントが付与されるというもの。25%の高還元なのでぜひ活用したい。
 期間は2020年9月~2021年3月までと7か月あるが、ICチップ付きのマイナンバーカードの取得、マイキーIDの設定、マイナポイント事業の申し込みなど、事前にやらなければいけないことが多い。特別定額給付金の手続きに関連して話題のマイナンバーカードだが、これからのことも考えてしっかりとその全容を把握しておくことが重要だ。
(BCN・大蔵大輔)
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