米マイクロソフトの提供している「Azure AI 音声」が、アイシンの開発したアプリ「YYSystem」に採用されている。

●Microsoft Azure OpenAI Serviceの要素機能を活用
 「YYSystem」は、音声を認識して文字などに変換するアプリシリーズで、聴覚に障碍のある人をはじめコミュニケーションに困難を抱えるあらゆる人々に利用されている。
「YYSystem」の機能の中でも、生成AIを活用した「Microsoft Azure OpenAI Service」の要約機能が、とりわけLiD/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)を持つ人々の役に立っているという。
 日本ではLiD/APDの認知度が低いため、当事者は孤独感や疎外感を感じやすく、仕事を続けたり日常的な会話に参加したりするのが困難だとされる。アイシンが開発した音声認識アプリ「YYProbe」は、聴覚に障がいを持つ人々のコミュニティで広く使われており、LiD/APDを持つ人にとってはマイクロソフトが提供している新たな生成AIを活用した要約機能が役立つ。
 アイシンの研究開発チームは当初、業務記録の作成を目的とした従業員用の音声文字化ツールとして、「YYProbe」を新型コロナ禍に開発していたが、社内の聴覚障がいを持つ従業員に「YYProbe」を使ってもらったところ、とても評判がよかったっことから聴覚障がい者だけでなく、高齢者や外国人、その他のコミュニケーションに困難を抱えているあらゆる人々が使用できるツールとして、「YYProbe」をはじめとする音声認識システム「YYSystem」の開発に至っている。
 アイシンが、アプリの構築にマイクロソフトの「Azure AI 音声」を採用したのは、音声認識における精度の高さが決め手だといい、「Microsoft Azure OpenAI Service」を通して米OpenAIのChatGPTテクノロジーを利用して「Azure AI 翻訳」と組み合わせることで、要約機能と翻訳機能を実現した。
 「YYSystem」は、官公庁や小売店のカウンターに設置されたモニタでも運用されており、東京で開催される「デフリンピック 2025」では観客による利用が予定されるほか、さまざまなコミュニティの活動や個人の生活でも活用されている。

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