ハイセンスは17日、家電業界初のAI接客アドバイザーを導入すると発表した。急速に進化している生成AIを活用し、お客の質問にAIアバターが回答。
家電量販店の売り場に専用デバイスの導入を進めるとともに、POP等に記されたQRコードによりお客が自身のスマホで利用することも可能だ。

●販売スタッフに聞きたいのに聞けない状況を打開
 リアル店舗の特徴は、なんといっても販売スタッフが対面で接客にあたり、お客の質問に答え、商品の説明や提案を行うことである。しかし、店舗の販売スタッフ数は有限であり、来店客のすべてに対応することは物理的に不可能だ。
 一方、お客の立場でも肝心の販売スタッフが忙しそうだったり、近くにいなかったりで、質問したいのに聞けなかったという経験は誰しも少なからずあるだろう。売り場という同じ空間に商品を買いたい人、商品を売りたい人がいるにも関わらず、双方の接触がなかったがために結果的に販売機会ロスとなるケースは多分にある。
 このような状況を改善すべくハイセンスが導入を決めたのが、生成AIによるAI接客アドバイザーだ。

 導入の狙いは前述のように、「分からない用語があるので確認したい」「忙しそうだけど話を聞きたい」などのお客のニーズと、「接客が長引いてアプローチができない」「ハイセンスのこの機能は何だっけ?」などの販売サイドのニーズの双方に対応することだ。
 また、ハイセンスの調べによると、同社の販売シェアはオンラインで約30%だが、オフラインでは約12%と差がある。今回のAI接客アドバイザー導入は、オフラインでのシェアアップを図るという目的もある。
●質問にはAIアバターがテキストと音声で回答
 AI接客アドバイザーはOpen AIのChatGPTを活用して、ハイセンスが独自にカスタマイズしたサービス。ハイセンスの商品情報やテレビ関連の機能や用語などの膨大なデータを学習しており、ハイセンスのテレビやテレビの専門用語に関する質問、ハイセンス商品のシリーズ比較などに回答する。
 質問は音声でもテキストでも可能で、家電量販店の一部店舗ではテレビ売り場に専用のタブレットを設置し、その場でAI接客アドバイザーのAIアバターがテキスト、または音声で回答する。

 専用のタブレットがない店舗には、商品と並べてスタンドPOPを配置。そこに記されたQRコードをスマホで読み込むことで、どこにいても自身のスマホを使って店舗と同じAI接客アドバイザーによるサービスが受けられる。
 ただし、自身のスマホを活用する場合、Androidはテキストと音声の双方に対応しているが、iOSではテキストチャットのみの対応。利用において注意すべき点は、売価に関することや他社との比較には対応していないということだ。
ビックカメラ有楽町店のハイセンスコーナーに導入
 いち早くAI接客アドバイザーのタブレットを導入したビックカメラ有楽町店では、ハイセンスコーナーで壁面の商品群の前にタブレットを組み込んだ大型のスタンドPOPが配置されている。遠目からでも『AIに聞いてみよう!』という文字が見やすく、何か面白そうと思わせる雰囲気がある。

 タブレットの上には『ご自由に話しかけてください』とあり、AIアバターがスタンバイの状態で話しかけられるのを待っているかのように見える。
 タブレットの下には発話のためのマイクがあり、質問例もあるので来店客が試す際のハードルは低い。家電量販店の売り場はさまざまな音で溢れているが、しっかりと発話者の音声を拾うところを見ると、指向性のあるマイクを採用しているようだ。
 ビックカメラでは商品知識や提案力を重視し、社内資格で独自のマイスター制度を導入している。そのため、最終的には販売スタッフによる接客でお客に合った商品を提案するが、AI接客アドバイザーはそのきっかけとして十分に活用できるとみている。
 「お客様対応で一番の悩みは、販売員に聞きたかったけど聞けなかったと言われること。
AI接客アドバイザーは人手不足をテクノロジーで解決する取り組みで、うまく活用できれば便利なツールとなりそう」とのことだ。
 タブレットおよびQRコードが記載されたPOPは当初、全国の家電量販店100店ほどで導入し、最終的には500店ほどまで導入を進めていきたいという。また、オフラインでの店頭支援として売り場の商品説明員も増員していく考えだ。
 テレビ売り場でハイセンスのAI接客アドバイザーのタブレット、もしくはスタンドPOPがあったら、ぜひ試してみよう。
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