電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、2020年にタブレット端末の出荷台数は増加した。GIGAスクール構想により、需要増に備えた出荷増による動きだ。
一方、一般消費者向けの販売を集計する「BCNランキング」でも、20年は増加に転じた。こちらはコロナ禍による需要増とみている。タブレット端末市場では販売の7割をiPadが占め、力強くけん引する。

 JEITA発表の出荷台数を集計すると、19年は52万1000台だった。翌20年はGIGAスクール構想の影響で、141万台とおよそ3倍の規模まで拡大。詳細にみると、20年1-3月から21年1-3月期まで出荷増は続き、21年も125万3000台と100万台超を維持した。22年以降は特需期を脱して100万台を下回ったものの、19年よりも高い70万台前後で推移している。
 家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を用い、19年を「100.0」とした販売台数指数を算出すると、出荷の動向とは異なる傾向を示した。BCNランキングでは、一般消費者向けの販売のみを集計しているため、GIGAスクール構想による増分が反映されないためだ。
 それでも、20年の販売台数指数は124.2に達し、前年を大きく上回った。要因は、20年1月のWindows 7 サポート終了に伴い、一部のパソコンユーザーがタブレット端末の購入に流れたと考えられる。また、直後のコロナ禍で在宅時間が伸び、需要が増加。
加えて、在宅勤務やオンライン授業が販売の拡大を後押しした恰好だ。
 次に、BCNランキングを使ってタブレット端末の搭載OS別販売台数構成比をみると、iPad OSが6~7割を占める。Android系(Android OSとAndroid OSをベースにカスタマイズされたOSの合計)の構成比は年を追うごとに減少している。
 また、Chrome OSは徐々に構成比を増やしてはいるものの、最も高い比率を記録したのは、21年の3.4%に留まる。このAndroid系とChrome OSの構成比を合計しても3割を下回っており、iPad OSがタブレット端末市場をけん引していることは明らかだ。
 NEXT GIGAが24年度から始まっており、タブレット端末の出荷台数は25年度にかけ、再び増加することは想像に難くない。加えて、Windows 10のサポート終了が25年10月に控えており、20年や21年のように出荷台数、販売台数とも増加に転じるだろう。(BCN総研・森英二)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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