フルサイズのミラーレスカメラの販売台数で4月、ニコンが初めて月次トップシェアを獲得した。このカテゴリーで、これまでずっとトップを走っていたのはソニー。
Z5II躍進の要因は、価格によるところが大きい。4月の、フルサイズミラーレス全体の平均単価(税抜き、ボディーのみとレンズキットを合算して算出、以下同)は、29万8000円だった。一方、Z5IIの平均単価は24万7000円と5万円以上も安い。これまで、ニコンのフルサイズミラーレスの売り上げ筆頭は「Zf」。4月現在の平均単価は27万4000円だったが、ここからも3万円近く安い。それでいて、Z5IIは機能が充実。上位モデル「Z6III」に迫る性能と評価する向きもある。コストパフォーマンスの高さが、ユーザーに認められた格好だ。販売台数上位で競合するモデルは、ソニーの「α7C II」とキヤノンの「EOS R6 Mark II」。α7C IIは23年発売。価格もこなれてきており、平均単価は28万円。EOS R6 Mark IIは22年発売だが、平均単価は32万2000円。
カメラ市場全体に占めるフルサイズミラーレスの構成比は、この4月現在、販売台数で5.5%、販売金額では21.4%。レンズ交換型カメラのうち9割以上を占めるミラーレスカメラの中では、フルサイズミラーレスは台数で19.4%、金額では33.4%を占める。単価が高いため、台数はそこそこだが金額構成比がぐっと高くなる、というのがフルサイズミラーレス市場の特徴だ。コンパクトカメラ見直しの機運が高まっていることから、レンズ一体型の販売は好調。しかし、レンズ交換型は伸び悩んでいる。特に影響が大きかったのが、昨年8月にソニーが実施した出荷価格の値上げだ。値上げ前の6月と7月には、駆け込み購入が生じた。特にα7C IIを中心に購買が集中。フルサイズミラーレス全体の販売台数前年比も、大いに押し上げた。しかし、8月に入ると急ブレーキ。9月以降、フルサイズミラーレスは大きな前年割れが続いている。
ニコンがトップシェアを獲得できたのは、こうした「敵失」によるところも大きい。フルサイズミラーレスの平均単価は30万円超えが常態化しつつあった。一般ユーザーにとっては、なかなか手が届きにくい価格帯だ。そこを何とか押しとどめ、スマートフォンからカメラへの回帰を狙うニコンの価格戦略が、今のところ奏功している。インフレと円安基調が継続し、トランプ関税で世界経済の見通しも悪くなっている。この状況では、競合各社は値下げの動きも難しい。経済情勢も当面、Z5IIの販売拡大には有利に働きそうだ。(BCN・道越一郎)
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2013年11月の「α7」発売以来、150カ月間、首位の牙城を崩されたのはわずか4回しかない。相手は遅れて18年に参入してきたキヤノンだ。実はニコンもほぼ同時期の参入。しかしキヤノンと競りつつも3位に甘んじる月が多かった。今回ニコンをトップに押し上げたのは、新製品「Z5II」の投入だ。4月25日と月終盤の発売ながら、強烈な初速で競合を抜き去り、33.4%の月次シェアを獲得。トップまで駆け上がった。2位ソニーのシェアは32.1%と、その差はわずか1.3%。依然僅差で争っている。一方3位キヤノンは24.0%と少し水をあけられた。これまでソニーの独壇場だった市場に、大きな変化が訪れようとしている。全国約2300の家電量販店とネットショップの実売を集計するBCNランキングで明らかになった。
Z5II躍進の要因は、価格によるところが大きい。4月の、フルサイズミラーレス全体の平均単価(税抜き、ボディーのみとレンズキットを合算して算出、以下同)は、29万8000円だった。一方、Z5IIの平均単価は24万7000円と5万円以上も安い。これまで、ニコンのフルサイズミラーレスの売り上げ筆頭は「Zf」。4月現在の平均単価は27万4000円だったが、ここからも3万円近く安い。それでいて、Z5IIは機能が充実。上位モデル「Z6III」に迫る性能と評価する向きもある。コストパフォーマンスの高さが、ユーザーに認められた格好だ。販売台数上位で競合するモデルは、ソニーの「α7C II」とキヤノンの「EOS R6 Mark II」。α7C IIは23年発売。価格もこなれてきており、平均単価は28万円。EOS R6 Mark IIは22年発売だが、平均単価は32万2000円。
いずれも価格ではZ5IIに軍配が上がる。
カメラ市場全体に占めるフルサイズミラーレスの構成比は、この4月現在、販売台数で5.5%、販売金額では21.4%。レンズ交換型カメラのうち9割以上を占めるミラーレスカメラの中では、フルサイズミラーレスは台数で19.4%、金額では33.4%を占める。単価が高いため、台数はそこそこだが金額構成比がぐっと高くなる、というのがフルサイズミラーレス市場の特徴だ。コンパクトカメラ見直しの機運が高まっていることから、レンズ一体型の販売は好調。しかし、レンズ交換型は伸び悩んでいる。特に影響が大きかったのが、昨年8月にソニーが実施した出荷価格の値上げだ。値上げ前の6月と7月には、駆け込み購入が生じた。特にα7C IIを中心に購買が集中。フルサイズミラーレス全体の販売台数前年比も、大いに押し上げた。しかし、8月に入ると急ブレーキ。9月以降、フルサイズミラーレスは大きな前年割れが続いている。
ニコンがトップシェアを獲得できたのは、こうした「敵失」によるところも大きい。フルサイズミラーレスの平均単価は30万円超えが常態化しつつあった。一般ユーザーにとっては、なかなか手が届きにくい価格帯だ。そこを何とか押しとどめ、スマートフォンからカメラへの回帰を狙うニコンの価格戦略が、今のところ奏功している。インフレと円安基調が継続し、トランプ関税で世界経済の見通しも悪くなっている。この状況では、競合各社は値下げの動きも難しい。経済情勢も当面、Z5IIの販売拡大には有利に働きそうだ。(BCN・道越一郎)
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