●75歳以上の高齢者など対象者全員に「資格確認書」を交付
これまでこの連載では、「マイナ保険証(健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカード)」や「資格確認書」について何度か触れてきた。マイナ保険証のシステム障害や紛失時の手間などのデメリットや、昨年秋の時点で、資格確認書が申請不要で交付される仕組みなどを簡単に紹介したこともある。そして今回は、その資格確認書に関する重要な動きについて取り上げたい。
資格確認書は、本来、マイナ保険証を持たない人などに申請不要で交付されるものであったが、暫定的運用として、マイナ保険証の有無にかかわらず、対象者全員に申請不要の「プッシュ型」で交付・郵送する暫定的な運用を行うことになった。
さらに、マイナ保険証を基本とする制度への移行を円滑に進め、現場の混乱を避けるため、厚生労働省はこの暫定的運用を1年間延長し、2026年7月31日まで延長することを決めた。
75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の保険証は7月31日(一部自治体除く)に有効期限を迎えるため、資格確認書の暫定的運用も当初は7月で終える予定だったが、期間延長によって、今年8月の一斉更新ではマイナ保険証の保有状況にかかわらず、従来の保険証が「資格確認書」に置き換わるだけで済んだ。対象者の方のお手元にはすでに資格確認書が届いているはずだ。
資格確認書を使えば、紙の保険証と同様に医療機関での受診が可能になる。有効期限は原則1年で、期限切れ前には新しいものが送られてくる。注意点として、紛失や破損、記載内容の変更があった場合は市区町村に連絡し再交付を受ける必要がある。
暫定運用が終了する26年8月以降は、マイナ保険証を持たない人には自動で資格確認書が送られるが、マイナ保険証を持っていて資格確認書を希望する場合は申請が必要になる。
制度や期限が変わるたびに混乱はつきものだが、自分の保険証や資格確認書の有効期限を把握しておくことが大切である。受診した医療機関で慌てることのないよう、手元の証明書を確認し、必要な場合は早めに手続きを進めておきたい。健康保険証は、使う回数が増えるほど、その存在の大きさが身に染みるものである。制度が変わっても、その安心を手放さない準備をしておくことが大切である。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
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