【家電コンサルのお得な話・264】東京都は9月1日から、0歳から2歳の第一子を対象にした保育料の無償化を開始した。少子化が進む中、子育て世帯の経済的負担を軽減することは急務であり、今回の東京都独自の施策は大きな注目を集めている。


●台東区は4月から先行実施 東京都では9月から
 「幼児教育・保育の無償化」として、2019年10月から、全国一律で3~5歳の保育園・幼稚園・こども園に通う子どもの保育料は無償となっている。一方、0歳から2歳については住民税非課税世帯や第三子以降などに限られていた。そこで東京都は、国の制度ではカバーできない0~2歳について、第一子から、所得制限を設けず、支援を行うことで、二人目以降の出産を後押しする環境を整える。
 今年4月には台東区が都の制度開始を待たずに独自に無償化を始めている。物価高騰の影響を受ける子育て世帯を支援するため、0歳から2歳の第一子を対象にした保育料無償化を先行実施したのである。背景には、子育て世代の定住を促し、安心して働ける環境を早期に整えたいという区の意図がある。都が9月から制度を始めることを見据え、いち早く子育て世帯を支援する姿勢を示したといえる。
 東京都の今回の施策は、もともと保育料が高く、家計に占める割合が大きくなりやすい0歳から2歳の子どものいる世帯をターゲットに絞り、子育て支援の姿勢をアピールしたものだ。今後、近隣自治体との格差や財源確保といった課題も予想されるが、少子化対策としては重要な一歩である。
 一方で、こうした制度のない地域では、引き続き、経済的に厳しい状況が続く。例えば、私の姪は大阪府高槻市に住み、第一子である1歳の子を保育園に預けながらフルタイムで働いている。しかし現実には、子どもが発熱するなど、思うように勤務できない日が続くうえ、保育料については全額自己負担だ。
そのため、収入よりも保育料の方が上回る月もある。
 働いても赤字が続き、家庭にとっては「子どもを預けて働くほうが赤字になる」という点こそが最大の問題である。そのため、安心して働き続けることが難しいのが実情である。
 こうした現実を考えると、東京都が第一子から無償化を導入する意義は明確である。保育料負担を軽減することは、単に子育て世帯の経済的支援にとどまらず、出産を機に退職せず、安心して就労を継続できる社会を形づくる基盤となる。今回の東京都の取り組みは、こうした課題を解消し、子育て世代にとって前進となる大切な制度であるといえる。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
【注目の記事】
東京都の小池百合子知事が言及した!「第1子の保育料の無償化」
千代田区独自・月額1万5000円の「中高生世代応援手当」 申請は原則不要、必要な場合は9月30日までに
10月1日から変わる「児童手当」をわかりやすく解説~制度変更編~
消費税増税だけではない 2019年10月から幼児教育・保育無償化の皮算用
1戸当たり最大160万円の補助金! ZEH水準上回る「省エネ住宅の新築」で全世帯が対象
編集部おすすめ