日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。


 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・?
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️



■古代からの地名を多く使用

《三重県の由来》日本武尊がもらしたつぶやき

 地名の誕生に大きくかかわったのが日本武尊(ヤマトタケル)である。
 日本武尊は東国平定の長い戦からの帰途、鈴鹿の能褒野(のぼの)で亡くなったと記されているが、桑名郡尾津の浜から能褒野へ向かう途中、次第に弱っていき、立ち寄った村で「吾が足三重のまがりなして、いと疲れたり」とつぶやいたと伝わる。つまり、「自分の足は三つ重ねにねじり曲げた餅のように、大変疲れてしまった」ということで、以降この地域を「三重」と呼ぶようになったそうだ。





《地名の由来》



◉英虞湾(あごわん):名産の真珠と関連か

 持統天皇6(692)年に「 阿胡行宮(あごのかりみや)」が置かれたことが『日本書紀』に記されているが、関係は定かではない。「網を引く人」という意味の「網児(あご)」に由来。
 また、古来より真珠の産地であることから、真珠が採れる「阿古屋貝(あこやがい)」が由来とも。



◉亀山(かめやま):石亀を放した場所

 6世紀後半、 百済(くだら)から来朝した僧が、朝廷に石亀を3匹献上した。その亀は山城国(京都府京都市右京区)、丹波国(京都府亀岡市)、伊勢国(三重県亀山市)の3カ所に放され、それぞれの場所を「亀山」と呼んだとされている。



◉鳥羽(とば):船の停泊地として最適

 絶好の泊地が形成された海岸を「泊浦(とばうら)」「 留泊(とば)の浦(うら)」と呼んだのが転訛したとされる。
 また、地元の賀多神社の縁起にある、天照大神の八王子神が鷲の羽の舟に乗り天下ったという伝承が由来ともされる。



◉名張(なばり):伊賀忍者の隠れ里⁉

 「隠れる」を意味する古語の「なばる」、あるいは新たに開拓された土地を意味する「新墾(にいばり)」を由来とする地名。
 また、この両者を合わせて「隠された土地(田畑)」といった地形的特徴から名づけられた可能性もある。



(2020年一個人5月号から

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