■吉村洋文ヨイショの闇



 ここのところ、メディアの吉村洋文ヨイショが半端ではない。最近目についたネット記事のタイトルだけでも以下の通りである。



《吉村洋文知事、紅葉を楽しむ休日ショットを公開し黄色い声殺到「夜の知事もカッコイイ」「男前」》(「スポーツ報知」11月22日 )



《吉村洋文知事、パン屋立ち寄る休日ショットに黄色い声殺到「カッコ良すぎ」「よりイケメンに」》(「スポーツ報知」9月20日 )



《吉村洋文知事、胸元にサングラスの私服姿に黄色い声殺到!「カッコ良すぎ」「髪切りましたか》(「スポーツ報知」11月8日)



《吉村知事、オフの散歩ショットに異例の“黄色い声”殺到「イケメンすぎ」「自撮りかわいい」》(「スポーツ報知」3月8日)



《吉村洋文知事 「紅葉が、綺麗だぜぃ」カジュアルコーデのオフショットに「カッコイイ」「イケメン」の声》(「スポニチアネックス」11月22日 )



《吉村洋文知事、ライトアップされた紅葉バックの1枚に女性ファン興奮「イケメン目立ちすぎ」》(「ENCOUNT」11月22日 )



《吉村知事 知事室から撮影した月食写真を投稿 大阪城バックに「カッコイイ」「めっちゃ幻想的」の声》(「デイリースポーツ」11月19日)



《維新副代表の吉村知事 健康法は?に「寝る前にお菓子食べる」》(「デイリースポーツ」10月25日)



《吉村洋文知事、金メダルを首にかけ笑顔の写真を公開…ネクタイも金「かっこよさ金メダル」「かわいい」》(「スポーツ報知」11月15日 )



《吉村洋文知事、関西弁全開のインスタ最新投稿に黄色い声殺到!「カッコイイのに可愛さもある」》(「スポーツ報知」10月4日)



 ここにどのような力が働いているのかは外からはわからないし、こうした記事を異常と思わない人間が世の中に一定数存在することは知っている。しかし、それにしてもである。かつて「(スターリンは)子供ずきなおじさん」と書いた恥知らずの全国紙もあったが、この類のメディアは過去に対する反省がまったくない。



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 国会議員に毎月100万円支払われる文書通信交通滞在費の件は、最高に面白かった。10月31日に投開票された衆院選で当選した新人議員に対して10月分100万円が支給されることに、維新の新人議員らが疑問の声を上げ、吉村が「どうやら1日だけでも国会議員の身分となったので、10月分、100万の札束、満額支給らしい。領収書不要。非課税。これが国会の常識。おかしいよ」とツイート。



 れいわ新選組の大石あきこが「維新が『100万円もったいない』と空騒ぎ。よう言うわ。資本家やマスコミと結託して、この国のカネやリソースを好き放題に浪費してるのが維新。

なにより非正規雇用を推進しまくって、大阪や日本の景気を停滞させた損失は計り知れない。維新を倒すための戦費として私は100万円でも何でも使います」とツイートすると、橋下は激昂し、大石に噛みついた。



 「れいわ新選組の大石議員は100万円は丸々いただくんだって。れいわの非常識度が炸裂!」「しかも、このれいわ新選組の大石議員。比例でギリギリの当選で、10月31日には当選が確定していない。1日未明に当選が確定。それなのに10月分の文通費100万円を丸取り。0日で100万円!れいわ新選組とその議員の非常識は異常。しかも元公務員」



 このアホツイートに、元新潟県知事で衆院議員の米山隆一がナイスツッコミを入れていた。



「ええと、当確がいつ出ようが、当選の事実自体は全員10月31日の20時00分に決まっておりますので、当選者全員『4時間で100万円』で変わりありません。大層上からコメントされるコメンテーターなのに余りに不勉強ではないかと思います。しかも元維新代表」



「この方、12時過ぎに当確が出た人は、12時過ぎ、すなわち翌日から任期が始まり、当確の出たタイミング次第で議員毎に任期が異なるとか思っているんですかね。

『当選』の事実は全員10月31日20時に発生していますので、それが分かったタイミングがいつだろうが、全員10月31日から任期が始まります」



 ちなみに橋下が追い詰められたときの捨て台詞は「もっと勉強しろ」である。



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 維新は各議員の文通費の使途を公開しているが、政党支部などに寄付する形で、いわば「移し替え」「流用」していることが知られるようになった。他にも今回いろいろ墓穴を掘っている。大石が「吉村知事が衆議院議員を退職した2015年10月1日。10月の文通費100万円を受け取ったか、衆議院担当部署に問い合わせたら『100万円受け取った』『返金してない』との回答でした」とツイッターで暴露。ブーメランにも程がある。



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 橋下は大石に対し「あんたらが使うそのお金、誰が負担してるの?もっと納税者に対して謙虚になれよ!この人、元公務員。こういう人たちは、府市民のことよりも自分たちの待遇向上が第一の傾向あり」とブチ切れていたが、橋下は著書で「なんで『国民のために、お国のために』なんてケツの穴が痒くなるようなことばかりいうんだ?」「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ」「自分の権力欲、名誉欲を達成する手段として、嫌々国民のために奉仕しなければいけないわけよ」と述べている人物である。





■夜はまだあけぬか



 衆院選期間中の10月26日に茨城県内で行われた岸田文雄の応援演説を巡り、任意団体「茨城県運輸政策研究会」が、会員に日当5000円を提示し動員を呼び掛けていたことが明らかになった。安倍晋三の応援演説の際もカネが流れていたが、こうした不正が常態化していたようだ。市民団体はこれらの行為が買収に当たるとして衆院議員の国光文乃を公職選挙法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発した。



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 愛知県の大村秀章知事のリコール運動を巡る署名偽造事件で、美容外科「高須クリニック」グループの事務や経理を担う関連会社「高須ホールディングス(HD)」の一部の役員や社員が同社所在のビル内で署名の偽造をしていた疑いがあることが判明。

この会社の役員でもある高須克弥院長の女性秘書が、リコール活動団体事務局長の田中孝博の依頼で、社員らに名簿の書き写し作業の指示をしていたとみられる。愛知県警は女性秘書と50代の女性の2人を地方自治法違反(署名偽造)の疑いで書類送検した。



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 ツイッター上でデマを流していた匿名アカウント「Dappi」に続き、14万人以上のフォロワーを持つネトウヨアカウント「黒瀬深(@Fuka_Kurose)の正体が明らかになった。「黒瀬深」については、名誉毀損を理由にした損害賠償請求訴訟が起こされているが、雑誌「FLASH」のウェブサイト「SmartFLASH」は運営者の本名を確認。大阪府出身の25歳の男性で、2019年3月に大阪府和泉市にある私立大学「桃山学院大学」の社会学部を卒業しているとのこと。「黒瀬深」は、2020年アメリカ大統領選におけるウィスコンシン州の開票結果に関し不正を疑われるという旨のツイートをし、ツイッター社から誤解を招くツイートとして警告ラベルを付けられた。また、2021年6月には、作家の室井佑月より名誉毀損訴訟を起こされている。



 臨時国会が開催されなかったことについて、「野党が口頭で国会開催を要求してるだけで正当なプロセスを何も踏んでないから」とするツイートをしたが、立憲民主党を始めとした野党は臨時国会召集要求書を衆議院議長に提出している。こうしたネットでデマを流す連中が、国や社会を歪めてきたわけだ。



 ちなみに「SmartFLASH」が本人に連絡をとったところ、「あの……懇願します。僕のプロフィールを出さないでほしいと懇願します」と電話がかかってきたとのこと。



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 まじめに生活している人が報われ、悪いことをやった人がきちんと牢屋に入る世の中になればいいですね。





文:適菜  収



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