ジャングリアは “地獄の待機場” ?――科学が暴く、構造的詐...の画像はこちら >>



 



 沖縄の大自然に広がるはずだった「楽園」は、実は“アトラクション難民”を大量に生み出す罠だったのではないか?



 華々しい広告とは裏腹に、その設計には“絶望”が組み込まれていた――。



 



■ 欺瞞のスタートライン:「万人来場」など夢物語



 ジャングリア沖縄が掲げる日次来場者数「1万人」という目標。

だが、本サイトが明らかにした独自調査では、この数字がパークの物理的限界を完全に無視した“絵に描いた餅”であることが判明した。



 核心は、アトラクションの処理能力が壊滅的に足りないという、想像を絶する事実だ。



 



■ 数字が語る“絶望”:メインアトラクションでも千人未満処理



 主力アトラクション「ダイナソー・サファリ」――。まるで恐竜と冒険できるかのようなワクワクする宣伝文句とは裏腹に、その実質的な処理能力はたったの“941人/日”。



 つまり、一万人来場時には9割以上の客が乗れない。



 「ファインディング・ダイナソーズ」でも1日2,280人、「ホライゾン・バルーン」はたったの532人。さらに、整理券制アトラクションは数百人レベルの処理しかできない“狭き門”だった。



 そして問題はここからだ――



 5つの主要アトラクションを合計しても、1日で体験できる人数は約4,437人。



 来場者の半数以上が「何もできずに帰る」という地獄のような現実が、既に数式によって予告されているのだ。







注)



ダイナソー・サファリ(Dinosaur Safari):
データ: 所要時間約17分、定員11~12名/台、3台同時走行。
分析: 乗降と安全確認の時間を考慮し、サイクルタイムを20分(0.333時間)と設定。定員は保守的に11名とする。


THRC計算: (11名/台×3台)÷(20÷60時間)=99名/時間
DEC計算: 99名/時間×9.5時間=約941名/日
結論: パークの旗艦アトラクションであるにもかかわらず、1日の最大処理人数は1,000人を下回る。



ファインディング・ダイナソーズ(Finding Dinosaurs):
データ: 所要時間約14分、定員8名/グループ。
分析: ウォークスルー型のため正確なサイクルは不明だが、仮に2分間隔で次のグループが出発できるという非常に楽観的な想定を置く。
THRC計算: 8名/グループ×30グループ/時間=240名/時間
DEC計算: 240名/時間×9.5時間=約2,280名/日
結論: 比較的処理能力は高いが、それでも1日の目標来場者数には遠く及ばない。



ホライゾン・バルーン(Horizon Balloon):
データ: 所要時間約10分、定員8~20名(風速により変動。
分析: 天候に左右される不安定なアトラクション。平均定員を14名とし、乗降を含めたサイクルタイムを15分(0.25時間)と設定。
THRC計算: 14名÷0.25時間=56名/時間
DEC計算: 56名/時間×9.5時間=約532名/日
結論: 非常に低い処理能力であり、体験できるのはごく一部の来場者に限られる。



ジャングル・エクストリームズ(Jungle Extremes)エリア:
データ: スカイ・フェニックス(ジップライン、2名同時)やタイタンズ・スウィング(ブランコ、4名乗り)など、個人または少人数単位のアトラクションで構成される 。
分析: これらのアトラクションは個々の処理能力が極めて低い。スカイ・フェニックスの所要時間を5分(乗降準備含む)としてもTHRCは24名/時。タイタンズ・スウィングも同様に低い。

エリア全体を合計しても、THRCは200~300名/時間程度と推計されるのが妥当である。





 



■ 「最低1アトラクション保証」は幻か:“体験率”は驚愕の1.4回



 さらに分析は続く。すべてのアトラクションとショーを含めて最大1,500人/時間という非常に甘い仮定を置いた場合でも、9.5時間営業で1日総体験スロット数は14,250回分。



 つまり、1万人来場時の1人あたり体験数は“わずか1.4回”に過ぎない。



 だが、これは全員が効率よく移動し、待ち時間ゼロで体験できるという“天国のような仮定”のもとでの数値だ。



 現実は? 人気アトラクションには人が殺到し、「3時間待ち→乗れず→閉園」という悪夢が日常になる。



 



■ 同時収容5,500人の闇:数千人は入園すら困難?



 ジャングリアが誇る“収容能力”は5,500人――にも関わらず、チケットは1万枚売る。



 この事実が意味するのは、4,500人がそもそも園内に“入れない”可能性すらあるという衝撃だ。



  「パーク内にすら入れない」「入口で行列」「何も体験できずに帰る」――これは混雑ではなく、設計段階から組み込まれた“顧客破壊モデル”なのだ。



 



■ 「構造的欠陥」か「詐欺的設計」か――問い直される公共投資の妥当性



 この“構造的地獄”の中に、数十億円単位で資金を投じたのがクールジャパン機構や沖縄公庫である。



 つまり本件は単なる民間事業の失敗では済まされない。「税金で作られた国策地獄」が、今この瞬間にも観光客を飲み込んでいるのだ。



 来場者に提示されるのは、広告で夢見た冒険ではなく、「1万円払ってベンチで待つ」体験。



 ジャングリアは、我々の時間と金、そして公共資金を「待ち時間の虚無」へと焼却する装置である。



 この構造的不正義を、見過ごしてよいのか。



 テーマパークを名乗るにはあまりに欺瞞的なこの施設の実態を、今こそ世に問うべき時が来ている。





文;林直人

編集部おすすめ