「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、春の彼岸も秋の彼岸も気温の上では四季(春・夏・秋・冬)の変わり目である。今回は、暦に関する名字を紹介したい。
夏秋と書いて「なつあき・なかば」と読ませる名字の方が九州地方におられる。なぜ、「なかば」なのかというと、何でも、夏と秋の境目が一年の半ば(なかば)にあたるので「なかば」と読ませるそうである。実に季節をうまく表現した名字である。
茨城県には春秋と書く名字の方がおられるが、こちらは「はるあき」と読む。春秋の名字の由来は地名にある。春秋さんの家の近くに沼があり、その沼は春と秋にだけ水が満ちていることから春秋沼(はるあきぬま)と呼ばれており、その沼の名前を名字にしたものである。
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旧暦の八月朔日(一日)は、現在の暦の上では九月中旬にあたる。名字の中に、八月朔日と書いて「ほづみ」と読ませる方がおられる。名字の由来は、穂積(ほづみ)と同じで、旧暦の八月朔日の頃に稲の穂の刈取りが行われ、稲穂を積む(摘む)ことから「ほづみ」と読ませる。
ちなみに、八月朔日さんの近くには四月朔日さんも住んでおられ、こちらは「わたぬき」と読ませる。
〈『一個人』2017年10月号より構成〉