〈脂っぽくなくて、何本でもいける! 東松山式「やきとり」の作り方〉
〈日本【三大焼き鳥の街】 東松山の「やきとり」が「やきとり」なのに豚な件〉
1.大宮、浦和はアウトオブ眼中
埼玉県民は皆大宮や浦和あたりに遊び行くものだと思ってないでしょうか?
答えはNOです。
東松山市民からしたら大宮は眼中にありません。というか行きません。僕自身初めて大宮に行ったのは成人してからです。ではなぜ行かないのか? それは東松山から大宮へはものすごく行きづらいからです。
埼玉県内を走る主要な二つの電車の路線があることをご存知でしょうか?
その二つの線は「JR高崎線」と「私鉄東武東上線」です。
JR高崎線はその名の通り群馬県の高崎駅から熊谷、行田を経て大宮へと繋がりそして湘南新宿ラインへと直通して東京都内まで続いています。
そして東武東上線は寄居駅から我が地元東松山や川越、朝霞を経て東京都内に続いています。
この二つの線は荒川を挟んで平行するように埼玉県内を横断しています。
何が言いたいかというと、埼玉県って鉄道で分断されてるんですよ。
ではその両線はどこで交わるのでしょうか。
それが埼玉県民の聖地「池袋」です。
東武東上線ユーザーは子どもの頃は川越で一旦身体を慣らして、やがて池袋に行くようになります。
JRユーザーも「大宮で全てが片付く、新都心に映画館もあるし」という大宮最強説に流される輩も一部にはいるものの、結局は池袋に行くようになります。
全ての道(路線)は東京都に、池袋に通じているのです。
池袋の前に赤羽とか、板橋あたりを通っていますがそこは全力でスルーです。
というか僕は中学生くらいまで東武東上線の池袋から手前は全て埼玉県内だと思っていました。東京=池袋でした。
JRユーザーにとっても東武東上線ユーザーにとっても電車1本で行ける大都会東京は池袋なのです。
3.居酒屋で「やきとり」の注文に失敗する「やきとりくださーい」
「えっ…これ鶏肉なんですけど」
これは僕が実際に体験したあるあるなのですが、僕が学生の頃チェーンの居酒屋に呑みに行った時の事です。場所は東松山市のお隣の坂戸市でした。やきとりを注文すると出てきたのは鶏肉を串に刺して焼いたもの。
「すいません、やきとりが“鶏肉”なんですけど」と店側からしたら意味不明なクレームを入れた事があります。
というのも東松山の「やきとり」は「豚のかしら肉」を串にさして焼いたものなんです。そのかしら肉のやきとりにピリ辛の味噌だれをたっぷり塗って食べます。
これが東松山市民にとってのやきとりです。豚肉でも「やきとり」なんです。生まれた時からやきとり=豚のかしら肉で育ってきました。
このかしら肉のやきとりは東松山市以外ではほとんどありません。あっても「やきとん」と呼ばれていて味噌だれも一緒に付いてません。なので東松山市民はこれを「やきとり」と認めていません。
【藤井21がやきとりレシピを大公開!「めめし飯」やきとり調理編】
4.東京で「かしら肉」が売ってない連載「めめし飯」やきとり回の撮影当日の朝。
「藤井さん!かしら肉がどこにも売ってないです!! 肉のハナマサにも売ってないです!!」と編集T氏から電話が。
ホワット? 何を言ってるんだこの人は? かしら肉がない? そんな筈ないじゃないか。
後日改めて自分でかしら肉を調達することに。行った先は日本が誇る大市場、築地市場です。内心「かしら肉なんてドメジャーな肉、肉屋何軒か回ったらあるだろう」という気持ちでした。
しかし…結果から言うと築地の肉屋は全滅。かしら肉の存在を知らない店員すらいました。愕然としました。 かしら肉の知名度どうなってるんだ。
まさか築地で手に入らないと思っていませんでしたが、一応確実に取り扱いしているであろう肉屋を抑えで目星付けておいたのでそこに電話で問い合わせました。
「すいません、そちらはかしら肉の取り扱いありますか?」
「ありますよ。キロ1400円ですね。」
「(キ、キロ?)…えーと、販売はキロ単位のみでしょうか?」
「そうですね。もしかして個人の方ですか?」
「そうですが?」
「うちは店舗がないんで個人の販売はやってないんですよ。
マジですか。東京ではかしら肉は個人で入手出来るものではない。
ちなみに東松山では結構普通にスーパーとかで売っているんです。本当ですよ!
諦め半分でもう1件の肉屋にも電話で問い合わせると、 かしら肉はあるとの事、しかも個人の販売もやっているらしい。
勝った。かしらを探し出して約半日、ついに都内でかしら肉を入手することに成功しました。
都電の荒川区役所から徒歩3分「三河屋」という肉屋でしっかりとかしら肉は売っていました。この日から、今まで何とも思っていなかった(区民の皆様ゴメンなさい)荒川区が少し好きになりました。 都内でかしら肉を求めている東松山市民の方に荒川区の「三河屋」をオススメします。
※BEST T!MES編集部は、後日某有名スーパーチェーン都内43店舗に対して豚のかしら肉の在庫調査を行った。結果、在庫が問い合わせ当日にあったのはわずが4店舗だった。


毎年秋になると「そろそろあの時期だな」と東松山市民は思います。
東松山二大巨頭「やきとり」と、もうひとつ「日本スリーデーマーチ」の季節です。
10、20、30、40、50キロのコースを3日間歩く(5キロコースも近年増設された)というウォーキングイベントです。50キロの人は3日間で150キロ歩くんです。常軌を逸していますよね、はい。東松山では老若男女皆が参加します。
しかもスリーデーマーチに参加する子どもは学校が公休扱いなります。友達とただ歩いてるだけで堂々と学校が休めるんです。
子どもの頃は肌寒くなってくるとスリーデーマーチが待ち遠しかったものです。
スリーデーマーチには毎年8万人以上の人が参加しています。これは東松山市民の人口とほぼ同じ人数なのでその規模の大きさがわかると思います。
さらに! この3日間は異国との出会いの場でもあります。そう東松山市の姉妹都市、オランダはナイメーヘンの方々がやってくるのです。
普段外国人観光客などいない街ですがスリーデーマーチの期間は東松山市内そこかしこに外人がいます。 そして東松山の子どもたちはその有名人でもなんでもない普通のオランダ人の方々にサインを貰うのです。
「…サインプリーズ」
東松山のキッズはジャポニカ学習帳をサイン帳と呼び、貰ったサインの多さを競うのです。なぜならローマ字のサインがカッコイイから!あと日本の硬貨と向こうのコインを交換してもらったりもします。東松山の子どもはスリーデーマーチで初めて異国の人を触れ合うのです。
東松山市の魅力が少しでもわかって頂けたでしょうか。
スリーデーマーチで爽やかな汗を流して、かしら肉のやきとりとビールで乾杯などいかがでしょうか。
http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/3dayやきとり
http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/soshiki/kankyousangyobu/shoko/kanko/yakitori/yakitori.html