本作品のヒロインである宮水三葉を演じているのが、近年成長著しい実力派若手女優の上白石萌音 だ。
理想であり、あこがれです
ーー映画が公開されてから、三葉役への反響はいかがですか?
上白石 映画を観てくださった方からはよく「『瀧くん』って呼びかけてください」ってリクエストされるんです(笑)。最初は驚きましたけど、監督とは「何回も言う台詞だから、少しずつニュアンスを変えていこう」とこだわっていた部分だったので、皆さんの印象に残ったのはうれしいです。
ーー上白石さん自身が三葉に似ているな、と思うところは?
上白石 私も三葉も田舎育ちなので、そういう意味では地元に対する思いというか…口では田舎を嫌だと言っても、心の中では大好きだって思っていたりとか。そういう田舎で育った人にしかわからない感覚のようなものは、共有できる気がします。でも、私の中ではすごくあこがれの女の子で、理想の女の子。こんなにも素敵な...前向きで、強くて、でもちゃんと弱さもあって、まっすぐで、責任感が強くて、どこまでもヒロイン。 とても魅力的だなって思います。
ーー田舎育ち...ということは、上白石さんも東京に憧れが?

上白石 いえ、私は三葉とは逆で、 最初に上京したときはすごく戸惑ったし、どうしても地元と比べてしまってなかなか馴染めなくて...。でも今回映画を観て、「東京ってこんなに美しいんだな」って初めて気づきました。今まで無機質に見えていたビルや道路、車の渋滞でさえ命があるんだなって。それはすごく大きかったですね。東京が好きになりました。
ーーこの作品で映像の美しさに夢中になった人は多いと思います。
上白石 美しい背景の前で起こる出来事って、2~3割増しで素敵に見えると思いますし、それが新海監督の持つ魔法のようなものですよね。あの画の中で、普通の出来事ですら素晴らしいのに、言葉で言い表せないぐらいの素敵な出来事が次々起こって...あんな世界がもし本当にあるなら、行ってみたいですよね。糸守町は架空の町ですけど、宮水神社やカフェ風にしたバス停が本当にあったなら行ってみたいです。
『君の名は。』のスタッフでいつか飛騨に行ってみたい
ーー今、『君の名は。

上白石 そうなんです。でも飛騨弁を話していた身としては、やっぱり飛騨には行ってみたいです。
ーーアフレコ前には、飛騨ではなく監督が育った長野県小海町を訪れているんですよね?
上白石 はい。その時点では飛騨が舞台というのはわからなくて、 でも監督がいろんな田舎の風景を描きたいと仰っていたので...実際に足を運んで、空気感や水の音、 地面の柔らかさ。そういうものを感じたら、きっと三葉に近づけるんじゃないかと思ったんです。でもアフレコ前に飛騨古川を訪れることができたらもっとよかったですね(笑)。
ーーおっ、今からでもぜひ!
上白石 監督やスタッフさん、キャストのみんなでツアーをしたいですね! 絶対盛り上がると思います。そのときはきっとみんなで台詞を言い合って、映画の再現をやるんだろうなぁ(笑)。
(*このインタビューは2016年12月に収録されたものを再編集したものです)