第8回は、1993年発売の「AIR JORDAN 8」。
AJ6から採用されたスケルトンフレームを持つ最後のモデル。AJ7譲りのハラチフィットに加え、アッパーにクロスストラップを装備することでサポート性を向上させている。このモデルを履いてMJ(マイケル・ジョーダン)はNBA3連覇を達成するが、その後にショックな出来事が…。
スリーピートの立役者となった
'90年代ハイテク最終進化モデル写真を拡大 1993年発売のオリジナル。前作に続きワーナーとのコラボプロモーションが行われ、AJ8ではマービン・ザ・マーシャンがメインキャラクターに据えられた。AJ8とともにMJ第1期黄金時代が終焉
'93年当時に考えうるハイテクをすべて盛り込んだ、とも言えるのがAJ8だ。アッパーには当時ストリートバスケ用として人気を集めていた〈エアレイド〉のテクノロジーを応用したクロスストラップを装備。シューズの外側はストラップがサポートし、内側はハラチでフィットさせるという手法を採用している。

また、AJ7ではアフリカをイメージしたデザインパターンが使われたが、このAJ8は派手な幾何学パターンをインナーなどに採用。パイル地のタンにジャンプマンロゴを刺繍し、ヒールサイドにもグラフィティー柄を入れるなど、デザイン的にはストリートカルチャーを意識したものになっている。
ちなみにAJ7の登場とともに最高潮に達した日本のスニーカーブームは、このモデルが登場する頃に終息。オリジナルが発売された当時、日本でのAJ8の人気はイマイチ盛り上がらなかった。また、その過度なハイテクぶりも敬遠される一因となったようだ。
一方、このモデルを履いたMJは、'92-93シーズンのNBAファイナルで親友のチャールズ・バークレイ率いるフェニックス・サンズを下し、スリーピート(3連覇。スリーとリピートを組み合わせた造語)を達成。
ストラップはトップグレード・バッシュにふさわしい仕様に

特徴的なクロスストラップは、エアレイドがナイロンベルトにベルクロをつけただけのものだったのに対し、AJ8ではレザー+ベルクロ仕様にアップグレードされている。AJ7ではヒールカウンターに入っていた23のナンバリングは、クロスストラップの中央に刺繍で入る。アッパー表面にはベンチレーションホールが設けられているが、シューレース部分のほとんどがストラップで覆われてしまうため、通気性は良いとは言えない。
歴代最小、わずか3色しか作られなかったオリジナルカラー
オリジナルカラーは黒×アクアブルー(オールスターカラー)、白×赤、そして黒×白(ブルズカラー)の3色しかリリースされなかった。これは歴代AJの中でも最も少ないカラーバリエーションだ。最初の復刻は、'02~'03年にかけてで、白×赤のみが復刻。その後、'07年の2度目の復刻時に、残りの2色、黒×アクアブルーと黒×白が初復刻された。
*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)