特に問題となったのは、他社の携帯電話に関する質問が来た時のことだ。携帯電話のキャリアのことなど、よくわからない人もいる。ある日、Aさんのもとにお年寄りがドコモの携帯電話を持って質問に来たが、よくわからないところもあったため、隣のブースにいたドコモの担当者に声をかけ、そのお年寄りを案内した。それがソフトバンク社員の目に留まり、逆鱗に触れた。
「客が他社の携帯電話を持って質問に来たらチャンス、そこで強引にでも機種変更を薦めなければならなかったのです」(同)
他社のスタッフはライバル。ちょっとでも話をしようものなら、すぐに注意されたという。
「ドコモとKDDIのスタッフは、暇な時には仲良く話をしていたりして、うらやましく思っていました。しかしソフトバンクでは、他社のスタッフと話をするのは厳禁。情報を流されるとでも思っていたのでしょうか」(同)
また派遣にもかかわらず、Aさんにはノルマが設定されていた。1日当たり新規契約1台、機種変更2台、この目標を達成できなければ、店長から呼び出される。
「多分、相性も悪かったのでしょう。この店長から目をつけられてしまったようで、よく叱責を受けました。仕事のミスや業務についての注意だけであれば、まだ耐えることもできたのですが、時には人間性も否定され『お前みたいな人間は、どんな仕事をやってもうまくいくはずない』などと罵倒されたこともありました」(同)
呼び出されるとタイムカードを切るように指示され、そこから説教が始まるのだ。叱責は2時間以上にわたったこともあったという。当然、その間は時給は発生しない。