11月2日にスタートするテレビ朝日系ドラマ『おっさんずラブ』の新シリーズ『おっさんずラブ -in the sky-』。前作から大きく設定が変更されたことで、ファンから反発を受けている。

 大人の男性同士の恋愛模様をコミカルに描く『おっさんずラブ』。2018年に放送された連続ドラマ版第1シリーズ『おっさんずラブ』では、主人公のサラリーマン・春田創一を田中圭が、その春田に恋をする上司・黒澤武蔵を吉田鋼太郎が、同じく春田に恋する後輩・牧凌太を林遣都が演じた。

 一方、この11月にスタートする新シリーズ『おっさんずラブ -in the sky-』では、春田創一は航空会社のCA、黒澤武蔵をはパイロットという設定に変更。林遣都は出演しておらず、代わりに千葉雄大戸次重幸が新キャストとして加わった。

 大幅に設定が変わり、前作とは異なる“パラレルワールド”の物語ともいえる第2シーズンに対し、ネット上でいわゆる“OL民”とも呼ばれる同作のファンは、おおいに困惑している模様。ネット上では、〈牧くんのおらへん、おっさんずなんて見たくもないわー〉〈おっさんずラブの続編ドラマまじきつい。そもそも設定変わってるし〉などと、否定的な声が多い。ドラマ関係者はこう話す。

海外ドラマなどでシーズンが続いていく場合、物語にはつながりを持たせるのが基本です。パラレルワールドになるのであれば、タイトルが変更されることも多い。今回の『おっさんずラブ』の場合、新作には“in the sky”という副題がついているので、第1シーズンとは別の物語のような雰囲気は出ているものの、ちょっとわかりにくい。もっとしっかりパラレルワールドであること明確にするタイトルにしないと、ファンが反発するのも仕方ないでしょうね」

不在の“正当な理由”を描くべき

 また、パラレルワールドにするのであれば、思い切って主演を交代するべきだという意見も。

「田中圭と吉田鋼太郎というキャストを残しているから前シーズンを引きずるのであって、だからこそパラレルワールドにという設定に違和感が生じる。もしも“田中圭と吉田鋼太郎は外せない”という条件でのドラマ制作であるならば、前作に続く物語を作るべきだったと思います」(ドラマウォッチャー)

 また、前作で3番手だった牧凌太というキャラクターが不在となったことについても、説明不足は否めないという。

「前シーズンに出ていた俳優が降板する場合は、その俳優が演じているキャラクターがいなくなる理由をしっかり描くというのが、視聴者に対する礼儀ですよ。転勤になったとか死んでしまったとか、多少強引であってもいいから描くべきであり、そうすることで視聴者は“現実”を受け止めることができる。海外ドラマでも、急に主役の俳優が降板するなんていうことがたまにありますが、そうした場合はそのキャラクターがどうして物語から消えたのかを、ちゃんと工夫して描いています。

 しかし、今回の『おっさんずラブ』の場合はいきなりパラレルワールドになってしまったので、牧凌太の不在についての説明もないし、その事実を当然のように受け入れることを視聴者に強いてしまっている。これはあまりにも乱暴だし、手抜きのようにも思えます」(前出・ドラマウォッチャー)

ファンの反発は当然

 そもそも、新シリーズがパラレルワールドとなったのはどうしてなのだろうか。普通に考えれば、そのまま物語の続きを描けばいいはずなのだが……。

「たとえば大きなタイアップがあるとか、航空会社を舞台にしなくてはならない裏事情があるのかもしれない。また、林遣都の降板についてもスケジュール的に仕方ないことだった可能性もある。とはいえ、春田と黒澤がなんらかの理由で航空会社に転職したというストーリーを作り出せばどうにでもなる話なんですよ。そこまで脚本や設定を作り込む時間がなかったとしても、パラレルワールドに逃げてしまったのは制作サイドの怠慢です。

ファンの反発を招いた原因は制作サイドにありますよ」(前出・ドラマ関係者)

 映画版もヒットし、さらなる人気爆発が期待されていたはずの『おっさんずラブ』シリーズ。その未来に暗雲が立ち込めてきたのは間違いなさそうだ。

(文=編集部)

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