来シーズンの契約をめぐって去就が注目を集めていた中日ドラゴンズ・松坂大輔選手。今シーズン限りでの退団が決定し、ファンは複雑な思いを抱えているようだ。

 10月4日に中日スポーツ(CHUNICHI Web)が報じた内容によると、松坂選手は同日に加藤宏幸球団代表と面談した。そこで退団する意思を伝え、来季も契約する意思を示していた球団も了承したという。会談を終えた加藤代表は、「彼のようなスーパースターがドラゴンズで2年間プレーしてくれて、若い選手たちもすごく影響を受けて、非常に感謝している」とコメントしている。

 また、同サイトは別の記事で取材に応じた松坂選手の声も紹介しており、松坂選手は1日に退団した森繁和シニアディレクター(SD)と友利結国際渉外担当に言及し、次のように述べている。

「僕に声をかけてくれてドラゴンズに入れてもらった2人が退団することになったので、僕もいちゃいけないかなと思って、退団することを考えて、代表に伝えさせてもらった」

 2015年に日本球界復帰を果たし、福岡ソフトバンクホークスに入団した松坂選手。しかし、ソフトバンク在籍中の3年間は故障に悩み、1軍登板はわずか1試合のみ。その後、18年にドラゴンズへ入団した松坂選手は11試合の登板で6勝4敗、防御率3.74という結果を残し、カムバック賞を受賞した。今年も活躍を期待されていたが、2月の沖縄キャンプでファンと接触して「右肩炎症」と診断され、戦線を離脱。今シーズンは2試合の登板で0勝1敗、防御率16.88という成績だった。

 リハビリ中の5月には、2軍の練習日にもかかわらず日本テレビ上重聡アナウンサーとゴルフに興じる姿を「フライデー」(講談社/5月31日号)が写真つきで掲載して物議を醸した。この報道を機に松坂選手に対する批判が相次ぎ、加藤代表も「休日のゴルフは禁止していないけれど、練習日はダメでしょう」と苦言を呈していた。

 そんな松坂選手の中日退団に、ネット上では「ドラゴンズを盛り立ててくれたことに感謝したい」「日本に戻ってきてから故障に次ぐ故障で、今年の結果を見ても避けられない判断だったと思う」「肩の炎症はアクシデントだから仕方ないとしても、リハビリ中のゴルフで信用を失った」「自分の力を過大評価してるようだが、今の状態ではどこも拾ってくれないと思う」という声が上がっている。

 特に、森SDと友利氏の退団を理由にした点については「とことんズルい。逆に2人がいないから中日で結果を残さないと……って気持ちにならなかったのか」「中日は契約する意思を示していたんだし、恩義を感じているなら来年はチームに貢献すべき」「理解不能。2人を引き合いに出して退団するのは卑怯だし、そもそも契約を提示して待っていてくれた球団への返事を引き延ばして、いきなり辞めますって……さすがに失礼だと思う」「ゴルフ事件と今回の退団で完全に晩節を汚した」といった意見もみられる。

 松坂選手は9月の加藤代表との会談で現役を続ける意向を伝えており、その後、球団は来シーズンも契約を結ぶ方針を決定。加藤代表が松坂選手に伝えていたものの、本人からの返事がないことが報じられていた。

 また、今回の騒動で「イチローの言う通りだった」「さすがにイチローは見抜いていたのか」という声も上がっている。どういうことだろうか。

「06年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の合宿中に、イチローが松坂に『打たれてもなめてやってるだろ、わかるぞお前』『深いところでなめてやってるだろ』などと“説教”し、松坂がニヤニヤしながら言い訳する様子が、いまだに野球ファンの間で語り草になっています。当時、メジャー挑戦前の松坂は押しも押されもせぬ日本のエースで、実際に06年、09年と2大会連続でWBCの最優秀選手に選ばれています。そんな“無双”状態の松坂の甘い部分を容赦なく指摘したとして、イチローの名言のひとつにも数えられているほどです。

 それはさておき、ソフトバンクを退団した時点で往年の輝きは望めない状態だったにもかかわらず、拾ってくれた中日でも今シーズンはほぼ戦力になりませんでした。この状態の松坂と契約する球団があるかどうかは疑問で、このまま引退となる可能性も濃厚でしょう。

本人はプレーする意思があるにもかかわらず所属球団が決まらずに越年、年が明けてキャンプイン前に無所属のまま引退を表明するという、“平成の怪物”としては寂しすぎる末路を迎える可能性もあります」(スポーツライター)

 松坂選手といえば、前述の“ゴルフ事件”以外にも騒動を起こしており、西武ライオンズ時代の00年には無免許運転の上に駐車違反が発覚。さらに、当時の球団広報課長が身代わり出頭したとして、大きな問題になった。成績とともに数々の話題を振りまいてきた松坂選手は、今後どのような道を進んでいくのだろうか。

(文=編集部)

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