お笑い芸人の梶原雄太(キングコング)がYouTuber(ユーチューバー)・カジサックとして、自身のチャンネル登録者数100万人を突破(現在は約149万人)したことは大きな話題となった。そして、カジサックに続けと多くの芸人がユーチューバーデビューしている。
そんななか、このタイミングで千原兄弟のツッコミ担当・千原せいじも先月、YouTubeチャンネルを開設した。ITとは無縁に思えるアラフィフ芸人が、なぜYouTubeを始めることになったのか。11月14日発売号の「週刊文春」(文芸春秋)によって報じられた、今年2度目の不倫報道と関係はあるのか。Business Journalは、騒動後初めての独占インタビューを行った。
効率化した日本に「だからなんやねん!」な動画を――先月からスタートしたせいじさんのYouTubeチャンネル「きいたんやけどおじさん」とは、どういったチャンネルなのでしょうか?
せいじ タイトルのまんま「こういうこと聞いたんやけど……」って話を、ひたすら話す動画です(笑)。休憩時間や楽屋でする会話を延々としているだけの。
――動画拝見しましたが、確かにそのとおりの内容でした(笑)。なぜまたこういったチャンネルをつくったのですか?
せいじ 俺らの子供の頃って、テレビはあくまでファンタジーの世界だったんですよ。でも最近のテレビって真実かどうかをすごく追求するやないですか。やれ「やらせだ!」とか「コンプライアンスが」とか、すぐ言うでしょ。そんなの何がおもろいねんと。そういうことに対してのストレスもあって、みんなが耳にしたことを適当にしゃべってみようかって話になったんです。
――都市伝説とか噂話のような古き良きノリってありますよね。
せいじ そう。意味がないことを楽しめるのって、実は贅沢なことなんですよ。これは聞いた話やけど、というか見たんやけど、アフリカに行ったときに30歳過ぎの働き盛りの男が、マンゴーの実を取るために下からずっと石を投げてたんですよ。棒とかハシゴ使ったらすぐ取れるのに。でも、こういう一見アホみたいな行動でも、考えてみればむちゃくちゃ優雅な時間やないですか。今の日本人は合理化、効率化ばっかり。日本人は死ぬまでこんなアホな時間持てへんでしょ。でも本当は、この時間が大切やねん。
――なるほど。
せいじ いやいやいや、そんなところまで考えてません。あくまで行き当たりばったりに話したいこと話してるだけ(笑)。俺自身もYouTubeがなんなのか、何もわからず手探りでやってる状態ですしね。ただ、すべてに意味を持たす必要はないってことを伝えたいのはあるかな。「だからなんやねん!」というものをお届けするという。
YouTubeチャンネル開設と不倫報道は関係ない――これは聞いた話なんですが(笑)、せいじさんが今年2度目の不倫が報じられて、テレビから干されてしまうことを見越してYouTube活動をスタートさせたとの報道もあるようです。
せいじ それはちゃいますって! だって報道があってから1週間後に、「きいたんやけどおじさん」の第1回を配信してるんですよ。さすがにそんなすぐにはできませんて。そもそも、テレビがダメになるからYouTube行くって、そっちを本気でやってる人に失礼でしょ。それにね、文春報道があって一念発起してやるにしては、この動画は内容がユルすぎる(笑)。
――そうですね(笑)。不倫報道に限らず、芸能界では次々誰かが炎上しています。
せいじ そもそも、俺自身が他人の不倫とかスキャンダルなんかに興味がないからな。ワイドショーのコメンテーターやってて、誰だかの不倫の話題を振られたときに「こんなもん誰が興味あんねん。大人同士なんやから、わざわざ時間割くな」って言ったら、(オール阪神・巨人の)巨人師匠に「一応プロなんやから、しっかりコメントせい」って怒られたくらいなんやから。もちろん、今回の俺の件は嫁と子供に申し訳ない気持ちがあるけど、世間って絶対悪を決めて、ああだこうだ言いたいだけでしょ。俺の場合は世間が注目することでもないし、実際、報道があってもマスコミは誰も俺んとこ来んかった(苦笑)。
――うれしいような悲しいような(笑)。芸能ゴシップとかスキャンダルって、世間の人の生活に影響があるわけじゃないし、実際、どうでもいい話ですよね。
せいじ せやねん。だから同じどうでもいいものなら、負の感情を増幅させるんやなくて、俺の動画みたいにキャッチーでポップな、どうでもいいものに時間を使ったほうがまだええと思うねんけどな。
――今後、やってみたい企画はありますか?
せいじ 何もわからへんので、逆に何をやったらいいか教えてください(笑)。まぁ今は後輩芸人とああだこうだ言うてますけど、別にそこは誰でもよくて、言ってみればサラリーマンの人とどうでもいい話をしてもいいわけです。要はおもろい「聞いたんやけど……」があればええわけよ。
――視聴者参加型の動画になる予感ですね。期待しています!
(構成=編集部)
千原せいじのYouTubeチャンネル「きいたんやけどおじさん」