2020年になっても、フジテレビの手痛い“ミス”が止まらない。1月9日放送のバラエティ番組『直撃!シンソウ坂上』で通信手段にまつわる勘違いがそのまま放送されてしまい、視聴者からツッコミが続出している。

 この日の同番組では「芸能人移住SP!スケバン刑事女優Sハワイ&月9女優T沖縄」として、かつてタレントとして人気を誇った相楽晴子にスポットを当て、ハワイに移住した彼女の自宅を訪問。電力会社から電気の供給を受けずに暮らす「オフグリッド生活」を紹介する内容が放送された。

 その中で、相楽は外部との通信手段について「電話の電波が届かないので5Gのケーブルがきてます」「それが一番お金がかかってるかもしれない、うちの支払いの中で」とコメント。次のカットでWi-Fiルーターらしき機材が映し出され、「WiFi 2.4G」と「WiFi 5G」の表示のうち、後者が赤く囲われ強調されていた。

 さらに、ナレーションで「日本でも今年から導入予定の5G」「2時間の映画も3秒でダウンロード」と紹介していた。しかし、それは第5世代移動通信システム「5G」のことで、ルーターに表記されている5GはWi-Fiの周波数を示す「5GHz(ギガヘルツ)」の意味。通信規格の5Gと周波数の5GHzを間違えるというミスに、視聴者からは

「これ、正気? あり得ない大失態だと思うんだけど」

「公共の電波で堂々と嘘(笑)もはや日本の恥ですよ」

「Wi-Fiの5GHzってけっこう前からあるのだが……」

「この番組の理論でいくと、もう日本でもみんな5G使ってるよ!」

「フジの社員ってテレビ局員なのに知らないの?」

と“ツッコミ祭り”になっている。

 また、ITジャーナリストの篠原修司氏も「Yahoo!ニュース 個人」1月10日付記事で「これはWi-Fiの5GHz帯を第5世代移動通信システムの『5G』と勘違いしてしまっています」「相楽さんが話していたように『電話の電波が届かない』のであれば、5Gは利用できません」と指摘している。

 さらに、同番組内でauとドコモのCMが流れ、特にドコモは5GのCMだったため、「広告費出す企業も不安になるよね」「スポンサー離れにつながりそう」との声も上がっている。

 近年のフジテレビであり得ないミスといえば、思い出されるのは京都アニメーションの放火事件報道で表示されたテロップ問題だろう。昨年8月放送のニュース・情報番組『Live News it!』では、事件で犠牲となったアニメ監督・武本康弘さんの同級生を取材し、「あんな天才はいませんよ」というコメントを紹介した。ところが、画面右隅には「あんなアホいない」とのテロップが表示された。

 犠牲者を冒涜するような表現に、ネット上では「世界を震撼させた事件なのに信じられない!」「あまりにもひどい。どうしたらそんな間違いが起きるの?」「フジに報道番組をつくる資格はない」と猛批判が巻き起こった。

 フジテレビの番組制作については、作家でアイドル評論家の中森明夫氏がスタッフのお粗末な対応を批判している。中森氏は昨年5月、情報番組『Mr.サンデー』のスタッフから届いた取材依頼のダイレクトメッセージをツイッターで公開。NGT48メンバー(当時)・山口真帆の卒業公演に関する内容だったが、メッセージの冒頭から「中村様」と宛名ミスがみられた。

 中森氏は「私の名前を間違え、ギャランティーの提示もありません。お断りします。こういういい加減な依頼に応じたら、山口真帆さんに申し訳ない」と怒りをあらわにしている。

 何かと物議を醸しがちなフジテレビだが、今回の「5G」問題のように明らかな事実誤認を放送するなど、あまりに怠慢な番組制作が続けば、視聴者やスポンサー離れにつながってしまうかもしれない。

(文=編集部)

編集部おすすめ