近年、知名度を上げているFXは、会社員や主婦層にも広がりを見せている一方で、危険なものというイメージもある。そもそもFXの歴史はまだ短く、1998年にひまわり証券が初めてFXを個人投資家に提供を開始してから19年である。



 わずか19年という短い歴史の中でFXによって億万長者が生まれているもの事実である。数いるFX長者のなかでも異才を放つ人物がいる。若干23歳の米田誠氏である。慶應義塾大学在学中の19歳の時、起業しその後、FXでの投資を始めた彼は、わずか2年でFX長者となったという。現在、FXトレーダーとして投資を行いながら2210人が在籍するFXコミュティの運営も行う。なんとも興味深い人物である米田誠氏に話を聞いた。

●起業からFXトレーダーへ

 FX長者と聞き、筆者が米田氏に描いていたイメージは正直良いものではなかった。ドライ、高飛車、または多くのお金を手にしてパーティー三昧の日々を過ごす“チャラ男”などと想像していた。しかし、実際の米田氏は、勝手に描いていたイメージものとは大きく違い、柔らく礼儀正しい好青年だった。米田氏はFXトレーダーを職業としてから4年目に入るそうだ。

「当初は、慶應義塾大学の学生でした。大学1年生の時に起業をしました。
家庭教師の派遣などを行っていましたが、良い結果が得られずFXを始め、その後、大学に行く意味がないと判断し中退しました」

 いくつもの投資があるなかでFXを選んだ理由をこう話す。

「自分が目標とする将来のビジネス展開や社会貢献の実現には、個人レベルで数百億円、数千億円の資産を目指す必要があります。私は、5年で数百億円の個人資産をつくることが目標でした。しかし、実際に起業して学んだのは、そういった資産をつくることはビジネスでは難しいという現実です。ビジネスで数百億円、数千億円の資産を実現するには、ビジネスを大きくし上場したうえでバイアウトする方法がありますが、時間的効率は良くありません。それに、私にはそこまでのビジネスセンスがないと気づき、投資しかないと判断しました。投資のなかでもFXが合理的であると考えました。たとえば、株には大きな資金が必要なうえ、取引できる時間は9時から15時までと短く、利率は出しにくいです。また、株はさまざまな要素が影響して変動するため、個人では予想できない場合もあります。これに対しFXは小さな資金で開始でき、取引も24時間行えるため利率が出しやすいのです。株に比べるとFXは大きな要素で動くため、個人でも予想しやすいのです」

●FXで時間に縛られない生活を実現

 米田氏はそのライフスタイルをSNSで発信している。その生活ぶりはまさにセレブリティーだ。
現在は、シンガポールを拠点としているが連日、マリーナベイサンズで優雅な時間を過ごし、仲間とのクルージング、高級ミールの数々は、羨ましい限りであり、そういった米田氏の発信を見ていると、いつトレードしているのかと首を傾げてしまうのだが、米田氏独自の仕事の流儀があるそうだ。

「私のトレードの仕方は、張り付き型ではありません。チャートを15分に1回30秒見ます。単純計算で1時間に2分、10時間トレードしてもわずか20分です。時給ベースでみると非常に効率が良いのです。その結果、自由な時間が得られました。ネット環境があれば、世界中どこにいてもできます。私は自由なライフスタイルを手に入れることができています」

 米田氏は、FXによって成功する可能性は誰にでもあるという。しかし、そこには少しのコツと努力が必要という。

「誰にでも成功する可能性はあります。しかし、0ベースから始めるのは非効率です。FXは、プロのトレーダー、勝っているトレーダーの手法をマネすることが勝つコツといえます。
ただ、すべての人が勝つわけではありません。スポーツでもプロの選手をマネてうまくできる人とできない人がいるように、その人の努力の差も重要です」

 米田氏が運営するコミュティでは、勝つためのサポートを行う。コミュニティは、基本的にはオンラインのサロンで、情報交換をする場所であるほか、米田氏やほかの講師が出向き定期的な勉強会を開催する。勉強会は北海道、仙台、東京、大阪、名古屋、福岡などで行う。FXはひとりよがりになると危険で、客観的視点があることで正確な取引ができるという。また、コミュニティに参加することでモチベーションを維持できる。現在、2160人いる会員は、20歳から66歳と幅広く、職業もさまざまだ。

米田氏が運営するコミュティは、無料ではない。入会料があり英会話教室に入会するくらいの額だという。その後の月会費などはなく、「会員ががんばる以上はサポートする」という生涯サポートを謳っている。一方で、会員について米田氏はこう話す。

「年間で数千万円、または月に数百万円の利益を出す会員もいますが、途中でトレードをやめる人もいるので、全員が利益を出せているわけではありません。
コミュニティに入ることで可能性は広がりますが、絶対を求めるのであればお断りしています」

●行動こそ成功への道

 米田氏の目標は、「日本人の投資リテラシーの向上」だ。

「高度経済成長期の銀行の年利は高く、銀行にお金があれば資産運用ができた時代です。単純にいえば1000万円を銀行に預ければ、10年で2倍の2000万円になった時代であり、国策として貯金を推奨していたこともあり、日本人は貯金が良いことだという価値観が根強い。しかし、1994年から会社員の給与は右肩下がりとなり、平均賃金ばかりでなく年金も下がり、同時に銀行の利率も下がりました。結果、入ってくるお金は減り、消費税や医療費などの出て行くお金は増えています。今と昔のお金に関する事情は違っています。アメリカなどでは、義務教育でファイナンス運用を教えるのに対し、日本は学ぶ場所がない。私は、投資リテラシーを向上させ投資で失敗する人を減らしたいと考えています。また、変わりゆく時代に投資詐欺なども増えることが予想されるので正しい知識を持つことで詐欺などを見抜く力を培ってほしと思っています。将来は、投資を学ぶ学校をつくり、投資のイメージを変えたいと考えています」

 米田氏は、親族でスーパーマーケットを経営するなかに育ち、自然に経営について学ぶ環境にある幼少期だった。活発でサッカーや水泳などのスポーツを好み、好奇心も旺盛だったという。勉強や読書も好きで、自ら取り組み、「勉強しなさい」と言われたことは一度もないそうだ。
祖父の勧めで、中高一貫校に通い、そこから慶應大学へ進んだ。

「慶應には起業する学生も多く、そういった学生と切磋琢磨できると期待していたのですが、そういった学生と学校で会うことはほとんどありませんでした。なぜなら、起業している学生は忙しく、学校で会うよよりも、むしろ仕事のつながりで出会った人が、たまたま慶應の学生だったなどということもありました。素晴らしい大学ではありますが、私が仕事をしていく上で大学に通い続ける必要はないと判断し、中退しました」

 米田氏は19歳で起業を決めた時から多くの成功者に会ってきた。

「学校や本で学ぶよりも、実際に成功した人の話を聞くことで多くを学べます。著名人でも手紙やSNSでメッセージを送り、会ってもらいました。起業した頃は、1年で300人以上の成功者に会いました。人は、人に会うことで磨かれていきます。人は人でしか変われません」

「人は人に会うことで磨かれていく」というのは、実際に体験した人でなければ言えない言葉だろう。筆者もこの点は、長い人生で実感したことであるが、23歳の青年の口から聞けるとは驚きである。米田氏のインタビューを通し、年齢に似つかわしくないほど成熟した思考を持っていると感じた。まだ日本では一般的とはいえない、職業としての投資家という概念を米田氏が広げていくのかもしれない。
米田氏の今後の活躍に期待したい。
(文=道明寺美清/ライター)

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