新潟に拠点を置くアイドルグループ・NGT48の山口真帆が、男2人から暴行被害を受けていたことが発覚。ずさんな管理体制が浮き彫りとなる事態に、衝撃が広がっている。
報道によると、事件が発生したのは昨年12月。帰宅した山口が顔をつかまれるなどの暴行を受け、新潟県警は無職の男と大学生の男を逮捕。その後2人は釈放され、不起訴処分となっている。
事件は1月8日に山口本人が、動画配信サービス「SHOWROOM」で被害を告白したことで明るみに出た。山口は涙で言葉をつまらせながら、「全部本当のことを言いたいけど……。本当のこと言わないと何も解決しないし」「今回私は助かったから良かったけど、殺されてたらどうすんだろって思うし、取り返しつかなくなったら、もう何も間に合わないのに」「真面目にやってきたのが悪いの? なんでこんな怖い目に遭わないといけないの?」などと語った。
山口は動画のなかでNGT48支配人の名前を出し、「『クリーンなNGTにする』って言ったのに」「悪いことした奴だって解雇するって言ったくせに。なんも対処してくれてなくて」と批判。さらに山口はツイッターで、「あるメンバーに公演の帰宅時間を教えられ、またあるメンバーに家、部屋を教えられ、またあるメンバーは私の家に行けと犯人をそそめかして(編注:そそのかして)いました」(原文ママ・以下同)とNGT48メンバーの関与を示唆している。
動画や一部のツイートは削除されたものの、その後も山口は「多くのファンを裏切って繋がってる人が正しいの? なんでそれを許すか分からない」「もうだれも同じ想いをしてほしくなかったので本当のこと言うしかありませんでした。ごめんなさい。真面目に頑張ってるメンバーもたくさんいます」と思いを綴った。
10日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、山口の暴行事件や一連の告白を特集。キャスターの小倉智昭は、「大丈夫なんだろうか、このNGT48というグループは」「襲われた恐怖感もあったでしょうし、同じグループのメンバーに、言葉は悪いけど“売られてしまった”っていうショックのほうがもっと強かったのかもしれない」と、山口の心中を慮った。
インターネット上でも山口の告白は大反響を呼んでおり、「運営は本当にどうなってるんだよ」「怖いというレベルの話じゃない」「もし彼女の言っていることがすべて事実なら、運営側が黙殺していると捉えられるずさんな対応」などと運営態勢を批判する声が上がっている。
自宅に暴漢が突然押しかけてきた際の恐怖たるや想像を絶するが、「これだけの事件で不起訴って、被害者が苦しみ続けて加害者側が守られるの?」といった声が多数上がっているように、このように卑劣な犯行を働いた男たちが不起訴処分となったことは、なんらかの特別な事情があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員の山岸純弁護士に話を聞いた。
●不起訴処分は妥当
「報道によると、『集合住宅の共用廊下で待ち伏せしていたファンの男性らが、帰宅してきたアイドルが彼らを見つけて騒ごうとしたので口をおさえた』『顔を手でつかんで押した』という暴行を理由に逮捕されたとのことです。
通常、この程度の暴行であれば、不起訴処分となります。そもそも刑罰というものは、犯罪に対して、『何がなんでも逮捕して起訴・有罪に持ち込む』というものではなく、『二度と同じ過ちを繰り返さないように、刑罰という苦痛を与えて反省させ矯正する(特別予防)』という目的のために与えられるものです。
このため、逮捕したという事実によって身体拘束された男性らが反省し、『もう二度とこんなことはしない』という態度を示し、検察官がこの反省を信用できると判断すれば、わざわざ起訴・有罪にまではしないわけです。これを『刑罰の謙抑性・補充性』の原則といいます。
被害者がアイドルということで騒がれていますが、被害者が一般人であればニュースにもなりませんし、通常は不起訴処分です。
また、強姦(強制性交)の着手にも当たらないでしょう。
果たして事件の真相は明らかになるのか。NGT48の運営元は、今のところ公式コメントは出していない。アイドル業界を揺るがす覚悟で公表した、山口の決意が報われることを祈りたい。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)